【福島県警備業協会】前田泰彦会長インタビュー(2024.7月)

【福島県警備業協会】前田泰彦会長インタビュー(2024.7月)

経歴

まえだ・やすひこ 1959年生まれ。東海大卒。綜合警備保障㈱第八地域本部長などを歴任し、2018年5月からALSOK福島㈱社長。同月、福島県警備業協会長に就任した。

 ――適正な警備料金と警備業の経営基盤強化を訴えています。

 「警備料金の価格は上がってきてはいるもののまだ建設作業員の水準には及びません。昨年11月29日には内閣府と公正取引委員会が『労務費の適切な転嫁のための価格交渉に対する指針』を出しました。これを踏まえ全国警備業協会でも『適切な価格転嫁の実現に向けて』というリーフレットを作成しました。警備員の待遇を改善することで人材確保と離職防止につなげられます。

 新型コロナウイルスの感染が収まりつつある中で様々なイベントが復活し、検定資格を持った警備員でないと従事できない公共工事も増えました。そのため技術水準を一定程度満たしている会員事業所が活躍する場も増えています。賃上げと同時に有資格者を増やしていくのも重要です。当協会では特別講習を年6回行っています。資格者を多く派遣できることへの対価として、取引先に賃上げを要求していくのが大切です。警備業者と、警備業務を委託する元請けの建設業者が共に経営基盤を盤石にできるよう相互理解が大切になってきます。これだけ物価高が進み最低賃金も上がっている中でさらに相互理解が進む時代になっていくと期待しています」  

 ――人手不足が大きな問題になっています。

 「人手不足は全国の警備業共通の課題です。求人倍率はあらゆる業種で全国平均が1・13倍ですが警備業は6倍を超えています。対価を上げていかなければ離職につながり、人が定着しない職場では警備員のレベルアップにも影響が及びかねません。全国警備業協会では有名人を採用したテレビCMを放映し、業界のイメージアップに取り組んでいます。当協会では今年8月に福島市で行われる夏巡業『大相撲福島場所』で協賛させていただきます。人手不足が叫ばれる中、外国人の採用については全国警備業協会が警察庁と協議を進めていますが課題はあります。日本語の壁が最も大きな問題です」

 ――今年度の重点目標。

 「警備に支払われる適正料金の確保が第一です。そして労働災害防止の徹底です。高速道路など危険な場所での警備もあり、警備員の安全な配置も重要になります。また、これからの季節は熱中症対策が欠かせません。警備員の質を高めてより高い安全確保に努められるよう、教育事業を進めて検定資格合格者を増やします」  

 ――今後の抱負。

 「デジタルトランスフォーメーションが叫ばれていますが会員事業所の多くは小規模事業所が多く、取り組みには手が回らないのが現状です。ただ、人手不足が深刻となる中、デジタルを活用した効率化を考える時代になっています。事業所が前向きにチャレンジしてもらえる仕組みを当協会が率先してつくっていきたいと思います」

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