【いわき建設事務所】吉田伸明所長インタビュー

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【いわき建設事務所】吉田伸明所長インタビュー

よしだ・のぶあき いわき市出身。秋田大学卒。1990年に県庁入庁。県土木部道路管理課長、道路計画課長を経て、2022年度から現職。

災害復旧、防災、道路整備に全力

 ――台風13号による「線状降水帯」の影響で、いわき市内の至る所で浸水するなど甚大な被害が発生しました。管内の被害状況について。

 「市内全域の河川流域で緊急安全確保(警戒レベル5)が発令され、人的被害や多数の床上・床下浸水が発生しました。当事務所管内では、10の河川で越水が確認され、一部の河川施設では護岸が崩落するなどの被害が発生しました。10月19日時点で公共土木施設の被害数及び被害額はいわき市を含め、河川69件、砂防設備11件、道路26件、橋梁1件 合計107件27億8200万円となっています」

 ――今後の復旧の見通しについて。

 「まず越水した河川では、河床に堆積した土砂等を速やかに除去し、治水機能の回復を図ります。被災した道路・河川等の土木施設については、速やかに調査・設計を実施しており、早期の工事着手により復旧に努めます。河川からの越水等により浸水被害が発生した地域については、線状降水帯の大雨による被災メカニズムを解析し、再度の災害を防止する対策について検討していきます」

 ――防災対策事業に注力してきましたが、進捗状況は。

 「頻発化・激甚化する自然災害から、住民の生命、暮らし、財産を守るため、防災・減災、国土強靱化5か年加速化対策に計画的に取り組んでおり、今回の大雨でも一定の効果が確認できました。今年度は水災害対策として、河川の治水安全度の向上を図るための河道掘削や伐木、堤防強化、土砂災害防止対策のための砂防・急傾斜事業、道路の安全度を高める落石対策等を実施しており、引き続き防災対策事業を加速していきます。また、流域全体で水害を軽減させる『流域治水』についても、あらゆる関係者と連携・協力しながら効率的な対策を実施し、中小河川も含め災害に強い安全・安心な基盤づくりを推進していきます」

 ――小名浜道路をはじめとする道路事業の進捗状況について。

 「いわき市泉町から同市山田町に至る全長8・3㌔、4箇所のインターチェンジ(以下、IC)を有する無料の自動車専用道路で、『ふくしま復興再生道路』に位置付けられています。『小名浜港』と『常磐自動車道』を結び、小名浜港や周辺地域の産業・観光の拠点化を支援するために整備されます。常磐道から小名浜港までのアクセス時間が約15分短縮され、速達性の向上や定時性の確保等が期待されています。

 現在9地区すべてで工事が進められており、高度な技術を要す区間は、本県から東日本高速道路㈱(以下、NEXCO東日本)へ委託し、工事を実施しています。8月には、NEXCO東日本により常磐道の上を跨ぐ本線部橋梁上部工が架設されるなど、着実に事業が進展しています。また、中通りへのアクセス機能向上を図るため、主要地方道いわき上三坂小野線の(仮称)山田IC(=小名浜道路の終点)から遠野町方面に至る約3・5㌔区間についても、道路改良工事を計画的に実施しており、引き続き信頼性の高い広域ネットワークの確保に取り組んでいきます」

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