須賀川市議選異例の連続無投票!?

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須賀川市議選異例の連続無投票!?

 任期満了に伴う須賀川市議選は、7月30日告示、8月6日投開票の日程で行われる。前回は同市にとって、1954年の市制施行以来、初めての無投票だったが、今回も無投票の可能性があるという。

「選挙時期を変えるべき」との声も

 同市議選は、7月3日に立候補予定者説明会が行われることになっており、そこで大体の顔ぶれが明らかになると思われる。

 ただ、本誌が5月中旬までに同市内で取材した中では「定数24(欠員1)に対して、新人数人が立候補を表明、あるいはその動きを見せているが、新人と引退する現職が同数になるとみられ、無投票になるのではないか、というのが現在のところの情勢です」(ある関係者)という。

 ある市民はこう話す。

 「数カ月前の時点では、定数24に27人くらいが立候補するのではないかとみられていましたが、最近になり、地元夕刊紙で無投票になる可能性があることが報じられました。普通、無投票になった次の選挙は多くの候補者が出そうなものですが、そうならないのが問題だと思います」

 冒頭で書いたように、前回の同市議選は1954年の市制施行以来、初めての無投票だった。

 前回は新人9人が立候補するなど新たな顔ぶれが出てきたが、市議選を見送り県議選に立候補した現職が3人いたほか、引退した議員も多かった。結果、新人は多かったものの定数24に現職14人、元職1人、新人9人の計24人の立候補者で、無投票での当選が決まった。

 当時、市民からは「審判を受けなかった議員が市民の代表と言えるのか」、「もし議会(議員)が失態を演じたら、『だから無投票はよくない』、『やっぱり、市民の審判を受けていない議会はダメだ』と酷評されることになるだろう。そのことを肝に命じて議員活動をしてほしい」といった声が聞かれた。

 その一方で、「初の無投票で、どう評していいのか分からない」と語る人もおり、有権者も困惑していた様子がうかがえた。それだけ、同市にとっては異例のことだったのだ。

 そんな中、前出の市民は「無投票になった次は多くの候補者が出そうなものだが、そうならないのが問題だ」との見解を示したわけだが、確かに、そういった傾向がある。

他市町村では揺り戻しも

 例えば、本誌4月号で4月18日告示、23日投票で行われた北塩原村議選の直前情報をリポートした。同村でも、前回(2019年4月)が村として初めて議員選挙が無投票となった。

 迎えた今回の村議選は定数10に対し、現職6人、元職2人、新人8人の16人が立候補した。その背景には、村内(議会内、議会と執行部)の勢力争いがあったという事情もあるものの、前回の無投票からの揺り戻しがあった格好だ。

 ある意味、それは正常な流れだろう。村内では以前(前回の村議選直後)から「無投票によって議員の質が落ちている。次回は絶対に無投票は避けなければならない」といった声や、実際に議会でのやり取りや議員の普段の振る舞いなどを見て、「やっぱり、村民の審判を受けていない議員はダメだ」との意見を聞くことが少なからずあった。「次回は絶対に無投票を避けなければならない」といった空気があり、今回はより多くの候補者が出る選挙戦になったのである。

 須賀川市では、多くの有権者が「無投票は良くない」と思っているのは間違いないが、具体的にその動きが見えないのが問題だ、というのが前出の市民の指摘である。

8月選挙の弊害

 一方で、以前から言われているのが「選挙の時期を変えるべきではないか」ということだ。

 というのは、同市議選は2007年までは4月に実施されていた。ただ、その次の改選期である2011年は、直前に東日本大震災・原発事故が発生したため、特例で選挙(議員任期)を先伸ばしにした。結果、同年以降の市議選は、現在の8月に市議選が行われることになった。

 ある識者はこう話す。

 「いまの選挙期間は、夏休み期間中のお盆前になるため、各地区では夏祭りの準備だったり、それぞれの勤め先でも長期休暇前にやっておかなければならない仕事に追われていたりと、いろいろ忙しいんです。また、須賀川市はキュウリ農家や果樹農家などが多いが、それらの農繁期でもあり、収穫最盛期に選挙どころではないという声も少なくありません。加えて、近年は猛暑で選挙運動をする側も、選挙に行く側も大変ですよね。そういったさまざまな事情から、この時期の選挙は市民の関心が得られにくい、という大きな問題点があります。ですから、この時期の選挙は良くないので、以前の4月選挙に戻せば、少し状況は変わってくるのかな、と思います」

 もし、以前の選挙時期(4月選挙)に戻そうと思ったら、議員全員の総意で、その直前に総辞職する必要がある。

 ある関係者は「実際にそうした話も出た」という。

 「前回選挙後、『今回は無投票だったから、(数カ月、任期を返上して議員全員が辞職し、以前の選挙時期に戻すことについて)以前より抵抗なくできるのではないか』といった意見があった。実際、議会でそれを提案した議員もいたそうですが、『あなた1人で辞めれば』と言われたそうです。当然、提案した議員からすると、『それでは意味ないだろ』という話になりますが、その程度の認識でしかないということです」

 もっとも、選挙時期を以前の4月に戻したとして、現在の8月選挙よりは市民の関心が得られやすくなるだろうが、実際に立候補する人が増えるかどうか、というとまた別の問題になろう。

 議員のなり手不足については、機を見てあらためてリポートしたいと考えるが、本誌では以前から、会社勤めの人でも議員活動ができるような工夫が必要であると訴えてきた経緯がある。議会として、そういったことを考えていかなければならないだろう。

 同市議選までは、まだ少し時間があり、今後情勢が変わる可能性もある。異例の連続無投票となるのか、それとも無投票回避のために候補者が出てくるのか、が注目される。

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