郡山・田村両市議会の昨年12月定例会で、市長選に関する質問が同じ日(12月5日)に行われたが、両市長とも〝肩透かし〟の答弁だったことが話題になっている。
郡山市長選は4月13日告示、同20日投票で行われるが、折笠正議員が一般質問で「次の100年の発展の礎を築くためにも来春の市長選に立候補すべきだ」と促すと、品川萬里市長(80)はこう答えた。
「様々な課題に速やかに適切に対応することが最大の責務であり、市長として日々職務に専念すべき現状にあることから、現時点で市長選出馬について申し上げることは控えさせていただきます」
郡山市長選をめぐっては会社経営の髙橋翔氏(36)と元県議の勅使河原正之氏(72)が立候補を表明し、元市議の川前光徳氏(58)も立候補の意思を示しているが、勅使河原氏と川前氏は4年前の市長選にも立候補し品川氏に敗北。髙橋氏もいったんは立候補を表明したが、その後、勅使河原氏に協力するとして取りやめている。
つまり、品川氏が立候補を表明すれば4年前と全く同じ顔ぶれになるのだが、先述の通り12月定例会では進退を明らかにしなかった。
「おそらく迷っているんだと思います」と推察するのは某市議だ。
「品川氏は『前回と同じ顔ぶれなら負けない』と思う一方、高齢問題がチラついて決断できずにいるようです」(同)
品川氏は仮に4選を果たせば任期満了時点で84歳になるが、健康には自信があるようで本人は年齢を気にする様子はない。問題は、支持者の側にあるという。
「品川氏を支える支持者も高齢のため、体力的に選挙を戦い抜くのが厳しくなっている」(同)
つまり、品川氏は「まだやれる」と思っていても、支持者が「もう十分やった」と及び腰になっているというのだ。
「過日開かれた品川氏主催のゴルフコンペも参加者が少なく、支持者の高齢化を感じさせた」(同)
支持者が「もう十分」と思いながら選挙に挑んでも、良い結果にはつながらない。品川氏は、そういう空気感を見極めた上で進退を明らかにするとみられる。
ちなみに、某市議の見立ては「今期限りで引退」。そうなると勅使河原氏と川前氏の事実上の一騎打ちになるが「若手や女性など新たな候補者が現れれば、有権者の関心は一気にそちらに向かうでしょうね」(同)。
一方、田村市長選の日程は3月30日告示、4月6日投票となっているが、吉田一雄議員が一般質問で「市長自身から動向が明確に示されておらず、市民からも気にする声が聞かれているため、市長選出馬の考えをうかがいます」と尋ねると、白石高司市長(64)は次のように答えた。
「次期市長選については、後援会ならびに多くの市民のご意見をうかがう中でしかるべき時期に判断したいと思います」
郡山とは異なり、田村市長選は今のところ対抗馬は現れていない。一時期、旧常葉町出身の管野啓二JA福島五連会長(72)の名前が挙がったことがあったが、本誌が管野氏に確認すると「そういう考えはない」と明確に否定した。
田村市は反市長派議員を中心に、新病院建設をめぐる百条委員会が設置されたり、定例会の度に執行部を追及する質問が行われるなど対立の構図が鮮明化している。「白石氏は後援会など相談すべき組織や人に筋を通した上で出馬表明したい意向」(ある市議)だが、対抗馬として某市議の名前も挙がっており、選挙戦になるかどうか注目される。
※12月20日付の地元紙で「品川氏が引退の意向」「椎根健雄県議が候補者に挙がっている」と報じられた。今後の動向が注目される。