本誌2023年12月号「郡山【小原寺】お檀家・業者に敬遠される前住職」で、郡山市図景の大邦寺神竜院小原寺について、東堂(前住職)の安倍元雄氏への不満の声が噴出していることをリポートした。
檀家によると、同寺院は葬儀の際に支払うお布施が他の寺院より高く、院号100万円超、軒号70~80万円はかかるという。近年は、親が亡くなったのを機に〝墓じまい〟して、墓を移す人もいるが、その際に数十万~100万円の〝離檀料〟支払いを求められるとか。ちなみに、曹洞宗では、宗門公式として離檀料について取り決めをしていない。
もともと檀家に対し〝上から目線〟で接するところもあり、折り合いが合わなかった市内企業の経営者は離檀した。その他の檀家との交流も希薄で、「いま寺がどういう状況なのか全く分からない」というボヤキが聞かれる。
安倍元雄氏は元教員で、話をするのは大の得意。あいさつし始めたら止まらないのは市内の経済人の間でも有名。一方で、葬儀の在り方に厳格で、葬祭業者の担当職員に長時間にわたり〝公開ダメ出し〟したり、タイムスケジュールを無視して読経後の法話で30~40分話すなど、〝業者泣かせ〟で知られる。そのため小原寺の檀家の葬儀を受け入れていない葬祭業者もあるとか。
各方面から上がった不満の声を安倍元雄氏に直接ぶつけたところ、「お布施はできるだけ安くすることを心がけているし、納めるべき金額は檀家にはっきり公表している」、「離檀料は長い間お世話になった気持ちを込めて菩提寺に寄付したいという方もいるので設定しているが、決して強制ではない」、「(不満の声には)他の寺の住職のねたみも含まれているのではないか。住職に知識や考えがなければ長く喋りたくても喋られない」との見解を示した。
そのため、記事では「ただでも仏教離れが進んでいる中、檀家の不満に真摯に耳を傾けず、自己中心的な寺院運営を続けていたのでは、檀家が離れていく一方。対応を見直すべきだ」と指摘した。
ただ、市内の寺院関係者によると記事掲載後も安倍元雄氏の態度に変化はなく、自己中心的な言動がより目立つようになっているという。
「1、2時間遅刻してきたかと思えば、読経を10分ぐらいで済ませる。気分の上がり下がりが激しく、呼ばれていない会合に突然顔を出すことも。各所でトラブルの火種を生み出し、仏教関係者、葬祭業関係者は『もう関わりを持ちたくない』と、必要最小限の付き合いに留めている状況です」(市内の寺院関係者)
小原寺の檀家となっている年配男性は「寺と言えば、総代や檀家が行き来して、住職と茶飲み話をするものだが、小原寺に足を運ぶ人をほとんど見かけない。自分も年に1度、盆供養で行く程度。周囲に〝墓じまい〟した人もいる」と苦笑する。
別の檀家は「80代前半になり、年齢的な限界を迎えつつあるということだと思います。読経も途切れるようになってきた。息子の安倍元輝住職は体調の関係で最近活動を控えているが、後継者がいないわけではない。このあたりでキッパリ世代交代した方がいい」と提言する。
安倍元雄氏はこうした声をどう受け止めるのか。小原寺を訪ねたが、女性職員に「法要の予定が連日びっしり入っていて時間が取れない」と取材を断られた。
同寺院の本堂は2014年に建設された現代的な建物で、広い駐車場が整備されたが、取材時は職員らの2台の車しか止まっていなかった。寺院は住職・東堂だけのものではなく、檀家がいて初めて成り立つもの。今後も寺院運営を継続するために、まずは檀家の声に真摯に耳を傾けるところから始めてはどうだろうか。