【福島県ビルメンテナンス協会】佐藤日出一会長インタビュー

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【福島県ビルメンテナンス協会】佐藤日出一会長インタビュー2023.11

さとう・ひでいち 1955年4月生まれ。㈱東日取締役会長。2017年5月から福島県ビルメンテナンス協会会長を務める。

 ――新型コロナウイルスの5類移行が実施されました。

 「もともと人手不足が深刻な課題で、コロナ前はベトナムやミャンマーから外国人技能実習生を募り、資格を取ってもらうことで在留期間が3年から5年に延びるので、それを活用して人員確保に繋げようとしていました。その矢先にコロナの感染拡大だったので、この間完全に頓挫していました。とはいえ、外国人の方を呼び込んでも基本的には都市部の方に行く場合が多く、地方ではまだまだ外国人の方を迎え入れる動きが少ないというのも現状です。ビルメンテナンス業界でも機械化による業務効率化の動きはあるにせよ、まだまだマンパワーで動かなければならない場面が多いので、やはり人員の確保は大きな課題と言えます」

 ――全国ビルメンテナンス協会では「パートナーシップ構築宣言」の取り組みを推奨しています。

 「昨年10月頃からパートナーシップ構築宣言が出され、業務内容に見合った適正な金額で契約を結べるようにパートナーシップを締結し、発注者も請負業者も健全な関係を築こうというのが主な狙いです。県ビルメンテナンス協会としての本格的な取り組みとしてはこれからですが、労働環境や待遇改善といった部分に大きく関わってくるので、今後腰を据えて取り組んでいく考えです」

 ――人材不足が叫ばれる中で、業務品質の維持は大きな課題とも言えます。

 「コロナ禍では通常業務に加え除菌業務も併せて実施し、その意味ではコロナ禍以前よりも高い品質で業務を実施できたのではないかと見ています。しかし、それを踏まえた契約の仕様変更がなかなかうまくいかず、業務量が増えているのに対価は以前と同じという状況が発生しており、こうした部分も先述した待遇改善の話に絡んできます。特に官公庁関連では入札という形式を採っているので、価格競争が起きて安い方へと流れてしまう傾向があります。競争が起こるのは仕方ないにしても、『これより下がってはいけないライン』をもっと上げていただく必要があり、10月には最低賃金の更新があるので、それを見込んだ予算の増額を官公庁に要望しています。また、品確法の基本理念の1つとして、完成後の公共施設の適切な維持管理の重要性が明記され、関連する指針やガイドラインにより契約金額の変更が認められており、そうした部分からも働きかけたいと考えています」

 ――今後の重点事業について。

 「建物清掃管理評価資格者、通称インスペクターの資格を会員企業の中で最低1名ずつ取っていただき、維持管理業務の品質向上に努めるほか、エコチューニングの推進による建物の設備機器の運用改善、そして県内支援学校での技術指導の実施により、支援学校の生徒が卒業後にビルメンテナンス業界に入り、社会へと参画できるような道筋を作っていきたいと考えています」

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