【上杉謙太郎】衆議院議員インタビュー

【上杉謙太郎】衆議院議員インタビュー

うえすぎ・けんたろう 1975年生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。荒井広幸参院議員秘書などを経て2017年の衆院選(比例東北)で初当選。現在2期目。外務大臣政務官などを歴任。

 衆議院小選挙区の区割り改定を受け、県南・県中地域からなっていたこれまでの3区は、新2区と新3区に再編された。県南を地盤とする自民党の上杉謙太郎衆院議員(48)は、小選挙区を離れて比例東北から立候補することになった。自身を育ててくれた支援者への思いと、今後の方針を聞いた。


 ――区割り改定を受け県衆院比例区支部長に就任しました。次期衆院選では比例東北ブロックから立候補します。これまでの経緯と現在の心境を教えてください。

 「今回の区割り変更によって次の選挙については選挙区から出馬できず比例に回ることとなりました。私自身大変残念でありますし、今は状況を受け入れておりますが、昨年以来自分の中で相当な葛藤がありました。それはやはり今までご支援いただいていた旧3区の皆様の直接的な支部長ではなくなってしまうからです。これは地元の代表たる代議士にとっては致命的なことです。加えて、旧3区の皆様には秘書時代から含めると20年弱お世話になっています。本当に大切な方々であります。支援者の皆様に大変心苦しく申し訳ない思いでおります。法改正により仕方のないこととはいっても、複雑な思いの中で了承いたしました。

 新2区には旧3区から須賀川、田村、石川地方が再編されています。旧2区時代の選挙全てに根本匠先生が出馬しており、かつ1度を除き全勝しています。また根本先生は自民党県連会長であり、岸田文雄総裁が率いる派閥の事務総長でもあり、実績も多々あります。新2区の大票田となる郡山市を地盤としており、そもそも新2区における支部長選任にあたっては私は選択肢に入っていなかったようです。一方新3区は、そもそも3区支部長が私であったことと、新3区に残った県南は前回選挙で私が勝利していることから、私も菅家一郎先生とともに選択肢に上がっておりました。どちらを選挙区支部長にするかについて、会津と県南における有権者数、両地域における過去の選挙での得票数や選挙区での党員の確保数、参議院選挙をはじめ自らが選対本部長等を務める選挙での貢献度、会津地域の地域性が選定の基準となったようです。

 最終的には党本部と県連、私も菅家先生も所属する派閥の清和会で調整が進みました。その結果、次回の選挙における新3区支部長には菅家先生、比例に私ということになりました。菅家先生は前回選挙で対立候補に負けている地域で巻き返し勝利すること、私は県南で菅家先生を勝たせること、つまり会津と県南で協力すれば、新3区での勝算はあるという判断からのことでした。

 私は選挙区で戦えなくなってしまいましたが、一歩引いた形で黒子に徹し、次の選挙でお二人が当選できるよう、お二人の選対本部長として戦います。すでに各地域支部を両代議士に繋ぐ会や、私の若手の後援会の皆様との懇親会などスタートしています。挨拶回りもスタートしています。そういった形で2区に再編された須賀川、田村、石川地方では根本先生の支持を訴え、3区に残った県南では菅家先生への支持を訴えていきます。また選挙以外では今までと変わらず旧3区の皆様の要望を聞き、地元の声を国政に届ける活動をしていきます。私のその後については、3区でのコスタリカを含めて、まずは次の選挙でお二人の選挙を全力で戦うことで初めて道が拓けてくると考えています」

 ――上杉議員が地盤としていた旧3区は新2区と新3区に分断されます。

 「昨年夏以降複数回にわたって東京選出の先輩議員らから『東京で出ないか』との提案がありましたが、その度に即座にお断りしてきました。お世話になってきた旧3区の人たちと今後も活動していくことが私の使命だと考えているからです。
比例東北で出るのであれば、比例は東北全域が選挙区となるので、分断された旧3区の地域も今までと変わらず私の選挙区ということになります。そういう意味では、考え方によっては、今までお世話になった党員や後援会の人たちと関係を続けていけるというプラスの面もあります。しかし、選挙で出馬し、『上杉謙太郎』と名前を書いてもらうからこそ代議士ですので、大変辛いことですし、法改正と党本部の判断によるものとは言え、ご支援いただいてきた方々には本当に申し訳なく思います。
私は福島県で生まれ育った訳ではありませんが、骨を埋めるつもりで白河に来て家族共々住んでいます。子供達も白河で育っています。未熟な私ですが、地元の支援者の皆様に政治家として育てていただき、次の選挙では『対立候補に勝てるかもしれない』というところまで来ていました。それが、お世話になった選挙区が分断されただけでなく、小選挙区からも身を引かなければならなくなったこの現状は、本当のところかなり受け入れ難いことでしたし、戦いにおいてはまさに次こそが勝負という時でしたから、まさにはしごを外されたような感覚があります。

 今は受け入れて話せていますが、昨年から今年の春までの選挙区調整期間は本当に『まな板の鯉』状態でした。『今の3区の皆さんとこれからも政治活動を続けていきます。動く気はありません』というのが揺るがぬ本心で、この点を党本部、県連に伝えてきました。とはいえ、私がいったん引くことで、党内も県連内も対立することなく収まる結果となったことはよかったと思います。しっかりと謙虚に受け止めて自分の与えられた職務を全うし邁進していきます」

 ――新3区支部長の菅家一郎衆院議員とは、どのような関係性を築いていきたいですか。

 「何が何でも菅家先生に当選してもらう、そのために一丸となります。新3区の県南地方では必ず対立候補以上の得票数が得られるよう県議の先生方や各地域支部の皆様と協力をして菅家先生を連れて歩きます。すでに始まっています。まずは県南で菅家先生が受け入れてもらえるようご理解をいただきながら活動していきます。自分以外の選挙でも汗を流す。それを一生懸命やることが比例支部長に与えられた職務とも考えています」

 ――次期衆院選に向けて、有権者にメッセージをお願いします。

 「比例に行くからといって今までのご縁が切れる、離れてしまうということは一切ありません。これからもお世話になりますし、今後は複雑な立ち位置になりますが、選挙においては根本先生と菅家先生の当選のために、おそらく旧3区地域の各選対に入り、支援者の皆様とともに選挙を戦います。ある意味、今まで候補者として街宣車で外に出てしまっていたので支援者の方々と会えるのがほんの一瞬ということが多かったのですが、今度は選挙区の候補者ではないので支援者の方々と近くで頻繁に顔を突き合わせてある意味一緒に選挙活動ができます。そのような形で両代議士をしっかりと当選させるのが、比例で優遇された私に与えられた責任です。

 東北全部が選挙区になりますが、目下、旧3区と新3区の声を両代議士と県議の先生らと連携して地元の皆様の声を国政に届けていきます」

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