【川俣町】藤原一二町長インタビュー

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【川俣町】藤原一二町長インタビュー

ふじわら・いちじ 1946年10月生まれ。法政大学法学部卒(通信課程)。川俣町収入役、済生会川俣病院事務長などを歴任し、2021年2月の川俣町長選で初当選。

 ――原発事故に伴う山木屋地区への避難指示が解除されてから丸6年経過します。

 「コロナ禍で開催見送りとなっていた『八坂神社の三匹獅子舞』など地区の伝統行事が復活しているほか、近年では移住する新規就農の若者も増えています。

 水田の水を凍らせたスケートリンクとして知られる『かわまた田んぼリンク』が、山木屋に移住した新規就農者(大学院生)の2人が代表となる形でオープンしました。会員の高齢化により昨年解散した地元団体から運営を引き継いでくれました。新たな地域活性化の拠点として注目が集まっています。このほか、復興拠点商業施設『とんやの郷』で、地元住民の皆さんが組織したNPO法人が、毎月第1日曜日に『おきがるマルシェ』を開催するなど、にぎわいが生まれています。

 一方で、避難解除後に山木屋地区へ戻ったのは160世帯332人(帰還率50%)、うち65%以上が高齢者です。引き続き帰還支援を継続していきますが、新たに人を呼び込む方にも注力していきたいと考えています」

 ――ふくしま復興再生道路である国道114号山木屋工区の工事が完了しました。

 「山木屋地区は町の中心部から約11㌔離れていますが、トンネルが開通したことでアクセスが大幅に向上し、町としての一体感が高まりました。浜通りと県都・福島市を結ぶ道路として、流通面などで大きな役割を果たすものと見ています」

 ──新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に引き下げとなりますが、今後の対応について。

 「希望者へのワクチン接種を継続しつつ、慎重に事態を見極めていきます。マスクの着用は、基本的に個人の判断に委ねることになりますが、捉え方には個人差があると思うので、柔軟に対応していきます。コロナ禍で開催を見合わせていたフォルクローレの音楽祭『コスキン・エン・ハポン』は今年通常開催の予定です。新たなスタートを踏み出す1年にしたいと考えています」

 ――その他重点事業について。

 「4月から開園する『かわまた認定こども園』は0~5歳までのお子さんが対象です。子育て世代の負担軽減のため、給食費を無償にします。2023年度中の保育料完全無償化も目指しており、子育てしやすい環境を実現して若年層の移住増加につなげていく考えです。

 また、食品スーパーのいちい(福島市)と協定を交わし、本町の廃校を利用したベニザケの養殖事業が進められています。2026(令和8)年の事業化を目指しており、地域振興に貢献することを期待しています」

川俣町ホームページ

掲載号:政経東北【2023年4月号】

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