【天栄村】添田勝幸村長インタビュー【2025.5】

【天栄村】添田勝幸村長インタビュー【2025.5】

経歴

そえた・かつゆき 1961年生まれ。岩瀬農業高校卒。1991年に㈲添田設備工業設立。2011年の村長選で初当選し、現在4期目。

村民が安心して暮らせるよう『未来に続く元気で豊かな村』を築いていく。

 ――村制施行70周年の節目を迎えた中、本年度の重点事業について。

 「今年は村制施行70周年の節目であり、未来に向けた新たな一歩を踏み出す重要な年となります。本年度の重点事業として、一つ目は『若者定住住まい確保応援助成金給付事業』を継続し、村内の若い世代の流出を防ぐとともに、奨学金返還支援補助金の補助対象を第二種奨学金にも拡充することで、将来を担う若者の定住促進に取り組みます。

 二つ目は『安心して子どもを産み育てることができる環境づくりの推進』として、保育料・学校給食の無償化を継続します。子育て支援としては、新設する天栄保育所の外構や遊具などの屋外整備工事、児童の入退所管理システムやうつぶせ寝感知システムの導入などを進め、2026年4月の開所を目指します。さらに、『小中学生ふるさとゆめ未来応援事業』など、子どもたちの将来の夢や希望の実現を育むための教育活動も引き続き実施します。

 三つ目は『賑わいと地域活力の創出』として、この間整備を進めてきた『てんえいふるさと公園』の整備を完了させ、さらなる交流人口の創出を図るほか、ふくしまDCの開催に向け、本村の特産品や観光などの魅力を発信します。また、昨年度に続き、台湾在住のインフルエンサーによる動画配信や台湾のエージェント招致などにより、インバウンド誘客を推進します。

 四つ目は『地域防災・防犯力の強化』として、すべての行政区において、地域の実情に合った地区防災計画を策定させるほか、村内における犯罪の発生を未然に防ぐために、住宅用防犯カメラの設置費用及び防犯窓用網入りガラス交換に係る費用の一部補助を実施します。

 五つ目は『カーボンニュートラルの実現』として、電動生ごみ処理機の購入費の一部を補助し、ごみの減量化を促進します。また、既存住宅の断熱工事費やペアガラス・二重サッシの設置工事費、高性能給湯器の設置工事費の一部を補助し、ゼロカーボンシティの実現を推進します。

 六つ目に『DX推進』として、村が重点的に取り組むべき事項を定めるDX推進計画を策定し、さらなる住民の利便性の向上に努めます」

若い世代への支援を充実

 ――子育て支援をはじめ、小規模住宅団地の整備など、人口減少対策に努めていますが、具体的な施策について。

 「これまで、婚活支援事業や保育料の無償化、こども家庭センターを中心とした子育て相談体制の充実、英語教育の推進、給食費の無償化や住宅取得の補助など、結婚から出産、子育て、教育、住まいといったあらゆる面で切れ目ない支援を行ってきました。本年度もさまざまな施策を効果的に実施するよう努めていきます。

 小規模住宅団地の整備につきましては、昨年度末に5区画の敷地造成工事が完成し、現在分譲に向け、宅地の分筆登記など、販売に向けた手続きを進めており、6月からの募集開始を予定しています」

 ――天栄村産米が大変好評を得ています。

 「この間、天栄米は、米・食味分析鑑定コンクール国際大会での輝かしい実績をあげるなどブランド力が年々高まっています。それらの付加価値をさらに生かすべく、お米の味、品質ともに世界一の天栄米としてPRを図り、その魅力を通して、農業振興はもとより観光誘客、交流人口、関係人口の創出など地域活性化が図られていくことを期待しています。また、民間業者と連携し、昨年11月にはJR大宮駅で天栄米の自動販売機を設置したほか、同駅構内での天栄村特産品フェスタの開催、2月にJR上野駅にて天栄米おむすびフェア、3月には日本橋三越本店での天栄米フェアの開催など、首都圏に向けて切れ目ないPRを行い、本村の魅力発信に注力してきました。

 昨今の米価の高騰は、生産者にとって農業の安定経営につながるものと期待していますが、あまりに高騰すると消費者の米離れや、安い外国産米が入り、米価の下落が懸念されます。その一方で、原油や肥料などの生産資材の高騰や高温障害による品質低下など、安定した収量の確保へ向けた課題も顕在化しています。本村としては、持続可能な農業の実現に向け、関係機関と連携を図りながら、引き続き農業規模拡大事業や担い手確保事業を実施するとともに、今年度からみどり認定を受けた小・中規模農家への営農継続支援を行うなど、農業者のニーズに即した各種支援と天栄米をはじめ長ネギ、ヤーコンなど特産品の販売促進に取り組む考えです」

 ――若年世代を対象としたさまざまな支援制度が充実しています。

 「本村では、若者世代の住宅取得や生活を支援するために、次のような助成制度を設けています。

 一つ目は『天栄村若者定住住まい確保応援助成金』として、親世帯と同居している跡継ぎ以外の子世帯が独立し、村内に新たに住居を取得して、5年以上継続して定住する意思のある場合に、新築・中古住宅の取得に要する費用を補助しています。

 二つ目は『天栄村新生活・住まいづくり応援助成金』として村外から転入した若者世帯を対象に、住宅取得費用を補助しています。

 三つ目は『天栄村結婚新生活支援事業補助金』として、結婚に伴い、新生活のスタートアップに係る住居費用、引越費用、リフォーム費用を補助しています」

 ――今後の抱負について。

 「地球規模で発生する自然災害や不安定な世界情勢など、現在ほど先が見えない時代は無いと言っても過言ではありません。混沌とする変化の時代を乗り越えるべく、将来を見据え、今から準備をし、新たな課題に積極的に挑戦し、村民の皆様が安心して暮らせるよう『未来に続く元気で豊かな村』を築いてまいりますので、引き続きご理解とご協力をお願いいたします」

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