ほそや・みのる 1953年生まれ。独協大学経済学部卒。(株)日本ビューホテル成田ビューホテル勤務後、父が開園したみその幼稚園(福島市)の事務長を経て理事長・園長を務める。昨年6月から現職。
――少子化などによって幼児教育を取り巻く環境も変化しています。
「現在、連合会加盟は128園で、その8割が定員割れの状況です。連合会でアンケート調査を行った際も、園存続の問いに対して『今後も存続出来る』と答えたのは2割程度で、7割は『存続できると思いたい』との回答でした。一方で、連合会発足当初、加盟している園はすべて幼稚園でしたが、近年は徐々に新制度に移行し全体の6割以上が認定こども園になっています。幼稚園は子どもにとっての初めての学校であり教育を受ける場になります。加盟園はそういった基本理念は共有していますが、新制度(認定こども園)移行後に薄れている部分が少なからずあると思います。ですから、もう一度しっかり創立時の建学理念を再確認して方向性を間違えないようにしなければなりません。そうした中、連合会では今年度から『5歳までの幼児教育環境が我が子の将来を決める』をキーワードに『未来への幸福ナビプロジェクト』を開始しました。これは幼児教育と保育サービスの違いを保護者に認識して頂くと共に、幼児教育の大切さを理解してもらうことが目的で、テレビCMはじめ新聞やSNSを通して発信しています。このプロジェクトを通して各園の存続や、SDGsの目標でもある『質の高い教育をみんなに』ということにもつながることを期待しています」
――子どもを取り巻く環境も変化しています。
「『仲間』『空間』『時間』の三間が在る環境が子どもの健やかな成長に不可欠です。ただ、核家族化など子どもを取り巻く環境の変化や、公園などでもボール遊び禁止等の場所があるなど、子どもの遊びに対する大人の寛容さが無くなっているように感じます。だからこそ、幼稚園や認定子ども園に子ども達が十二分に遊べる環境設定が求められます。人生100年時代と言われる今、掛け替えのない幼児期5年間の環境がいかに人生にとって大切な時期かを発信していきたいと思います」
――今後の抱負。
「連合会では保護者に意識調査を行っており、そこには『福島県内は子育てしやすい環境か』といった質問も含まれています。この調査結果から得たことを根拠として、各園や保護者の要望等をしっかり把握することが大切です。そしてこれらの根拠を基に連合会として事業立案を進め、国や県・市町村に要望等を行って参ります。
各組織が同じ課題を抱えていると思いますが、今年度は連合会の会費改定を8年振りに行いました。少子化といった厳しい状況の中で苦渋の決断でした。それでも幸いに連合会を脱会する園が無く逆に新たに加盟した園がありました。有り難いことです。今後は連合会が福島県の幼児教育振興、各園の存続にどれだけ力を尽くせるかが使命と考えます。会員全員が知恵を出し合い、できることを一つ一つ着実に進めて参ります」