たかまつ・ぎぎょう 1954年生まれ。大正大仏教学部卒。1995年から旧本宮町議。2007年から本宮市議、2011年1月の市長選で初当選。現在4期目。
――白沢ふれあい文化ホールが本宮市ふれあい美術館として9月21日にオープンしました。
「白沢地区の公共施設はこれまでに、芝生を全面に敷き詰め、ステージもある『ふれあい夢広場』、リニューアル前より利用者が3割増え、文部科学大臣表彰も受けた『しらさわ夢図書館』、市の歴史、民俗、美術に関する資料を収蔵し、常設展も開くことができる『歴史文化収蔵館』などを整備してきましたが、『ふれあい美術館』はその締めくくりとなる施設に位置付けられています。
ふれあい文化ホールは多目的に利用され、自由度の高さが利点でしたが、専門的な利用に不向きな面がありました。市では美術品を多く収蔵しており、多くの市民の皆さんにそれらを見ていただきたいとの思いから美術館にリニューアルしました。リニューアルに当たっては市の学芸員に那須や箱根などを視察してもらい、そこで得た知識やイメージを取り入れました。
常設展は、本宮市と英国との深い交流を生かし、英国自動人形の巨匠ポール・スプーナー氏のコレクションを展示します。市ではポール・スプーナー氏の関連作品を165点収蔵しており、国内最大の数ですので、多くの皆さんに素晴らしい作品を無料でご覧いただきたいと思っています。このほか年10回ほど企画展を開催する予定です。また、建物に入るまでのアプローチの整備を行い、英国風の庭園やインクルーシブな遊具も設けました。美術館としてはコンパクトですが、本宮市の規模に合った施設だと考えています。
白沢地区は人口減少に見舞われていますが、様々な仕掛けを施すことで関係・交流人口の増加を図りたいと考えており、美術館をはじめとする施設はその起爆剤になるものと期待しているところです」
――今年度当初予算では保育所事業に多くの予算が割かれ、Wi―FiやICTシステムを導入すると聞きましたが、その狙いは。
「きっかけは保育士不足の中で、ICTで事務作業の負担を軽減し、一人ひとりのお子さんと向き合う時間を確保したいと考えました。システムは7月から本格的に稼働し、保護者の皆さまに概ね好評とうかがっています。保育士は、子どもたちの命をあずかる大事な仕事ですから、保育士にとって少しでも働きやすい環境を、現場の声を取り入れながら数年かけて整えていきたいと考えています。そうすることが、お子さんたちにとっても良い保育につながっていくと考えています」
――本宮市ゼロカーボンシティに向け様々な取り組みを行っていますが、5月には市内に民間の水素ステーションがオープンしました。
「市では水素自動車を3台所有しており、民間でも個人や企業で水素自動車を購入したり水素トラックを走らせる動きがありますが、台数自体は多くありません。ただ、5月に水素社会推進法が公布され、水素自動車・トラックに対する社会の関心が高まる中、国でも電気と水素のベストミックスを考える方針を示しており、水素社会は確実に広がっていくのだろうと思っています。水素ステーションを入口に市内の企業、市を訪れる企業にはゼロカーボンを意識した取り組みを進めていただきたいですね」
――最後に抱負を。
「変化の激しい世の中にあって地方行政、基礎自治体の運営は厳しさを増しています。そうした中で、さらに住み良いまちづくりを市民の皆さんと協働で進めていきたいと思っています」