【亀岡偉民】衆議院議員インタビュー(2024.2)

contents section

【亀岡偉民】衆議院議員インタビュー(2024.2)

 かめおか・よしたみ 1955年生まれ。作新学院高、早稲田大卒。現在5期目。この間復興副大臣などを歴任し、現在、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会委員長を務める。

 自由民主党福島県連は昨年11月に総務会を開き、新会長に亀岡偉民衆院議員(68、5期、比例東北)を選出した。内閣支持率の低迷が続き、派閥の政治資金パーティーの裏金疑惑も浮上する中で、どのように信頼回復を果たしていく考えなのか。亀岡衆院議員に今後の抱負について語っていただいた。(取材日・1月6日)

 ――自民党県連の新会長に就任した経緯と新会長就任の抱負について。

 「昨年10月に県議選を終えたのを機に、県連内で体制を新しくしようとの声が上がりました。そうした中で、前会長の根本匠先生(衆院議員、9期、福島2区選出)から『よろしく頼む』と言われて、お受けしました。県議選の時点で有権者から『増税』と言われるなど、政権与党へのイメージが悪かったのは事実であり、自民党がこれから変わるというイメージを持たせる必要がありました。

 抱負は、これからいかに自民党の信頼を取り戻すか、ということに尽きます。『自民党だから応援する』ではなく、『こんな取り組みをしている自民党だから応援したい』と言ってもらえる党にすることが大事です。私たちは『原点に立ち返ろう』と呼びかけ合い、『地方から信頼を得られる自民党にしていくために、いま地元で何をすべきか一緒に考えていきましょう』と党内、県連内で話し合っています。

 昨今の政策は大都市中心、大企業中心に偏りがちな面がありますが、地方は中小企業、個人事業主の方が多い。地方から景気を回復させるためには、この方たちを助ける必要があります。与党としてスタートアップ事業などに予算を付けているので、これら事業を活用していただき、実績を積み上げることで、信頼回復につなげていきたいと考えています」

 ――衆院選小選挙区の区割りが改定されました。亀岡議員が地盤とする福島1区は福島市、二本松市、伊達市、本宮市、伊達郡、安達郡という構成になります。新たに地盤に加わった地域の課題解決に向けて、どう貢献していく考えですか。

 「本宮市は令和元年東日本台風で被害を受けましたが、早急に復旧して中心市街地の開発に取り組んでいます。来春には全国初となる24時間営業の水素ステーションが開設される予定で、最先端を走っています。商工団体と行政が連携を密にし、官民一体で課題解決に取り組んでいる印象があります。同市の高松義行市長と、隣接する大玉村の押山利一村長からは『人口増を目指す』という積極的な目標を聞いて感嘆しました。市町村の取り組みを国がバックアップしたらもっと効果を出せるのではないか、と希望が湧きました。

 新たにご縁が生まれた地域ですが、父・亀岡高夫(元建設大臣、農林水産大臣)を知っている方も多く、とても温かい環境に置いていただいたと思っています。

 ただ、選挙の区割りに関しては有権者の戸惑いを感じます。政治家はその選挙区の代表として国会に行っているのだから、機械的に区割りを決めるのではなく、まず当事者である政治家の意見を聞くべきだったと思います。1票の格差が2倍以上で違憲状態となるから是正しなければならないとのことですが、大都市と地方の不均衡状態を考えると、人口に基づく区割りには違和感を抱きます。『地方と大都市の1票の格差は違憲ではない』と明記するよう、憲法改正を働きかけるのが地方選出国会議員としての責務と考えています」

 ――今後の新型コロナウイルスへの対応と、アフターコロナを見据えた戦略についてうかがいます。

 「コロナ禍で商売が立ち行かなくなる人が多く出ました。与党自民党では新たな分野へのチャレンジやスタートアップを支援する事業に予算を付けてきたので、今こそ活用してほしい。国が商売の継続を支援し、地方から新たに起業する流れが活発になってほしいですね。

 借金返済を迫られると、再起しようとする気持ちを失ってしまうのは事実です。そのため金利の据え置きを再延長できる仕組みを検討して、返せる時に返してもらうやり方で、事業者の方には経営に専念していただき、地方の経済を立て直していくことが大事だと思います」

 ――東京電力福島第一原発で増え続ける放射性トリチウムなどを含んだ水(処理水)の海洋放出が始まりました。放出後の本県の風評問題についてどう捉えていますか。

 「結果的に、福島県沖の水産物の値段は下がりませんでした。日本中の方に買い支えていただいたおかげです。一方で、県内では風評の影響でインバウンド客が1人も来なくなった地区があり、観光業には大きな打撃となりました。単なる風評被害ではなく『政治的風評被害』と呼ぶべき状況になっています。

 やめさせるには風評の元となっている処理水のタンクをどうにかしなければなりません。もし、福島県民がこぞって『タンクを全部なくさない限り風評はなくならない』と考え、双葉町や大熊町のために処理水放出を受け入れていたら、国内で反対の声が上がることはなかっただろうし、諸外国が反対できる状況にもならなかったのではないでしょうか。県内で反対の声が上がったから、日本を批判するための外交に使われた感があります。反対ではなく、どのようにして、タンクが置かれている双葉町、大熊町を守り、復興につなげていけるかが重要だと思います。反対のための反対は止めるべきだし、前に進むためにも、県民の理解を得られるように努力を続けていくしかありません」

 ――自民党安倍派・二階派における政治資金パーティーをめぐる裏金問題の影響で、岸田内閣の支持率が低下しています。

 「県連会長として、県内の自民党国会議員に聞き取りしましたが、裏金作りは誰も行っていません。パーティー券販売分の一部を受け取る仕組みが慣例としてあり、『収支報告書に書かないでくれ』と言われていたのでどう記載するか会計担当者が苦慮していた実態はありましたが、裏金にした人は1人もいません。

 裏金が何を指すのか明確でないままに『裏金問題』と報道されたダメージはものすごく大きいです。『裏金』と言われたものは慣例に起因し、記載が曖昧だったためではないでしょうか。政治資金規正法ができたときに、古くからの慣例を切り替えられなかったかことが問題につながっていると捉えています。

 これから検察がどのような捜査をするかは分かりませんが、『裏金』と事実でないことを報道するとしたら大きな問題だと思います。ただ、政治家としては『駄目なものは駄目』としっかり正していきましょうという思いがあります。早く襟を正すことが大事だと考えています」

 ――有権者へのメッセージを。

 「異常な物価高の中、国民の皆さんに安心してもらえる環境をつくることが私の役目だと考えます。バラマキではなく、理解を得ながら『一緒に頑張りましょう』と並走できる体制で取り組まなければなりません。国民の皆様にはもう一度元気を持ってもらえる政策をつくりながら、政治も進めていくことを示していきたい。地方から経済再生につながる取り組みを進めていきます」

related post

関連記事