【星北斗】参議院議員インタビュー(2024.2)

contents section

【星北斗】参議院議員インタビュー(2024.2)

 ほし・ほくと 1964年郡山市生まれ。安積高校、東邦大学医学部卒。医師。医系技官として旧厚生省に入省。退官後の現在、星総合病院理事長。2022年の参院選で初当選。

 派閥の政治資金パーティー問題で大揺れの自民党。国民の視線が厳しさを増す中、岸田文雄総裁を先頭にどこまで改革が進むのか注目されるが、そうした状況を本県選挙区選出で無派閥の星北斗参院議員(59)=1期=はどう見ているのか。政治不信を解消する方策と合わせ、自身が今後とるべき行動を率直に語っていただいた。

 ――初当選から約1年半が経過しましたが、この間を振り返って。

 「昨年の通常国会では何度も質問に立たせていただきました。いくつか印象に残っているのは、感染症関連の法案審議で、私が経験したコロナ対応などをベースに質問を行い、それが制度に反映されたことと、福島復興再生特措法関連の審議で、特定帰還居住区域に帰ってきた被災者が農業を生業としている場合、農地だけでなく水路、取り付け道路、周辺山林の一部も農業に必要であれば除染の対象になるという明確な答弁をいただけたことです。これらの質問は医療従事者や被災者など現場から寄せられた声がヒントになりました。県議や県幹部の皆さんに相談したり、情報をいただけたりしたことで中身の濃い質問にすることもできました。一回生ではありますが、県民のお役に立つ仕事ができて嬉しく思っています。

 一方、昨年の臨時国会では厚生労働委員会理事として、野党の先生方との交渉の一端を担わせていただきました。人脈が広がった点では非常に良い経験でしたが、半面、ほとんど質問できなかったので、1月26日から始まる通常国会ではあらためて質問に立ちたいと考えています」

 ――派閥の政治資金パーティー問題に国民は憤っています。無派閥の星議員はどう見ていますか。

 「私は派閥のプラス面とマイナス面を見極めたいと考え、入会のお誘いはいただいたもののこの間、無派閥の立場をとってきました。そうした中で今回の問題が起こり、現在は無派閥の先輩議員や一回生議員らと『無派閥や一回生だからこそできること・やるべきことがあるのではないか』と議論を重ねています。

 派閥と聞いて真っ先に思い浮かぶのはパーティーですが、大臣や副大臣など人事の推薦が行われたり、内規で定めている定年制が有名無実化されているといった報道も見聞きします。そうした中で、私のような一回生が口を挟んで大丈夫なのかと心配する声もあれば、黙って見過ごすのか、無派閥だからこそはっきり物を言うべきではないかという声もいただいています。私は県民に選んでいただき、県民の負託にこたえるため参院議員になりました。であるならば、言うべきことは言わなければならないという立場から、今の自分に何ができるのか先輩議員らと具体的な行動に移すための準備を進めているところです。

 私は社会人として三十数年過ごし、その間にはグループに属したり、今現在グループを率いる立場にもいます。とかく政治の世界は特別と言われますが、だからこそ国民が政治から離れていっている面は否めないと思います。私は政治家の保守本流ではありませんが、長く社会人として過ごしてきた自分をベースに、投票してくださる皆さんの立場に立った行動をとっていきたい」

 ――何に手を付け、それによってどう変わったかがはっきり見えないと国民は納得しないと思います。

 「岸田総裁はパーティーや人事推薦制度をやめる方針を示していますが、派閥そのものをなくすべきという意見もあります。一方で政策集団としての派閥は必要という声もあります。私は参議院なので普段、衆議院の先生方と会うことがなく、厚生労働委員会以外の先生方と接する機会も少ない。そういう意味では、派閥は人の輪を広げるのに有効だし、政治家としての心構えなど先輩議員から教えていただけることも多々あるので、まずはお金の問題を決着させ、人事推薦制度を改めるなどしてから今後の派閥のあり方を考えるべきだと思います。個人的には派閥=悪という考えは持っていません」

 ――自民党の支持率が下がるのは当然ですが、野党の支持率も上がっていません。国民の政治そのものに対する不信を政治家は深刻に受け止めるべきだと思います。

 「正直〝場外乱闘〟が多すぎると思います。Xやユーチューブで『説明不足だ』『無知だ』といった発信をよく見かけますが、非常に子どもっぽく感じるし、多くの国民は呆れているのではないでしょうか。

 政治家が議論を闘わせる場は国会であり〝場外乱闘〟は慎むべきです。議論の中身も週刊誌報道をあげつらうのではなく、この法律・予算をどうしていくのか国民生活に資することを論じるべきです。さらにテレビ中継が入る予算委員会も国民受けを狙ったパフォーマンスではなく、その名の通り予算をめぐる真摯な議論に努めるべきです。ただ誤解されては困りますが、皆さんが見る機会の少ない各種委員会では専門性の高い議論が行われていることを付言したいと思います。

 もう一つ大切なのは、質問や議論の中身を国民に知っていただく努力を国会議員自らがすることです。例えば、ネットで私の名前を検索すれば質問している場面が動画で全て出てきます。過去の議事録も検索できます。それを全ての国民に見ていただくことは不可能だが、国会議員がぜひご覧くださいと積極的に発信すれば、興味のある国民は見ると思うのです。私も、そうやって見ていただいた医療従事者から『いい質問をしてくれてありがとう』『動画を見るまでどんな活動をしているか分からなかった』と言っていただき、一定の手ごたえを感じています。マスコミに報じていただく場合もありますが、切り取られた報じ方をされると無用な誤解を招くことがありますからね。

 国政報告も、大勢集めて派手なパーティーを開くのではなく、十数人のミニ集会を各地で行えば、私の考えを理解していただけると同時に、皆さんの思いに直接触れることができます。お互いの絆も深まります。政治を身近に感じていただかないことには信頼回復にはつながらないと思います」

 ――新型コロナが収束してきた中で、今後はコロナで得られた知見を新たな感染症対策に生かす取り組みが求められます。

 「例えば今回の能登半島地震でも避難所に感染症チームが派遣され、コロナの知見を生かした取り組みが展開されています。医療機関も次に何かが起きた時、自身の役割を都道府県と事前に協議することが法律に明記されました。

 さらに感染症の専門家が不足した経験から、県独自に必要な予算を確保し、昨年9月から感染症に特化した看護師の育成事業が県主導のもと民間病院で始まっています。福島方式とも呼べるこの取り組みは、全国から注目を集めています」

 ――最後に県民にメッセージを。

 「私のモットーは、特定の誰かのためではなく、私を国政に送り出してくださった県民の皆さんを思いながら議員活動するということです。そうした姿を知っていただくためにも、これから多くの皆さんと対話をさせていただきたいと思います」

related post

関連記事