福島市松川町で建設中のメガソーラーで工事費未払いが起きている、という記事を先月号に掲載したところ、それを読んだ業者から「私も同じ工事で未払いに遭った」との相談が寄せられた。
詳細はあらためて報じるとして、多重下請け構造の現場では、元請けや一次下請けといった「上の立場にある業者」が払うべきものを払わないと、二次下請け以降の「下の立場にある業者」に工事費がきちんと行き渡らない現実が浮かび上がる。それによって給料をもらえない社員や支払いが受けられないリース会社などを生んでしまうのだから、まさしく負の連鎖だ。原発事故の除染現場でも似たような問題が多発していたことを思い出す。
それはともかく、福島市松川町の「NW福島CC太陽光発電所」はポルトガルのエネルギー企業・EDPの子会社・EDPRが事業主となっているが、未払い騒動の影響で工事は大幅に遅れている。加えて2月に降った二度の大雪の影響で、施工を終えていた架台パネルの8割近くが壊れてしまったという。
原因については今後調査する必要があるが、現場の業者いわく「金具が折れたり杭が歪んだり、明らかな強度不足。作業員たちは『設計の瑕疵』と呆れています」。筆者も損壊状況を写した写真を見たが、雪の重みに耐えられず凹んだパネルも見受けられた。

計画によるとメガソーラーの稼働開始は今年9月で、元請けの自然エンジニアリングの工事部長は本誌の取材に「(未払い騒動で)工事が遅れていることを加味しても、何とか間に合う方向で工事は進んでいる」と答えていたが、まさか大雪による損壊までは想定していなかったはず。2月は二度の大寒波に襲われたことを考えると、損壊はさらに拡大していても不思議ではない。
本来は早急に修繕しなければならないが、未払い騒動が知れ渡りつつある状況では、これから下請けに入る業者はなかなか現われないのではないか。