本誌先月号に「猪苗代町『世界のガラス館』に身売り説」という記事を掲載した。猪苗代町にある観光施設「世界のガラス館」をはじめ「猪苗代地ビール館」「猪苗代おかし館」を運営する親正産業㈱(猪苗代町三ツ和、成井理人社長)が、会津地方の複数の観光施設を傘下に置く㈱DMC aizu(猪苗代町字葉山、遠藤昭二社長。以下DMC社と略)に施設を売却するウワサが持ち上が
っていることをリポートした。
親正産業は慢性的な赤字で、今年3月に2029年12月期までを計画期間とする経営改善計画を策定し立て直しを進めていた。そうした中で身売りのウワサが浮上したため、筆者は7月10日、親正産業の成井社長とDMC社の遠藤俊平常務に取材を申し込むと、両氏からメールで次のような回答が寄せられた。
「DMC社様は猪苗代の観光ホテルやスキー場を経営されていることもあり、弊社だけに関わらず、猪苗代全体の事業主様と共に観光業への取り組みでご協力、ご助力いただければと考えております。弊社は経営改善計画を策定し、金融機関からの支援もいただく中で定例会議を行いながら今後3カ年で経営改善を目指しているところです」(成井社長)
「現時点でお話しできることはありません。ただし、同じ地域で観光関連事業を行う事業者様でありますので、親密先としてお付き合いさせていただいています」(遠藤常務)
こう述べていた両氏だったが、本誌先月号が発売される直前、DMC社が親正産業の株式の過半数を取得し、子会社化したことが地元紙で報じられ(9月1日付)、身売りのウワサは事実だったことが判明した。報道によると株式取得は8月29日付で、親正産業の役員は成井理人氏が取締役社長、遠藤俊平氏が代表取締役に代わった。
筆者は地元紙報道があった当日、あらためて両氏に取材を申し込んだが、成井氏は「弊社はDMC社の子会社になったので、質問があれば親会社に問い合わせてほしい」としかコメントしなかった。
一方、遠藤氏は筆者の五つの質問に次のように回答した。
――親正産業とは、いつぐらいから協議をしていたのか。
「もともと当該施設とは良好な関係を築いており、その頃から協業についても柔らかな協議を重ねていました。なお、前回質問があった7月時点はまだ調整中で、開示可能な状況には至っていませんでした」
――買収価格は?
「守秘義務などにより非開示とさせてください」
――親正産業が進めていた経営改善計画は引き継ぐのか。
「これまでの経営方針を尊重しつつ、当社としては一定の投資を行い多少の方針変更は生じ得ると思います。親正産業が取り組んだ改善施策で有効なものは引き継ぎ、併せて当社独自の改善・刷新を実施します」
――成井理人氏ら成井一族の待遇は?
「雇用契約や委託契約などは基本的に新体制でも継承します」
――世界のガラス館のポテンシャルと課題はどう考えるか。
「ポテンシャルは観光導線上の好立地、体験型コンテンツ、インバウンド対応余地などが挙げられます。課題は需要の季節偏重、商品ラインナップの偏り、デジタル販促の不足などが考えられます」
そのうえで、遠藤氏は「魅力向上のため、当社として施設増強を含む一定の投資を行い、持続的な発展を目指します」とコメントした。
経営に苦慮する観光施設が、DMC社のお眼鏡にかなえば傘下に入る流れは今後も続きそうだ。

























