――インバウンド向けに一杯3000円の喜多方ラーメンを開発しました。
「『喜多方ラーメン』はおかげさまで日本三大ラーメンの一つと称されるようになりました。歴史は約100年前にさかのぼり、食堂文化とともに長年市民から愛され、昭和60年頃からは観光資源として脚光を浴びるようになりました。
しかしながら近年、個人経営に支えられてきた食堂文化も、店主の高齢化や後継者不在で廃業が相次ぎ、危機に直面し始めています。
商工会議所は、喜多方ラーメンとそれを支える食文化を取り巻く課題を解決しようと、ラーメン店、
製麵業、行政などをメンバーに『喜多方ラーメンブランドプロジェクト』を立ち上げました。
昨年7月に喜多方市は一般社団法人日本記念日協会に7月17日を『喜多方ラーメンの日』にするよう申請し、認定されました。同年8月には喜多方ラーメンのPRと後継者育成を目的とした地域おこし協力隊の隊員を採用。当商議所は喜多方市と会津美里町出身のコンビ芸人『ドリルフィンフィンズ』を喜多方ラーメン大使に任命しています。このように官民が連携して喜多方ラーメンを盛り上げる機運が高まっています。
喜多方市では、喜多方ラーメンのさらなる普及、発展を目指し『喜多方ラーメンリブランディング事業推進委員会』を設置、“地元でしか作れない・味わえないもの”をコンセプトに、インバウンド向けの“特別な”喜多方ラーメンを開発しました。
この1杯3000円の喜多方ラーメン『SUGOI』は、極力地元食材を使用することをコンセプトにしています。特に国産小麦の『ゆきちから』と『夏黄金』をブレンドした麺は大好評で、将来は喜多方で生産できれば地産地消の喜多方ラーメンとしてさらなる付加価値をつけることも夢ではないと考えています。3000円の喜多方ラーメンは大変話題を呼んでいますが、今は試行段階なので、金額、素材、提供方法の検証を重ね本市のキラーコンテンツに育つことを期待しています」
――観光まちづくり委員会を立ち上げました。成果はどうですか。
「喜多方市における持続可能な観光まちづくりを目指し、顧客と事業者が相互に『おもいやり』を持った交流を推進すべく、『おもてなしからおもいやりへ』をキャッチコピーに事業を展開しています。
具体的には、猛暑の中で喜多方ラーメン店の前に並んでいる観光客に対して『おもいやりうちわ』を配布し、『訪れる方・迎える方の双方が楽しい観光』をPRしてまいりました。
また、今年1月20日に磐越西線喜多方駅が開業120周年を迎え、この日に合わせて祝賀イベント『磐越西線喜多方駅開業120周年記念事業・線路は続くよいつまでも』を開催しました。
当日は市長やJR東日本東北本部長と一緒に100年前を彷彿とさせるハイカラな衣裳でケーキカットに臨み、さらには120人による喜多方ラーメンテープカットなどを盛大に行いました。JR喜多方駅にはあふれんばかりのお客様が集まり、人と人の交流拠点としての『駅』の重要性を再認識しました。
今後観光まちづくり委員会では、『おもいやり』を根底にインバウンドや冬期間の誘客対策など、持続可能な観光まちづくりを目指します」
――レトロ横丁商店街活性化プロジェクトの進捗はいかがですか。
「まち歩きをする観光客がより雰囲気を楽しむことができるように『レトロ横丁認定店』を選定し、さらには全国商店街支援センターから講師の派遣を受け『トータルプラン作成支援事業』に取り組むなどのソフト面の活性化を図ってきました。今年は喜多方さくらまつりとタイアップし、商店街の店舗が『500円ぽっきり市』を開催するなど、新たな取り組みにつながっています。最近レトロ横丁商店街周辺でスイーツ店や飲食店を開業する若者が増え、活性化の芽が出始めたことは良い傾向です。
今年度から市がレトロ横丁商店街の空き店舗の活用を促すために、店舗兼住宅の共用部分の分離に必要な改修工事費を補助する制度を創設したので、積極的に創業希望者とのマッチングなどを図りたいです」
――今年度の重点事業について。
「就任以来これまで、重点事業に対応するために2つの特別委員会と3つのプロジェクトを始動し一定の成果が見られると評価しています。
今年度はDX推進委員会が『DXよろず相談窓口(仮称)』の開設を予定しています。今年4月に喜多方市役所に我々の悲願だった『喜多方ラーメン課』が設置され、より一層官民で力を合わせて喜多方ラーメンの振興に力を入れていきます。
何より会員のみなさまに『商工会議所に入っていてよかった』と言っていただけるよう、巡回による経営支援など、きめ細やかな伴走支援に力を入れていきます」