【福島県交通安全協会】小櫻輝会長インタビュー

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【小櫻輝】福島県交通安全協会長に聞く

こざくら・あきら 1941年生まれ。㈱桜交通、㈱さくら観光代表取締役。県交通安全協会副会長を経て、2015年6月から現職。

 ――昨年11月に福島市で高齢運転者による死亡事故が発生しました。交通安全の呼びかけに加え、高齢者が運転免許証を自主返納しやすい環境づくりが求められます。

 「高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違いなど運転操作ミスによる重大交通事故が全国的に発生している中、県内でも昨年11月、福島市内の90代の男性が運転する車両が歩道の女性をはねるなどし、5人を死傷させる事故が発生しました。

 昨年、県内で運転免許証を自主返納された65歳以上の方は約6000人います。これらの情勢を踏まえ、当協会では県トラック協会の協賛を受け、昨年12月15日から65歳以上の高齢運転者が運転免許証を返納する際に、長きにわたる安全運転に敬意を表すべく『運転卒業証書』を交付しています。同事業開始から本年1月末までに382人の方に運転卒業証書を交付しております。今後も同事業を通じて運転免許証を返納しやすい環境づくりを進めるとともに、高齢化社会を地域全体で支える機運を盛り上げるべく努めていきます」

 ――協会では、3人1チームで互いに無事故・無違反を目指す「セーフティチャレンジ事業」に取り組まれていますが、昨年の実施状況についてお聞きします。

 「2015年から8年連続で2万チーム、6万人を超えるドライバーが参加しています。昨年の参加者は前年比でわずかに下回ったものの、2万1269チーム、6万3807人の参加をいただきました。高齢運転者の事故防止を目的としたシルバー枠も、昨年は2020チームが参加しています。

 無事故・無違反達成チームは1万9131チームで、達成率89・9%と前年を1・6ポイント上回り、過去最高となりました。一方、ドライバーの参加率は依然として全体の5%程度ですので、多数のドライバーにぜひ参加してほしいと思います」

 ――来年度の重点事業について。

 「昨年は、県警をはじめ、各交通関係団体と連携して交通安全運動を推進した結果、交通事故発生件数2702件(前年比マイナス295件)、死者数47人(同マイナス2人)、傷者数3132人(同マイナス314人)であり、すべての項目で対前年比減少を達成しました。

 特に死者数は現行の統計が始まった1948(昭和23)年以降最少となり、4年連続で最少を更新しました。一方、交通死亡事故発生状況を分析すると、①全死者数のうち高齢者が6割を占めるなど高齢者被害の割合が高い点、②歩行中や夜間の事故が多い点、③四輪車乗車中の死者のうち3割がシートベルト非着用である点――などが傾向として挙げられます。

 当協会ではこれら傾向を踏まえ、本年も特別重点事項として『交通死亡事故の抑止』を掲げ、地区交通安全協会、関係機関・団体と協力しながら交通安全諸対策を推進していきます。特に高齢者の事故防止対策として、県警と連携し『ピカッと・カチッと大作戦』を展開し、夜光反射材やシートベルト着用などの促進活動に注力するほか、『ドライバー総参加のセーフティチャレンジ事業』による県民の安全運転・事故防止への意識高揚を図っていく所存です」

掲載号:政経東北【2023年3月号】

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