【菅家一郎】衆議院議員インタビュー

【菅家一郎】衆議院議員インタビュー

 かんけ・いちろう 1955年生まれ。会津高校、早稲田大学社会科学部卒。会津若松市議、福島県議、会津若松市長を経て2012年の衆院選で初当選。環境大臣政務官、復興副大臣などを歴任。

 衆議院小選挙区の区割り改定で、本県は5議席から4議席に減った。会津地方と県南地方は新3区に再編され、自民党の新3区支部長には会津地方を地盤とする菅家一郎衆院議員(67、4期、比例東北)が就任。地元の範囲が広がり、有権者の声をどのように受け止め国政に届けていくのか、菅家氏に地方創生の在り方を聞いた。

 ――衆議院小選挙区の区割り改定に伴う候補者調整の末、本県新3区の支部長に就任しました。経緯と選挙戦略についてうかがいます。

 「本県は五つの選挙区から四つの選挙区に1議席減る結果となりました。旧第4選挙区は新たに県南を含めた第3選挙区に区割りが決まり、会津地方を中心に取り組んできた私と県南を中心に活動してきた上杉謙太郎先生との調整が党本部で慎重に検討されてきた経緯があります。

 私は会津若松市長時代には大震災・原発事故が起こり、被災者の受け入れ、衆議院議員になってからはJR只見線の復旧、会津縦貫北道路、甲子道路の全線開通など地元の要望の実現に一つ一つ取り組んできました。その実績を評価していただいたのだと捉えています。今までの選挙結果は僅差で対立候補に力及ばなかったことは重く受け止めていますが、党本部が総合的に判断して、私を新3区の支部長として決定した責任を果たしていこうと思います。

 上杉先生は、旧第3選挙区では地盤の県南地方で毎回票を積み上げ、前回衆院選では対立候補である玄葉光一郎氏を上回りました。有権者からの支持を党本部が評価し、比例代表の支部長として、名簿の上位に位置付けしました。新3区の市町村をまとめると、県内では最も広い面積です。上杉先生のお力をいただいて、私も上杉先生のために働いて連携を図っていきます。

 地元の範囲が県内最大となりますが、有権者の皆様の声を一つ一つ受け止め、地方政治の最前線にいる市町村長と市町村議、県会議員のご助言も得て、それを与党議員として国政に届ければ、有権者からの応援という結果は付いてくると思います」

 ――県南地方を地盤とする上杉謙太郎代議士は県衆院比例区支部長として比例東北で優遇措置となる運びですが、今後どのような協力関係を築いていきますか。

 「自民党所属の県議の先生方は、会津地方には6人、県南地方には3人います。選挙区の面積は広くなりますが、上杉先生、9人の県議などあらゆる政治家とこれまで以上に密接な関係が築けます。一緒に選挙に臨めるのは心強いです。

 次の選挙に関しては、私と上杉先生が積み上げてきた与党議員の経験を生かせるように2人とも議席を維持することが福島県のためになると思います。私自身に言い聞かせているのですが、『お任せ』ではだめだと。私は県南で上杉先生のお力を借りながら自分なりのネットワークを構築するのはもちろん、上杉先生には私の会津の知り合いを積極的に紹介し、つないでいきます。県内の声を政治に生かすという共通目標のために、小選挙区、比例区ともに票を上積みしていきたいです」

 ――5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染症法の位置付けが5類相当に引き下げられます。政府の対応の評価並びに、「ウィズコロナ」を見据えた経済対策についてどう取り組むべきですか。

 「ワクチン接種をはじめ感染対策が浸透し、感染者は減少傾向です。現状に合うように法律を見直すのは必要だと思います。基礎疾患を抱える方、高齢の方が感染しないように医療機関や福祉施設での感染拡大を防いだ上で、感染症法の位置付けを引き下げるのは妥当だと考えます。

 コロナ禍で飲食店、観光が大きなダメージを受け、それが長引きました。国も補償などで対応してきました。この間、感染者数は減少傾向が続いていましたが、感染拡大からの3年間は『日常生活を取り戻す』という気分に国民はなれなかったと思います。5類への引き下げで、職場の歓送迎会、地域住民の方々が懇親会などを臆することなく開けるようになったのは大きいです。自然と、地域経済が活性化へ向けて息を吹き返していくのではないでしょうか。

 会津地方は県内でも有数の観光地です。海外からのインバウンドを増やし、交流人口を増やしていくことが、人口減少時代の地方創生の形だと思います。コロナの5類引き下げに合うタイミングで、只見線は昨年の10月に全線再開通し、観光路線として大いに賑わっています。

 県南については、国道289号の甲子トンネルは首都圏から県への玄関口である白河市、西郷村と大内宿がある下郷町をつなぎます。県外からの観光客は戻りつつあり、観光に関しては県南と会津地方が結びついて相乗効果が見込めるのではないでしょうか」

 ――自身が代表を務める「首都直下型地震対策バックヤード構想推進研究会」におけるこれまでの活動と今後の展開についてうかがいます。

 「東京への人口・政府機能の過度な集中と、今後30年間で起きる可能性が高い首都直下型地震への対応を考えた政策です。国会の委員会が、首都圏が災害や有事で打撃を受けた時に代わりに機能を担う場、つまり『バックヤード』の最有力候補地の一つに挙げたのが福島県でした。

 緊急事態下の首都圏を支えるには、安全で高速な交通網が整備されていなければなりません。バックヤードの一つである本県では、東北新幹線と上越新幹線のミッシングリンク(分断された路線)が磐越西線です。ここが高速鉄道でつながれば、環状新幹線となり、平時は東京から地方への分散の受け皿、緊急時は物資の供給や避難者の受け入れに役立ちます。研究会の活動が実り、国会で『地域公共交通の活性化及び再生に関する法律』の改正につながりました。

 構想で特に重要なのが政府の司令塔機能の移転です。これはまだ明確に示されていないので、今夏には国土交通省の国土形成計画に取りまとめる予定です。政府機能の分散は政府自体がその方針を示すべきではないのか、そのような思いで私たち研究会は提言をまとめ、昨年12月に国土交通大臣と国土強靱化担当大臣に要望しました。我々研究会の意見を政策に生かせるようにさらに継続して活動していきます」

 ――有権者へのメッセージをお願いします。

 「新3区の支部長に就任させていただいたことに深く感謝申し上げます。厳しい選挙にもかかわらず応援していただいたおかげだと思っています。県南、会津地方と広い地域にまたがる選挙区の支部長ですが、その重みをひしひしと感じています。

 全国で人口減少が進んでいますが、会津地方は特に影響が著しい地域です。高齢の方々が手厚い支援で健やかに暮らせるようにするのはもちろん、若い人が居心地の良い故郷にもう1回戻って、そこで安心して安全に仕事や子育てができるような環境を整えるよう尽力していきたいです。県南地方は、首都圏からの玄関口に当たり、地方分散の受け皿として重要です。両地方で、若い人たちが夢と希望を持って住み続けられるよう全力で取り組んでいきます」

【菅家一郎】衆議院議員のホームページ

掲載号:政経東北【2023年5月号】

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