【衆院新1区最新情勢】亀岡氏と金子氏 県北・安達で〝因縁対決〟

【衆院新1区最新情勢】亀岡氏と金子氏 県北・安達で〝因縁対決〟

 本誌昨年12月号で衆院新4区の自民党公認候補者をめぐる問題、今年2、3月号で新2区、新3区の情勢をリポートした。今号は残る新1区の現状に迫る。自民党・亀岡偉民氏(68)=5期=と立憲民主党・金子恵美氏(58)=3期=が争う構図は旧1区時代と同じだ。選挙区を構成する市町村が変わり、両氏はどのように支持を広げていくのか。新たに両氏に投票することになる旧2区の有権者は、選挙区変更をどう受け止めているのか。

支持者から「反省足りない」と共に批判されるワケ

亀岡偉民氏
亀岡偉民氏
金子恵美氏
金子恵美氏

 旧1区は福島、伊達、相馬、南相馬の4市と伊達郡、相馬郡で構成されていたが、区割り改定後の新1区は福島、二本松、伊達、本宮の4市と伊達郡、安達郡になる。

 二本松市、本宮市、安達郡(大玉村)の安達地区は前回衆院選までは旧2区で、自民党・根本匠氏と立憲民主党・馬場雄基氏が争った。

 亀岡氏と金子氏の激突は次の衆院選で4回目になる。過去3回は金子氏2勝、亀岡氏1勝。ただし、敗れた側は比例復活を果たし、議席を維持してきた(別掲参照)。

過去3回の旧1区の投票結果

◎2021年10月31日投票
当 123,620 金子 恵美56 立民前
比 118,074 亀岡 偉民66 自民前

◎2017年10月22日投票
当 126,664 金子 恵美52 無前
比 113,514 亀岡 偉民62 自民前

◎2014年12月14日投票
当 102,950 亀岡 偉民59 自民前
比 97,643 金子 恵美49 民主新
16,787 渡部 保子72 共産新

 前回、前々回と選挙区で連敗した亀岡氏は背水の陣だ。新選挙区移行時の候補者調整で、当時の自民党の森山裕選挙対策委員長は比例復活の回数が多い議員について、公認候補予定者となる支部長就任に慎重だった。実際、亀岡氏の支部長就任は他者より遅れて決まっている。また、同党には選挙区で連続2回以上敗れ比例復活した議員は原則、重複立候補を認めない内規もある。

 そんな亀岡氏に選挙区で連勝している金子氏だが、国会議員として秀でている部分や目立った実績がない金子氏がなぜ得票できるのか。

 一般には、亀岡氏は栃木県の学校出身だが、金子氏は福大附属小中、福島女子(現 橘)高卒業で同窓会票が見込める、女性票を取り込みやすいのは男性より女性などの強みが考えられる。亀岡氏が旧1区時代にコスタリカを組んでいた故佐藤剛男衆院議員と不仲だったため、佐藤氏の元支持者が未だに応援しないことが亀岡氏の弱みとも言われる。

 「金子氏がなぜ勝っているか、明確な理由は支持者ですらよく分からない。ただ、高齢の有権者ほど『恵美ちゃんがかわいそうだから』と言う。『かわいそう』が何を意味しているかは不明だが、『娘』を落選させるわけにはいかないという親心が得票につながっているのかもしれない」(伊達市内の経済人)

 県が公表している新1区の選挙人名簿登録者数を別表①に示す(3月1日現在)。福島市が全体の60%と圧倒的票田になっている。伊達市と伊達郡を加えれば、その割合は80%まで伸びる。旧1区時代からの地盤である県北地区でどう足場固めをするかが重要になるが、亀岡氏と金子氏が新1区で争った場合をシミュレーションすると、両氏が取るべき戦略が見えてくる。

福島市	       229,389人
二本松市 44,201人
伊達市 49,307人
本宮市 25,011人
伊達 桑折町 9,621人
国見町 7,331人
川俣町 10,498人
安達 大玉村 7,215人
合計 382,573人
※県公表。今年3月1日現在。

 前回衆院選の結果をもとに、安達地区で根本氏が獲得した票を亀岡氏に、馬場氏が獲得した票を金子氏に置き換えた結果が別表②だが、県北地区の結果だけ抜き出すと、金子氏9万5962票、亀岡氏8万9635票で金子氏が約6300票上回っている。しかし、安達地区の結果はというと、亀岡氏(根本氏)2万6701票、金子氏(馬場氏)2万0636票で亀岡氏が約6000票上回る。結果、全体では金子氏がわずか262票多いだけという大接戦が予想されるのだ。

表② 亀岡氏と金子氏の得票数(シミュレーション)

亀岡氏金子氏
福島市66,42468,924
二本松市16,02112,453
伊達市13,26218,218
本宮市8,2486,169
伊達桑折町3,7542,704
国見町2,7492,559
川俣町3,4463,557
安達大玉村2,4322,014
合計116,336116,598
※前回2021年の衆院選の結果をもとに、根本匠氏の得票を亀岡氏、馬場雄基氏の得票を金子氏に置き換えて本誌が独自に作成。

 ここから見えてくるのは▽金子氏は県北地区の得票を維持しながら安達地区の得票を伸ばす、▽亀岡氏は県北地区の票差を縮め、安達地区の票差を広げる、ということだ。

 もっとも、安達地区の有権者は根本氏・馬場氏だから票を投じたわけで、根本氏に投票した人が亀岡氏、馬場氏に投票した人が金子氏の名前を書くとは限らない。根本氏と亀岡氏、馬場氏と金子氏の間で支持者の引き継ぎがきちんと行われないとシミュレーションの得票数は維持できないし、票差を広げるのはもっと難しくなる。

国会での仕事量に差

 「それでなくても県北地区では、亀岡氏は不人気なんですから」と嘆くのは亀岡氏を熱心に支持するベテラン自民党員だ。

 「災害が起きれば自ら被災地に赴いて被害状況を確認し、政府や省庁に必要な支援を強く求めるなど行動力は抜群。しかし『オレは仕事をやっている』というあからさまな態度や上から物を言う姿勢が反感を買われ、それが『謙虚さがない』との評価につながっている」

 ならば亀岡氏より金子氏の方が人気が高いかというと、そうではない。

 「招待されていようといまいとイベント・会合に駆け付ける。それは熱心でいいのだが、予定表にはないのに『挨拶させろ』と迫るので皆対応に苦労している。自分は顔と名前が売れて満足かもしれないが、イレギュラーの挨拶は進行の妨げになるので主催者は良く思っていない」(前出・経済人)

 招待しなかったり挨拶を断わると後日、金子氏本人からクレームの電話が入ることもあるため、辟易している人は少なくないとか。

 証言だけでは何なので「亀岡氏は仕事をしている」、「金子氏はどんなイベント・会合にも駆け付ける」のが本当なのか探ってみたい。別表③は地元紙掲載の「県関係国会議員の動静」をもとに、2月26日から3月17日までの両氏のスケジュールをまとめたものだ。それを見ると、亀岡氏は国会での仕事が多いが、金子氏は党務と「調整中」が目立つ。

表③ 亀岡氏と金子氏の動静

亀 岡 氏金 子 氏
2/26予算委員会、医療関連会議調整中
2/27予算委分科会、農業支援策関連会議超党派森林環境政策議員懇談会
2/28予算委分科会、叙勲受章祝賀会党食料・農業・農村基本法検討WT
2/29予算委、教育関連団体意見交換調整中
3/1予算委、後援会国会見学国立大付属学校全国同窓会
3/2各地区イベント春闘勝利県中央総決起集会
3/3裏千家淡交会支部会議、各地区総会調整中
3/4文科関連会議、医療団体意見交換党東日本大震災復興本部の県内視察
3/5国交関連会議、団体定時大会調整中
3/6厚労関連会議、武道振興大会など自治労消防政策議員懇談会など
3/7県団体要望、JA農政推進の集い党「次の内閣」閣議
3/8日本消防協会表彰式など調整中
3/9各団体イベント調整中
3/10各団体総会、前県議感謝の会など調整中
3/11東日本大震災追悼復興祈念式など東日本大震災追悼復興祈念式
3/12本会議、農業政策関連会議など本会議など
3/13医薬産業政策調査会など農水委員会、全農林農政学習会
3/14調印式、学童保育議連党「次の内閣」閣議
3/15資源確保戦略議連総会など調整中
3/16バレーボール大会など調整中
3/17党大会、医療政策会議調整中
※福島民友「本県関係国会議員の動静」をもとに筆者作成。


 国会での仕事は、当然すっぽかすわけにはいかない。それに対し、党務は国会での仕事より拘束される時間が少なく、「調整中」が多いのはそれだけ日程に余裕がある証拠。与野党の違いが影響していることもあるが、亀岡氏と金子氏の仕事量に差があるのは確かだ。

 「今日は国会が開かれているのでは?という日も地元で金子氏を見かけることがあるから、随分ヒマなんだなって」(前出・経済人)

 亀岡氏の「オレは仕事をやっている」発言は、金子氏への当て付けもあるだろう。ただ問題なのは、そう自負する亀岡氏が選挙区で金子氏に連敗している現実だ。

 「選挙で勝てないのは、有権者から仕事をしていると思われていない証拠。本当にしているなら、有権者に実績をしっかりアピールしてほしい。このままでは仕事もせずにイベント・会合に出席している人に負けっぱなしで終わってしまう」(前出・ベテランの自民党員)

「反省の態度を見せろ」

 このように評される両氏を、区割り変更で新1区に加わった安達地区の人たちはどう見ているのか。

 「裏金問題の影響は大きい」と語るのは自民党系の議員だ。

 「亀岡氏はこんな人、と支持を広げようにも派閥の裏金問題が影響して『あまり良いイメージはない』と言われてしまう。肌感覚で言うと、いま解散総選挙になったらまず勝てないでしょうね」

 イベント・会合に出席しているか否かも有権者は見ているという。

 「金子氏は最後まで残っているのに亀岡氏は途中退席したり秘書が代理出席していたら、金子氏の評価が高まるのは当然。ただそれは、亀岡氏が他に仕事をしていて、金子氏は時間的に余裕があることが影響しているが、有権者はそんな事情があるとは知りませんから」(同)

 この議員が懸念するのは、2009年に発足した民主党政権のトラウマだ。政権運営能力がない野党に内閣を委ねれば、国政は混乱する。だから自民党がしっかりしなければならないのに、足元は派閥の裏金問題でグラついている。

 「亀岡氏は『裏金ではない』と言い張るのではなく、反省の態度を見せてほしい。その上で、自分は地元にとって必要な議員と有権者から思われるような言動をしてほしい。そうでなければ、候補者を推す立場の私たちは有権者に自信を持って『亀岡氏を頼む』と言えない。裏金問題に関わっていない私たちがあちこちで頭を下げていることを、亀岡氏は理解してほしい」(同)

 政治を前に進めるには「腐っても自民党。野党には怖くて任せられない」(同)。だからこそ反省の態度が必要というわけ。

 そんな亀岡氏は、県議や市議・村議の人脈を生かしながら安達地区での支持を広げようとしているが、根本氏から亀岡氏への横滑りはそれ程なさそうだという。

 「根本氏を熱心に支持していた人からは未だに『なぜ亀岡氏をやらなきゃならないの?』という声が聞かれる。旧2区の感覚が抜け切っていない人も多い。(根本氏から亀岡氏への)ポスターの貼り替えも上手く進んでいないように感じる」(同)

 そういう人たちのところに本人や秘書が足繁く通いつつ、ポスターの貼り替えなど基本的な活動を怠らないことが大切になる。

 別の自民系議員からはこんな話も聞かれた。

 「二本松に事務所を開設してほしいとお願いしているが『資金的に難しい』と言われている。地元に活動拠点がないのは、これから選挙活動が本格化していく中で心許ない」

 安達地区は中選挙区時代(1区、定数4)、亀岡氏の養父で農水大臣などを務めた故・亀岡高夫氏が10回連続当選を重ねた場所。そのため高齢の有権者の中には「高夫先生には世話になった」と言う人がいるが、偉民氏のことはよく分かっていない。偉民氏自身も中選挙区時代に1区から立候補した経験があるが、当時は無名だったので有力支持者はいない。着実に足場を固めるためにも、事務所の開設は不可欠だ。

亀岡高夫氏
亀岡高夫氏

 一方、金子氏に対してはどういう声があるのか。前回衆院選で馬場氏を熱心に応援した安達地区の立民支持者は次のように言う。

 「ずっと増子輝彦氏を応援してきたので、その流れで非自民の候補者をやってきた。ただ、その中でも馬場雄基氏は演説が上手く、芯のしっかりした魅力的な人物だった。だから前回衆院選も懸命に応援したし、比例復活という嬉しい誤算も舞い込んだ。そんな馬場氏をさらに盛り上げようとした矢先、区割り改定で候補者が金子恵美氏に代わり、最初は誰?としか思わなかった」

 金子と聞いて真っ先に思い浮かべたのは、恵美氏の父親で旧保原町長(3期)、衆院議員(2期)を務めた故・金子徳之介氏だったという。

金子徳之介氏
金子徳之介氏

 「徳之介先生は東北大学農学部卒業で、保原町長時代には県国際農友会会長を務め、衆院議員時代は米価問題をめぐって世話になったことがある。ただ、恵美氏については参院議員に当選した時に『徳之介先生の娘か』と思ったくらいで、何の接点もなかった」(同)

 区割り改定で、恵美氏が父親と同じ安達地区に舞い戻ったのも何かの縁ということか。

民主党政権のトラウマ

 恵美氏自身も、安達地区と縁がないわけではない。全県が選挙区になる参院議員時代(1期、2007~13年)は当然足を運んでいるし、二本松市にあった福島介護福祉専門学校(昨年度末に閉校)では1997年から講師を務め、教え子が複数いる。また立民支持者によると、徳之介氏の妹が同地区のゴルフ場の社長と結婚した縁で、スタッフは金子家に親近感を持っているという。

 「前回衆院選で馬場氏は二本松と本宮で根本氏に引き離されたが、大玉ではそこまで負けていない。ここをベースに金子家の人脈を駆使していけば、安達地区での票差は縮められると思う」(同)

 しかし、別の立民支持者からはこんな声も。

 「昨年11月の県議選で二本松市選挙区(定数2)には自民候補2人、立民候補1人が出馬したが、自民候補の評判はイマイチで、立民候補は早くから準備をしていたからトップ当選もあり得ると期待された。しかし、蓋を開けたら立民候補は落選。候補者の資質にも問題はあっただろうが、金子氏の力不足を目の当たりにしてガッカリした」

 定数2で自民党に議席を独占されたのは、自分の選挙に置き換えると痛手だ。金子氏がどれくらいテコ入れしたのか、あるいは関与が薄かったのかは気になるところ。

 そんな立憲民主党に対しては、金子氏を応援する前出・立民支持者も「正直、期待が持てない」と漏らしている。

 「2009年の政権交代時も応援したが、そのあとの政権運営は散々だったからね。問題は、その頃の顔ぶれと、いまの主要メンバーがほとんど変わっていないことだ。仮にもう一度政権交代を果たしたとして、同じメンバーが再び大臣に就いても全く期待できない。立憲民主党の人材不足は深刻だと思う」(同)

 前述の通り、金子氏は党務には勤しんでいるが、国会での仕事は実力未知数。その先輩たちはかつて政権運営に失敗した面々。いくら支持者とはいえ、そうした不安材料は払拭できないようだ。立憲民主党は人材育成を早急に進める必要がある。

 東北大学大学院情報科学研究科准教授で政治学が専門の河村和徳氏は区割り改定が正式決定される前、本誌取材に次のように語っていた。

 「金子氏は北側の伊達地区が拠点だが、南側の安達地区が選挙区に加わって上手く対応できるかどうか。立憲民主党の支持基盤は労働組合です。二本松と本宮は機械産業が盛んで工場が多く、労働組合が機能し易い。二本松と本宮は一見、自民党が強そうに見えるが、金子氏が両市の労働組合との距離を縮め、工場労働者の票を取り込めるかどうかがポイントになる」

 河村氏によると、大票田の福島市は労働組合の拠点が置かれ、票がまとまり易く、それが、金子氏が亀岡氏を上回る得票につながっているという。安達地区でも金子氏が同様の得票につなげられるか、それとも、根本氏が積み上げてきた得票を亀岡氏に代わっても死守できるかがカギになりそうだ。

 新たに選挙区に加わった安達地区について、亀岡氏と金子氏に①有権者からどのような意見や要望が届いているか、②前回衆院選まで地盤としていた根本氏・馬場氏とどのような引き継ぎを行ったか、③同地区内にはどのような課題があると認識しているか、また要望を受けて課題解消につなげた「実績」はあるか――を質問した。

安達地区の政治課題

 亀岡氏は次のように回答した。

 ①インフラ整備や農業問題(老朽化施設等)、中小企業活性化に対する要望をいただいています。

 ②根本議員から直接ご教授いただくと共に、根本議員の地元秘書を通じて各地の後援会や自民党の方々に引き合わせていただいています。新たな後援会づくりも進めています。

 ③水田のポンプ施設について、新しく整備するための支援策を農林水産省と取り組んでいます。人口減少が進む中、地方創生交付金を使った中山間地の居住人口対策も取り組みを強化しています。二本松商工会議所からは二本松藩の戒石銘碑の資料を全国の商工会議所に配布してほしいと要望をいただき、配布を進めています。碑に込められた思いは会議所のみならず、国会議員にも通じるものがあると感じ、岸田総理にもお渡ししました。

 一方、金子氏の回答は次の通り。

 ①選挙区の区割りが変更になったことをご理解いただけていない有権者が未だに多くいるようなので、訪問活動やイベント等への参加により新1区の立候補予定者として認めていただけるように活動しています。ただ、以前に参院議員を務めており県内一円が選挙区だったこと、私の父である故・金子徳之介衆院議員が安達地区を選挙区にしていたこともあり、当時のことを覚えていただいているケースが多くみられます。いま圧倒的に多くいただいている有権者の声は、次回総選挙において自民党に勝利し、政権交代を成し遂げてほしいという強い希望です。

 ②二本松市にあった馬場雄基衆院議員の事務所をそのまま譲り受けました。馬場後援会と金子後援会は重なって支援してくださっている方が多いので、次回総選挙での両者の当選に向け共に活動しています。

 ③二本松市、本宮市、大玉村にはそれぞれに地理的・歴史的背景があり、それぞれに課題があります。平成の大合併を経て、いまの3自治体に落ち着いたと思いますが、強い結びつきのもと安達地方広域行政組合が有効に機能しています。二本松市と本宮市は人口減少が全てに係る大きな問題ですが、大玉村は独自の子育て支援策や定住策により県内でも貴重な人口増加自治体です。各自治体からいただいた要望は、今後も協力して取り組んでいきます。

 最後に、某ベテラン議員に新1区の政治的課題を挙げてもらった。

 「いまは復興名目で浜通りに投資が集中しているが、中通りにも将来を見据えた種蒔きをしておかないと成長が鈍化する恐れがある。伊達、福島、安達は東北道、東北中央道、国道4号と重要な交通インフラがある。それらを起点に更なるインフラ整備を進め、企業群をつくっていかないと、浜通りばかり激変していくことになりかねない。福島市は『風格ある県都づくり』と言いながら、福島駅前再開発など投資に失敗している印象があるのも気掛かり。市町村の取り組みもしっかり後押ししてほしい」

 区割り改定後の四つの選挙区を比べると、新1区の面積(1754平方㌔)は一番コンパクトで活動しやすい。有権者のもとに何度も通い、直接対話し、要望や意見、時には厳しい批判に耳を傾ける時間はまだ残されている。現状では、亀岡氏は裏金問題に対する謝罪と丁寧な説明、金子氏は政権交代した場合の展望を示すことが求められる。

 今回で四度目の直接対決となる両氏だが、互いの親までさかのぼると金子徳之介氏は亀岡高夫氏の有力支持者という関係にあった。その娘と養子が、今は相まみえる関係にあるのだから因縁と言うほかない。

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