【アレンザHD】浅倉俊一会長兼CEOインタビュー【2025.6】

【アレンザHD】浅倉俊一会長兼CEOインタビュー【2025.6】

経歴

あさくら・しゅんいち 1950年生まれ。聖光学院高卒。76年にアサクラ(現ダイユーエイト)創業。2019年4月、経営統合で設立されたアレンザホールディングスの社長に就任し、23年5月から現職。

 ダイユーエイトなどを運営するアレンザホールディングス(福島市)ではホームセンター事業を核として、ペット事業、リフォーム事業など、さまざまな事業を展開している。変化する社会の中で顧客のニーズにどう対応していくのか。同社の浅倉俊一会長兼CEOに、2025年2月期決算の総括と経営戦略を語ってもらった。

アミーゴの出店を加速しペットショップ日本一を目指す

 ――2025年2月期連結決算は売上高1533億4500万円(前期比102・4%)、営業利益35億0900万円(同85・5%)、経常利益39億5300万円(同85・7%)、当期純利益20億8800万円(同88・0%)という結果で、増収減益となりました。この結果をどのように受け止めていますか。

 「増収の主な要因は新規出店の効果です。物価高により客単価がアップしたこともあって、既存店ベースでも100・2%を達成しました。

 一方、営業利益の減少はダイユーエイトで物価高に対する対応が遅れたことに加え、大幅な客数減となったことが影響しました。客数が減った背景には人口減少、少子高齢化、さらには同業他社やドラッグストアなど別業態店舗との競争が激化していることがあります。加えてグループ内のペット事業を再編し、関連する連結子会社をアミーゴに経営統合したことで、一時的な損失が発生したことも影響しています。

 売り上げが伸び悩んでいる店舗では固定資産の投資回収期間が延びる見込みとなるため、約9億円の減損損失を特別損失として計上しました。グループ全体では5、6店舗が減損になりました。それが減益となった主な要因です」

 ――主力のホームセンター事業の業績はいかがでしたか。

 「ダイユーエイトでは、震災や自然災害などの復興需要の減速により、利益率の高い木材・工具金物の販売が低迷しました。また、利益率の低い灯油の構成比が増加したことで利益が減少しました。店舗改装や新規出店に伴う一時費用、人件費、配送費、キャッシュレス手数料の増加も影響しました。本来であれば、仕入れ価格の上昇分を販売価格に転嫁すべきなのですが、競合店舗との競争が激化していることもあって、価格転嫁が難しい状況でした。

 また、物価高による節約・買い控え志向が顕著で、食品スーパーやドラッグストアはそこまで影響が出ていないようですが、ホームセンターは大きく影響を受けています。今後もこの傾向は続き、業界全体として厳しい状況が続くと予想されます」

専門店を積極出店

 ――新規出店も少なかったようですが、今後の展望は。

 「新規出店はホームセンター事業でダイユーエイト1店舗、ホームセンターバローの専門店『プロサイト』1店舗でした。建築費の高騰により新店舗をオープンしても採算が取りづらくなっているため、新規出店は慎重に進めています。ただ、現場で働く職人さんのためのプロショップが低コストで出店できる業態として注目を集めており、当ホールディングスでも積極的に出店していく意向です。7月にはいわき市に(仮称)エイトプロいわき店が開店します。

 ダイユーエイトは東北地方と北関東、ホームセンターバローは東海地方と関東、タイムは中国・四国地方を中心に、各エリアでのドミナント化を構想しており、その構想に基づき出店していく形になります。また、M&Aも視野に入れ、シナジー効果が見込める場合には、エリアを限定せず規模拡大を図ることも検討しています」

 ――その一方で、ペット事業のアミーゴは新規出店を加速しているようですね。

 「2025年2月期は10店舗新規出店しました。ペットを家族の一員として受け入れ、共に生活していくスタイルが広く認知され、ペットや関連商品を扱うペットショップは成長著しい分野となっています。

 ホームセンターの場合、1500~2000坪の大型店舗が必要となりますが、アミーゴは300~400坪程度の比較的小規模な店舗展開が可能なため、居抜き物件を活用したスピーディーかつ柔軟な出店が可能です。現在、全国的にさまざまな業態の店舗のスクラップが増えており、そうした物件を有効活用することで、効率的な店舗展開を図っています。アミーゴに関しては、今後も積極的に出店を加速し、日本一のペットショップを目指します」

 ――グループ間の連携について。

 「グループ間の連携を強化するために、商品部での人事交流を進めているほか、昨年流通技術本部という部署を新設し、グループ企業であるバローホールディングスのノウハウを活用した効率的な物流網の構築を進めています。『物流を制するものは流通を制する』と言われるほど、物流は重要であり、例えば海外から調達したPB商品がどの港で荷揚げされるかでコストが大きく変わるので、少しでもコスト削減につながる方法を考えていきます。

 人材育成に関しても、社員一人ひとりのスキルアップやキャリア形成を後押しするノウハウをグループ間で共有し、変化の激しい時代に対応できる人材を育成していきます」

 ――コロナ禍以降、EC(電子商取引)やキャッシュレス決済が拡大しているようですね。

 「ECはいま売り上げ規模で約73億円にまで伸びており、2027年度100億円を目標に掲げています。キャッシュレスに関しては、現在支払いの40%を占めるまでになっています。われわれにとっては手数料が負担になりますが、お客様にとって利便性が高くなるので、PB商品を開発して粗利率を高めたり、仕入れ構造改革を実施したり、コスト削減を図って引き続き対応していきたいと考えています」

 ――人口減少や少子高齢化に加え、いわゆるトランプ関税の影響なども懸念されていますが、今後の経済展望をどのように見ていますか。

 「われわれ流通業は競争にさらされながら企業努力により収益を上げていくのが大前提であり、不透明な経済情勢の中でも積極的に取り組んでいくしかありません。ただ、こうした時期こそ優勝劣敗の構図ができやすく、デジタルやAIなどの新技術を導入して競合他社に差をつけるチャンスになるのではないか、と見ています」

 ――最後に今後の抱負を。

 「2030年売上高3000億円を目指す長期ビジョン『Challenge3000』の実現に引き続き挑戦していきます。人材開発を含めた業態開発を進めると同時に、アミーゴのペットショップ業界ナンバーワンを目指して取り組みます。競争が激化し、不透明な経済状況の中、危機感を持ちながら成長を続けていきたいと思います」

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