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【本誌記者が検証】二本松市の「ガッカリ」電動キックボード貸出事業

【本誌記者が検証】二本松市の「ガッカリ」電動キックボード貸出事業

 二本松市観光連盟は3月31日から、観光客向けに市の歴史観光施設「にほんまつ城報館」で電動キックボード・電動バイクの貸し出しを行っている。

二本松市の地図データ(国土地理院、『政経東北』が作成)

 ところが、7月上旬、その電動キックボードの馬力不足を指摘する体験リポート動画がツイッターで拡散。同施設でレンタルされている車両が、坂道をまともにのぼれない実態が広く知られることとなった。

 動画を見ているうちに、実際にどんな乗り心地なのか体感してみたくなり、投稿があった数日後、同施設を訪れて電動キックボードをレンタルしてみた(90分1000円)。

 安全事項や機器の説明、基本的な操作に関する簡単なレクチャーを受けた後、練習に同施設の駐車場を2周して、いざ出発。

 同施設から観光スポットに向かうという想定で、二本松城(霞ヶ城)天守台への坂道、竹根通り、竹田坂、亀谷坂などを走行した。だが、いずれのルートも坂道に入るとスピードが落ち始め、最終的に時速5㌔(早歩きぐらいのスピード)以下となってしまう。運転に慣れないうちはバランスが取りづらく、うまく地面を蹴り進めることもできないため、車道の端をひたすらゆっくりとのぼり続けた。追い越していく自動車のドライバーの視線が背中に突き刺さる。

竹根通りで最高速度を出して上機嫌だったが……
竹田坂、亀谷坂をのぼっている途中で失速し、必死で地面を蹴り進める

 レンタルの電動アシスト自転車(3時間300円)に乗りながら同行撮影していた後輩記者は、「じゃあ、僕、先に上に行っていますね」とあっという間に追い越していった。

 運転に慣れてくると、立ち乗りで風を切って進んでいく感覚が楽しくなる。試しに竹根通りをアクセル全開で走行したところ、時速30㌔までスピードが出た(さすがに立ち乗りでは怖かったので座って運転)。軽装備ということもあり、転倒の恐怖は付きまとうが、爽快感を味わえた。

 しかし、そう思えたのは下り坂と平地だけ。亀谷坂では、「露伴亭」の辺りで失速し、地面を蹴っても進まなくなり、炎天下で、20㌔超の車両を汗だくで押して歩いた。総じて快適さよりも、坂道で止まってしまう〝ガッカリ〟感の方が大きく、初めて訪れた観光客におすすめしたい気分にはなれなかった。

右ハンドル付け根にアクセル(レバー)と速度計が取り付けられている
二本松城天守台に到着する頃には疲労困憊

 同連盟によると「(体重が軽い)女性は坂道もスイスイのぼれる」とのこと。体重75㌔の本誌記者では限界がある……ということなのだろうが、そもそも中心市街地に坂道が多い同市で、その程度の馬力の乗り物をなぜ導入しようと考えたのか。

 54頁からの記事で導入の経緯や同連盟の主張を掲載しているので、併せて読んでいただきたい。(志賀)

「にほんまつ城報館」には甲冑着付け体験もあり(1回1000円)
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