【福島県土木部】矢澤 敏幸部長インタビュー(2025年)

【福島県土木部】矢澤 敏幸部長インタビュー(2025年)

経歴

やざわ・としゆき 1967年生まれ。埼玉大学工学部卒。1990年に県庁入庁。会津若松建設事務所長、土木部次長などを経て、昨年4月から現職。

 近年は地震や水害などの自然災害が相次いでいるほか、今年は大雪の被害もあった。そんな有事の際に迅速な対応や防災・減災対策が急務となっている。一方で、それらを担う建設業界は、従事者不足や高齢化などの問題を抱えている。そうした課題に県としてどのように取り組むのか。矢澤敏幸県土木部長に話を聞いた。

必要な社会資本の整備を着実に進めていく。

 ――部長就任から1年2カ月が経過しました。この間を振り返っての感想をお聞かせください。

 「『第2期復興・創生期間』、『防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策』の終盤に差し掛かった1年間を通じて、インフラ施策の充実のために土木部へ向けられている期待の大きさ、果たすべき役割の重要性を強く体感しました。今後も復興の進展に伴う新たな課題等に対応するため、住民の帰還やイノベーションコースト構想等を支援するインフラ整備に取り組んでまいります。

 今年2月には、昭和38年以来、62年ぶりに災害救助法が適用となる大雪に見舞われました。この記録的な大雪により、会津地方では、県民の生活や物流、観光などに甚大な影響が及びました。気候や風土が異なる広大な県土において、県民生活の安全・安心を確保するため、改めて、防災・減災の取組を推進していくことが重要と感じたところです」

 ――今年度は建設業業界で、大量のベテラン労働者が退職することで人手不足が深刻化する2025年問題が懸念されています。

 「福島県の建設産業においても、技術者の高齢化が進んでおり、若い世代の担い手確保・育成が大きな課題となっております。将来にわたり、建設産業が『地域の守り手』として持続的に重要な役割を発揮できるよう、長時間労働の是正や生産性の向上等による働き方改革がますます重要になってくると考えております。長時間労働の是正に向けた取り組みとしては、昨年4月から完全週休2日制及び交替制工事の導入に取り組んでおります。今年1月からは災害復旧工事も対象に加えるなど、更なる週休2日等工事の促進に向けて取り組んでまいります。この取り組みは公共工事全体で進めていく必要があるため、各市町村に週休2日確保工事の導入を呼びかけてきた結果、今年3月までに県内全ての市町村で導入することが決まりました。

 また、地域における対応力の強化のためには、技術者の育成が不可欠です。このため、『ふくしまインフラメンテナンス技術者育成協議会』と連携し、技術力の向上に取り組むほか、職歴や資格等が給与等に反映されるよう、建設キャリアアップシステムの普及を図るとともに、国と連携しながら、適切な労務単価を確保するなど、処遇の改善にも努めてまいります」

復興と地方創生の両輪


 ――8月7日にはふくしま復興再生道路として整備が進められてきた小名浜道路が開通となります。

 「『ふくしま復興再生道路』の一つとして整備を進めてきた主要地方道いわき上三坂小野線・小名浜道路は、重要港湾小名浜港と常磐自動車道を直結する全長8・3㌔の自動車専用道路であり、NEXCO東日本の協力のもと工事を進めており、8月7日に開通する見込みです。これにより、物流の円滑化や企業誘致、広域的な観光振興、大規模災害時における円滑な緊急輸送など、様々な波及効果をもたらすものと期待しております。 さらに、小名浜地区では、9月、いわき市の観光物産施設『いわき・ら・ら・ミュウ』が県内で36番目となる道の駅としてオープンするなど、更なるにぎわいの創出の話題があります。重要港湾と高速交通網を結ぶ小名浜道路の有効活用により、経済・交流・防災の面で、大きな効果があると考えております」

 ――令和4年度から福島県土木・建築総合計画に取り組んでいますが、現状について。

 「震災復興や自然災害への対応の他、土木部が担う役割をひとつ、ひとつ実現していくため、福島県総合計画に基づく部門別計画として、令和3年度に『福島県土木・建築総合計画』を策定しました。基本目標に掲げた『安全・安心、豊かさを次代につなぐ県土づくり』に向け、原子力災害からの復興とともに、人口減少や各地域の課題を踏まえ、激甚化、頻発化する自然災害に備えた防災・減災のほか、にぎわいのある持続可能な県土づくりに向け、道路ネットワークの強化や流域治水を推進するとともに、移住、定住、二地域居住に係る施策などに取り組んでおります。計画の進行管理については、県民の方々に、進捗状況や成果を実感していただけるよう、福島県総合計画と整合を図りながら、37の具体的な数値目標を設定したところです。

 今後も、7つの目標、14の施策に基づき、県土の将来を見据え、『安全・安心、豊かさを次代につなぐ県土づくり』に向け、復興と地方創生を両輪で進めてまいります」

 ――その他の今年度の重点施策について。

 「東日本大震災からの復興・創生については、帰還困難区域内の河川・海岸の災害復旧のほか、避難地域の住民帰還や浜通り地方の復興を支える『ふくしま復興再生道路』等の整備を推進します。さらに、震災の犠牲者への追悼と鎮魂、震災の記憶と教訓の伝承はもとより、震災と原子力災害により甚大な被害を受けた本県が国内外に復興への強い意志を発信していくための復興祈念公園については、園内で国が整備している国営追悼・祈念施設とともに、来年春頃の全面供用開始を目指して進めてまいります。

 また、防災・減災、国土強靭化及び安全・安心の確保については、今年4月、新潟県境に近い国道252号の冬期通行止め区間において、橋梁が雪崩で流失していることが判明し、現在通行止めとしております。国道252号は、本県と新潟県を結ぶ重要な路線であることから、早期の交通開放に向け、仮橋の設置を進めております。速やかに復旧を進めることはもとより、国道289号八十里越の早期完成に向け、国と連携して取り組んでまいります。また、2月の記録的な大雪を踏まえ、除排雪体制の検証等も併せて進め、今後の体制強化につなげてまいります。

 激甚化する豪雨対策としては、流域内のあらゆる関係者と連携しながら、流域治水の推進を図るとともに、特定都市河川に指定した釈迦堂川、逢瀬川及び谷田川について、早期の流域水害対策計画策定に向け関係機関等と連携し、検討を進めてまいります。

 令和7年度につきましては、『第2期復興・創生期間』、『防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策』の最終年度となることから、期間終了後の事業展開を見据え、県土の持続的な発展のために必要な社会資本の整備を着実に進めてまいります」

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