【会津若松商工会議所】澁川惠男会頭インタビュー(2026年)

【会津若松商工会議所】澁川惠男会頭インタビュー(2026年)

経歴

しぶかわ・ともお 1947年生まれ。会津高、日大商学部卒。澁川問屋会長。会津若松商工会議所副会頭などを経て、2016年から現職。現在4期目。

 昨年秋、全国の商工会議所で議員・役員の改選が行われ、会津若松商工会議所は澁川惠男会頭(澁川問屋会長)の続投が決まった。2016年の会頭就任から4期目の任期になる。澁川会頭に4期目の抱負や今後の重点事業、さらには管内の経済情勢、会員事業所の状況などについてインタビューした。

 ――会頭職が4期目に入ります。

 「前期はコロナ禍からの経済回復を強く期待していましたが、海外情勢の不安定さや急速な円安の進行を背景とした資源価格の高騰、それに続く物価高騰が国内経済、特に地方経済に非常に厳しい状況をもたらしました。インバウンドの回復をはじめ、少しずつ明るい兆しは見え始めていますが、地価の伸びが力強さを欠いている現状は、会津若松市の経済が依然として低迷していることを如実に示しており、この状況は非常に憂慮すべきと認識しています。

 3期目で後進に道を譲ることも選択肢の一つでした。しかし、私の愛するふるさと会津若松が、将来的に消滅可能性都市の一つに挙げられ、このまま地域としての活力を失い、埋もれていくのを傍観していて良いのかという自問自答を重ねました。その結果、地域への最後のご奉公として、これまで培ってきた経験、知識、そして私の持っている力のすべてを注ぎ込む覚悟で、4期目の任期に臨むこととしました。つきましては、改めて皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます」

 ――昨年8月に、市内中心市街地の商業施設跡地に「会津若松まちなか案内所」がオープンしました。

 「神明通りの大規模空き地は、商業低迷が続く現状を象徴しています。この状況に、商工会議所が主導し、2024年11月にはイベント開催、昨年は市民・観光客が集う交流拠点として『まちなか案内所』を設置しました。これは継続的なイベント開催と並行し、人が集まり交流できる居場所づくりを積極的に推進するものです。大規模空き地はネガティブな要素だけでなく、まちの余白として無限の開発可能性を秘めています。今後は『まちなか案内所』を単体で終わらせず、豪商文化を伝える『福西本店』がある野口英世青春通りや、複合施設『シェアベース会津』との連携・役割分担による相乗効果を狙い、地域を繋ぐハブとして機能させたいと考えています」

 ――昨年10月には会津方部商工観光団体協議会として、観光振興の強化や事業者支援の充実等を求める要望書を内堀知事に提出しました。

 「特にお願いしたのは、観光振興策の強化と小規模企業政策の充実強化です。観光振興策の強化は、交流人口拡大を通じた経済活性化の核となるもので、観光客の入込状況がコロナ禍前の水準まで完全に戻りきっていない現状では、本当に切実な問題であると認識しています。幸い、昨年のプレDCに続いて本年の本番DC、来年のアフターDCが大きな追い風となっており、本県を代表する観光地である会津としては他地域をリードする存在にならなければなりません。民間サイドとしては、消費者ニーズを満たせる観光素材の磨き上げや、感動を与えるコンテンツの掘り起しに積極的に取り組み、知事の強力なご支援にぜひ応えていきたいと思います。インバウンド誘致も重要で、特に冬季はスノーリゾートとしての会津を国内外にPRする絶好の機会です。裏磐梯の予約が好調という動きも踏まえ、二次交通の拡充による会津全域への送客体制の整備、市内で楽しめる質の高い飲食、体験コンテンツの充実に注力していくことが重要になってきます。

 もう一つの小規模企業政策の充実強化は、昨今の環境の激変に中小・小規模事業者が対応していくための支援を望むものです。働き方改革関連法やインボイス制度への対応に加え、福島県の最低賃金が1000円台に突入するなど、賃上げ圧力の高まりは、人手不足の中での人材獲得競争と相まって、中小企業、特に小規模事業者の経営を揺るがしかねない状況です。国・県とも賃上げ企業への助成金・補助金、事業所への直接補助といった手厚い支援策が検討されています。これらの支援が速やかに実行されることを強く願っています」

継業支援に力を入れる

 ――県立病院跡地は、北側は公共施設の整備が進み、南側は収益施設整備に向けて協議されています。

 「民需が冷え込む中の大型公共施設建設は、経済活性化のカンフル剤として大きな意味を持つと評価しています。しかし、県立病院跡地利活用事業は、公共施設と収益施設の一体型公募にもかかわらず、これまでに二度も不調に終わった経緯があります。資材高騰によるスケジュール遅延は理解できますが、本事業は慎重さと同時にスピードを重視してほしいと要望します。また、県立病院跡地に限らず、神明通りの大規模空き地や駅前周辺など、市内には利活用が望まれる場所が数多く存在します。当商工会議所も2022年に遊休地・未活用地の活用策を市当局に提言しましたが、3年余り経過した今も目に見えるような成果は表れていません。市として優先順位があることは承知していますが、せめて市の総合計画において一定のビジョンを掲げ、今後の開発に向けた明確な道筋を示してもらいたいと考えています」

 ――今後の重点事業について。

 「商工会議所が抱える最も大きな問題の一つに会員減少があります。商工会議所は会員事業所あってこその組織であり、事業者があってこその地域経済です。昨年9月に会員事業所に対して実施したアンケート調査では、今後10年を考えた際に『事業を継続する』と回答したのは50%強に留まり、『廃業を検討している』が10%に上りました。廃業検討理由の過半数を占めるのが、『後継者がいない』でした。今後、現実的に後継者が急増する見込みは低く、実際には廃業する会員はもっと増えると予測しています。後継者の確保、すなわち事業の円滑な継業は、産業界全体の最重要課題です。当所としても新年期は、関係機関との連携を強化することはもちろん、承継のノウハウを持つ事業者を積極的に活用するなどして、継業支援に特に力を入れていきたいと考えています。

 今回の議員改選で執行部が大きく刷新されました。会津若松市が次の世代へと生き残っていくためには、消滅可能性自治体という危機的な状況を脱却し、次世代に確実にバトンタッチすることが不可欠です。これまで私は会頭として『持続可能な地域の創生』をスローガンに掲げてきましたが、今期はその集大成と位置づけ、これまでの私の経験と知識のすべてをフル稼働させて、地域活性化のために全身全霊で当たっていく所存です。そして、私自身のふるさと会津若松に対する熱い思いを、次世代を担う人材へしっかり伝えていきたいと強く思っています」

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