【双葉町】伊澤史朗町長インタビュー

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【双葉町】伊澤史朗町長インタビュー

いざわ・しろう 1958年生まれ。麻布獣医科大学獣医学部卒。2003年から双葉町議を務め、2013年の町長選で初当選。現在3期目。

 ――昨年、特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。

 「町長就任時は町に帰還することは想像できませんでした。この間、町民と町政懇談会を行ってきましたが、町民からの『いつ帰還できるのか』との質問に答えられない時もありました。そういった意味で故郷に戻ったことは感慨深く、ホッとしています。一方で、医療・福祉や教育面の充実など新たな課題も生まれています」

 ――JR双葉駅西側には公営住宅が建設中で診療所もオープンしました。

 「当町は被災自治体で最後に避難指示が解除されたため、復興は遅れています。そのため、他自治体と同様のことを行っても町民は納得しないというのがスタートでした。そういった意味で、被災自治体の中で一番誇れる災害公営住宅と再生賃貸住宅であると自信を持っています。

 診療所はJA厚生連の協力もあって開所しました。現在は週3日だけですが、来年以降は診療日を多くとっていただけるよう厚生連にも働きかけていきたいと考えています。また、移動手段を持たない高齢者などが駅から歩いていける場所にしたいとの考えから駅前に整備しました。町役場も駅前にあり、いずれ飲食店や商店ができ、『駅前に行けば便利』と思っていただけるような環境づくりを進めていきたいと思っています」

 ――4月には浅野撚糸の双葉事業所が開所するなど産業復興の動きも活発です。

 「帰還して生活していくには仕事・雇用が必要です。そのため避難指示解除前から企業誘致に取り組み、20件、24社と協定を締結し、現在は16件が町内で動き始めました。誘致企業の中には町内居住が雇用の条件のところもあり、ありがたく思っています。誘致企業で働く他地域から来られた方で、町の良さを知って住んでみようと思う方が増える可能性もあると思っています」

 ――農業面ではブロッコリー栽培が行われています。

 「除染によって痩せた土地でも栽培しやすいブロッコリーを、県の営農再開支援事業を利用して60㌃ほど栽培しています。もちろん検査も行われており、安全面の問題はありません。私も食べましたが、身が締まっており美味しいですね」

 ――今後の抱負を。

 「復興は町長就任直後から頭から離れたことはありませんが、やっとそのスタートラインに立つことができたと思っています。今後も職員含め、心一つに進んでいきたいと思います」

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