【相双建設事務所】小池敏哉所長インタビュー

【相双建設事務所】小池敏哉所長インタビュー

 こいけ・としや 1967年生まれ。宇都宮大学工学部土木工学科卒。1990年に県職員となり、土木部下水道課長、技術管理課長などを歴任。2022年から現職。

 ――2月には県道広野小高線の富岡町の工区が完成し広野町から富岡町までの区間が結ばれました。

 「一般県道広野小高線(通称・浜街道)は、広野町を起点に双葉郡の太平洋沿岸部を南北に縦断し南相馬市小高区に至る幹線道路で、このうち広野町から富岡町に至る区間約17・2㌔について、平成9年度から道路改良事業に着手しました。平成23年3月の東日本大震災後は、津波で甚大な被害を受けた被災地域の復興まちづくりを支援する道路として整備を推進し、令和5年2月に広野町から富岡町の区間を開通させることができました。広野町から富岡町までの改良道路により、安全で円滑な通行が可能となり、沿岸部における人と物の交流や地域間連携が一層図られ、産業の再生や観光の振興につながるなど、浜通りの復興を力強く後押しすることが期待されます」

 ――昨年は福島県沖地震が発生し、相双地域は大きな被害がありました。

 「令和4年福島県沖地震では、当事務所で管理する道路、河川、海岸において53箇所の被害が確認されたことから、早期復旧に取り組み、令和5年3月末時点で36箇所の復旧が完了しております。残りの被災箇所についても、令和6年度の完了を目指し、引き続き、道路等の復旧にしっかりと取り組んでいきます」

 ――防災事業も重要です。

 「令和元年東日本台風など、近年、激甚化・頻発化する自然災害に備え、河川の治水安全度を高めるため、『宇多川及び小泉川の改良復旧事業』等の河川整備を進めるとともに、河川堤防の強化を目的とした堤防天端の舗装や、河川の流下能力向上を目的とした河道掘削や伐木等を引き続き実施していきます。また、流域治水の考えに基づき、流域全体のあらゆる関係者が協働し、ソフト・ハードが一体となった防災・減災対策に取り組んでいきます。さらに、災害時の輸送を確保する道路ネットワークの強化や管理する各種公共土木施設の長寿命化対策を計画的に実施していきます」

 ――震災・原発事故を受けての管内の整備状況について。

 「県では、避難解除区域等と周辺の主要都市等を結ぶ幹線道路を『ふくしま復興再生道路』と位置づけ、住民帰還や移住促進、さらには地域の持続可能な発展の支援に取り組んでいます。当管内では国道114号、国道288号、県道原町川俣線、県道小野富岡線の4路線13工区でふくしま復興再生道路の整備を進めており、これまで国道288号(野上小塚工区)など、2路線9工区で供用を開始しています。残る2路線4工区についても引き続き整備を進め、相双地域の復興を着実に進めていきます。また、相双地域では、地域内において復旧・復興状況が異なっていることから、それぞれの状況に合わせた安全・安心な社会資本の整備にしっかりと取り組んでいきます」

 ――今後の抱負。

 「本年度は、県道小野富岡線(西ノ内工区)での一部区間供用や、令和元年東日本台風による災害復旧工事や宇多川改良復旧工事の完了を目指すとともに、国道114号(椚平工区)や復興シンボル軸(県道井手長塚線)の整備促進、県道浪江三春線(小出谷工区)の橋梁及びトンネルの設計着手、復興祈念公園における(仮称)公園橋の工事に着手するなど、相双地域の復興を着実に進めていきます。また、第2期復興・創生期間(令和3年~7年)の折り返しの年であり、地域の復旧・復興のステージを捉えながら、住民帰還へ向けたインフラの整備を着実に進めるとともに、適切な維持管理に、職員一丸となって取り組んでいきます」

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