棚倉町議会3月定例会の一般質問で、矢吹町内の公園が取り上げられる一幕があった。菊池忠二議員(4期)が、棚倉町内の古町通りに多目的広場を整備すべきではないかと質問した中で「矢吹町が町内に広場を整備したが、利用頻度が少ない。整備するなら費用対効果も考える必要がある」と述べた。

町外の人から「せっかく造ったのにあまり使われていない」と指摘されたのは、国道4号と並行して町内を走る旧陸羽街道沿いに整備された中町ポケットパークである。
2018年4月にオープンした同パークは、震災からの復興と中心市街地の賑わい創出を目的に東邦銀行矢吹支店跡地に整備された約2500平方㍍の多目的広場で、敷地内にはイベントが開けるようステージが設けられている。事業費は約1億5400万円で、4割が国土交通省の補助金、6割が町の起債。管理は地元の第1区行政区が町から業務委託されている。
「せっかく造ったのに使われていない公園」とはどんな公園なのか。実際に足を運ぶと、芝生とタイルが敷かれ、立派なステージがあるが、それ以外は何もない。トイレもなければ駐車場もない。
棚倉町の菊池忠二議員は言う。
「私はネガティブな意味で中町ポケットパークを取り上げたわけではありません。ただ、公園なのにトイレがないのはなぜなんですかね」
周辺で聞き込みをすると、ある商店主が「使うのは夏と秋のお祭りくらいかな」と話してくれた。
「あとは日中、幼稚園児の集団が散歩で訪れたり、小学生が放課後に来て遊んでいる程度」(同)
別の商店主も言う。
「オープン当初は軽トラ市や冬にイルミネーションをやっていたが、今はやっていない。駐車場がないから集まりにくいんだ。一時期、有名なスケートボーダーが同パーク内で滑る様子をユーチューブに上げたらボーダーが集まるようになったが、近所迷惑でスケボー禁止になった」
利用率アップを図る方策はないのか。商店主たちは「日よけが全くないので庇を設ける」「Wi―Fiを入れる」「駐車場を造る」「定期的なイベント開催」といったアイデアを挙げたが「現状は無いよりは有った方がいいかなという程度の公園」と厳しい意見も聞かれた。
実際、利用頻度は低迷している。同パークを占用使用する場合は有料となるが(一部減免制度あり)、昨年度の占有使用は3件(計2000人超)にとどまっている。多い年でも10件程度だ。
こうした現状を矢吹町はどう受け止めているのか。都市整備課の担当者は次のように話す。
「町民の間にいろいろなご意見があることは承知しています。町としても、利用促進に向けてどのような取り組みが必要か検討していきたいと思います」
担当者によると、トイレは旧陸羽街道を挟んだ向かい側に町商工会が管理する「みんなのトイレ」があるが、現在は迷惑行為の発生を理由に使用禁止。駐車場も同パーク出入り口付近に10台程度止めることが可能だが、普段は車止めが設置されているので利用できないという。使い勝手の悪さは否めない。
同パークをめぐっては、矢吹町議会でも利用頻度を高めるための意見やアイデアが度々出されてきたが、具現化には至っていない。公共施設は造るより維持する方が難しいが、同パークはその典型例と言えそうだ。