ながみね・かつひろ 1965年生まれ。会津若松市出身。新潟大卒。1987年に県職員になり、喜多方建設事務所長、土木部次長(道路担当、企画技術担当)などを歴任。昨年4月から現職。
――県北建設事務所長に就任され1年が経過しました。この間を振り返って。
「令和4年度は、『ふくしま復興再生道路』の整備や、令和元年東日本台風等において、大規模な被災を受けた河川の再度災害防止に向けた河川改良などを職員が一丸となり、スピード感を持って取り組んだ1年でした。
また、令和4年3月16日の福島県沖を震源とする地震により、阿武隈川を渡る県管理の橋りょう3橋と桑折町管理の1橋の合計4橋が被災しましたが、そのうち2橋の復旧工事が完了し、残る2橋につきましても国による代行事業で実施することとなり、様々な事業が円滑に進捗しました。これも地域住民の皆様や国、市町村をはじめとする関係各位の御協力の賜であり感謝申し上げます」
――管内における令和元年東日本台風の災害復旧事業をはじめ、河川、砂防事業の進捗状況についてうかがいます。
「令和元年東日本台風の災害復旧事業は概ね完了いたしましたが、甚大な被害を受けた移川・安達太田川(二本松市)、広瀬川(川俣町)、山舟生川(伊達市)において、再度災害防止に向け、災害復旧と併せた河川改良を、また、滝川(国見町)、濁川(福島市)、外3河川において背水(バックウォーター)対策として堤防の嵩上げ工事等を引き続き実施しています。さらに、河川の拡幅等と同時に橋梁の架け替え工事も行っています。
そのほか、治水安全度向上のため、古川(伊達市)、五百川(本宮市)などにおいて、築堤や護岸などの河川改修事業を進めていきます。砂防事業については、土石流対策として砂防えん堤を建設する大作沢(川俣町)や、がけ崩れ対策として防護柵を設置する椿舘(福島市)など、土砂災害が発生するおそれがある区域で、特に要配慮者利用施設が存在する場所を優先して対策事業を進めるとともに、小谷ノ沢(川俣町)や坊田沢(伊達市)など既存の砂防えん堤の補強工事にも取り組んでいます」
――「ふくしま復興再生道路」として鋭意整備が進められてきた国道114号山木屋1・2・3工区、国道349号大綱木1・2工区が3月21日に完成の運びとなりました。開通による効果についてうかがいます。
「避難指示解除区域の産業振興や交流人口の拡大、安全で安心な車両交通環境の確保、通行時間の短縮などの利便性向上を目的として整備しました。地元の川俣町民から『以前は幅が狭いしカーブは急、その上、すぐ下は川、怖いので冬場に山木屋に出かけることができませんでした。でも、広くてまっすぐな道路ができて時間も以前よりかからず、本当に有り難く思っています』と嬉しいお話をいただきました。整備した道路が次の時代、次の世代に渡り利用され、ますますの県土の発展に寄与していくことを願っています」
――その他の重点事業についてうかがいます。
「県北地域が高速交通体系の結節点であることを生かした県内外との広域交流の促進や都市内の日常生活を支える道づくりが必要と考えております。
主な事業として、東北中央道福島大笹生ICへのアクセス性の向上を目的とした福島市の上名倉飯坂伊達線大笹生2工区では、工事着手に向けた用地取得を進めていきます。伊達市から宮城県丸森町に至る国道349号五十沢地区では、国と連携して道路改良事業に着手するとともに、本宮市では通勤通学など地域の方々の生活を支える県道本宮三春線高木工区の完成を図っていきます」