JAふくしま未来(福島市)で組合長選挙が行われる可能性が浮上している。現組合長の数又清市氏は2020年に就任し、現在2期目。順当にいけば3期目も務めるとみられるが、同JA内から「三つ巴の選挙戦になるかもしれない」との話が漏れ伝わっている。
「組合長選挙への立候補がウワサされるのは数又組合長、三津間一八専務、髙木正勝そうま地区代表の3人。ただ、数又氏の立候補は既定路線として、三津間氏と髙木氏が立候補するかは現時点(3月中旬)で不透明」(同JAの某幹部)
三津間氏と髙木氏は、意欲を示しているのは確かだが「地元から推薦されたとしても、選挙態勢を整えられるかは微妙」(同)という。
それはともかく、異例の三つ巴になるかもしれない背景には「アンバランスな新役員人事が影響している」と同JA関係者は明かす。
「1月下旬に数又組合長から次期役員改選に伴う学識経験役員(常務理事、常任監事)と員外監事が推薦されたが、常務と監事の出身地が偏っていたため、職員の一部から『数又組合長の意向が反映されすぎ』と不満が出ている」(同JA関係者)
同JAは2016年にJA新ふくしま、JA伊達みらい、JAみちのく安達、JAそうまが合併し発足したが、旧JA間の均衡を保つため役員ポストを多く設けた経緯がある。
最たる例が代表権のあるポスト。代表理事の肩書きが付くのは組合長(1人)と専務(3人)の計4人だが、数又組合長=JA伊達みらい出身、前出・三津間専務(総務担当)=JAみちのく安達出身、濱田賢次専務(金融共済担当)=JAそうま出身、佐久間英明専務(営農経済担当=JA新ふくしま出身と旧JAごとに代表権を分け合っている。
そうした中で、数又組合長が次期役員として推薦したのが以下の面々だった。
▽常務理事(4人)
須田淳一氏=伊達市梁川町
西幸夫氏=相馬郡飯舘村
加藤光一氏=福島市
佐藤忠夫氏=伊達市梁川町
▽常任監事(2人)
狩野武雄氏=二本松市
須田晃一氏=伊達市梁川町
6人中3人が数又組合長と同じJA伊達みらい出身だったのだ。しかも偶然か否か、住所も数又組合長と同じ伊達市梁川町だったため、JA伊達みらい出身者からも驚きの反応がみられたという。
「この伊達偏向人事に、みちのく安達出身の三津間氏とそうま出身の髙木氏が反発。両氏は組合長選挙への立候補を考えるようになった」(前出・同JA関係者)
同JAは専務、常務のほかに、福島、伊達、安達、そうまの各地区役員代表と計40人の理事が選出されている。それぞれ旧JAの看板を背負っているだけに、地域バランスを気にする役員は少なくない。
しかし、前出・同JAの某幹部はこう話す。
「確かに地域バランスは悪いが、今回は巡り合わせで伊達市梁川町出身者が半数を占めただけ。人物的に問題があれば数又組合長の推薦に反発する役員もいただろうが、反対の声はなかった」
同JAは東日本最大規模を誇り、2024年2月期決算も事業収益261億円、経常利益12億円、当期余剰金(利益)11億円を計上した。優良JAであるが故に、バランスを欠いた人事が行われれば反発も出やすいということなのだろう。
総代会は5月。実際に組合長選挙が行われるとすれば、4月上旬から中旬が見込まれている。新しい任期を境に、これまでの3人から1人に減らされる専務ポストは新組合長が選任することになっている。