――移住促進の進捗状況について。
「震災・原発事故に見舞われた当地域では人口減少・少子高齢化の傾向が顕著で、本町の出生数も2009年度47人から22年度18人に減りました。本町では移住を促進して対応していく考えで、22年7月に策定した移住定住『共生のまちづくり』推進プランでは、将来人口の見通しを25年5000人堅持、30年6000人を目指す方針を掲げています。実現に向け、町内に計61戸分の住宅団地を整備しました。子育て世代向けには、昨年度造成が完了した広野駅東住宅団地の土地購入支援として、1区画当たり300万円の補助金を準備いたしました。そのほか、福島イノベーションコースト構想やF―REIと連携して、広野駅東側団地や東町産業団地への企業誘致を進め、就労環境の充実・整備を図り、移住希望者に選んでいただける環境づくりに取り組んでいきます」
――町振興公社では地元産の果物や加工商品を販売していますが、町内外の反応は。
「バナナ栽培を見学できる『トロピカルフルーツミュージアム』の来場者は年間約1万人に上り、地元産ミカンを使用した『みかんジュース』も多く購入していただいています。商品のデザインを一新し、専門家の指導を踏まえて栽培管理を見直したところ、高評価をいただいています。今後はミカンを使ったワインなどの商品開発に取り組んでいきます」
――公設商業施設「ひろのてらす」がオープン8周年を迎えました。
「郡内の復興加速と、広域的な消費経済活動の一助となったと考えています。結果として、2021年2月には住民帰還90%を達成できました。県立ふたば未来学園が開校したこともあって、新たな地域イメージを創出することにつながったと思います」
――今年度の重点施策について。
「カーボンニュートラルの実現に向けて、『地域脱炭素移行・再エネ推進重点対策加速化事業』に取り組みます。環境省事業を活用し、PPA(太陽光発電設置業者が電力消費者の屋根などに太陽光発電設備を設置し、消費者は発電した電力を使用した分の電気料金のみ支払う仕組み)による設備等の整備を支援します」
――今後の抱負。
「震災・原発事故からの復旧・再生というフェーズを抜け、今後は自立・自活・復活に向けた取り組みを進めていきます。新たな創生の町を形成していくため、緊急時避難準備区域が解除された9月30日を『広野町〝復興創生の日〟』と制定しました。〝継往開来〟の念を持ち誠心誠意、誠実に力を尽くします」
※継往開来=先人の事業を受け継ぎ未来を切り開いていくこと。