会津若松市の除雪に苦情・不満続出

会津若松市の除雪に苦情・不満続出

 度重なる強烈な寒波の影響で、会津地方を中心に、県内各地で大雪に見舞われた。中でも、会津若松市は、道路の除雪が追いつかず、市民から苦情や不満が続出した。

周辺自治体住民は「普段から下手くそ」の評価

除雪が追いつかなかった会津若松市内(2月13日撮影)
除雪が追いつかなかった会津若松市内(2月13日撮影)

 会津地方が降雪・積雪の多いエリアであることは認識されているが、同地方の中心都市である会津若松市は、その中ではまだ少ない部類に入る。そんな同市でも、強い冬型の気圧配置とこの冬一番の強い寒気が流れ込み、2月6日夜から大雪に見舞われた。翌7日までの積雪量は120㌢に至り、観測史上最多になったという。

 7日は金曜日だったが、週が明けると、降雪が一段落し、少しずつ雪解けした。ただ、それが状況を悪化させた。日中の気温が上がり、雪が溶け始めたところをクルマが通り、轍ができる。それが夜間の気温低下で固まり、路面がデコボコになるというような状況だ。

 本誌は2月13、14日に同市内を取材したが、14日時点で積雪は約70㌢。例年の3倍近い数字という。市内では学校の休校、路線バスの運休、ごみ収集の一部停止など、さまざまな影響が出ていた。

 国道49号や市中心部の県道では道路を通行止めにして集中除雪が進められた。その影響もあってか、幹線道路はそれほどひどい状況ではなかったが、それ以外の市道の多くはガタガタで対向車とすれ違うだけでもかなり慎重にならなければならないような状況だった。ある高齢住民は「洗濯板のようだ」と評したが、まさにそんな印象である。

 駅周辺の歩道は除雪が進んでおらず、ツルテカ状態。転倒する人も多く、本誌記者もその1人。取材に当たってのクルマでの移動は、普段の5倍以上はかかり、場所によっては5、6分で着くようなところが1時間近くかかるような状況だった。

 市内中心部周辺で話を聞いた。

 「朝から何台もスタックしたクルマを見ている。除雪体制や市の対応を批判する人が多いけど、これだけの雪だと仕方がないと思う。夫の転勤で長野県などで暮らした経験があるから分かるが、会津若松は城下町で雪を捨てる場所があまりないから進みにくい。ドカ雪時の除雪ボランティア制度とかを設けて対応すればいいのに。毎日、早朝から除雪して早めに出勤するけど大渋滞で時間が読めない。こんな状況では子どもたちの通学も心配だ」(中年女性)

 「毎日毎日必死で除雪するだけの生活。でも、場所によってはパンプスで歩けるぐらいなんでしょ? 同じ市民税を払っているのに、(除雪が行き渡っているエリアとそうでないエリアで)何でこんなに違うのかって思いますよね」(除雪作業中の年配女性)

 「除雪車が通ると家の前に轍ができてクルマの出し入れができなくなる。昔は通った後、操縦者がスコップで除雪を手伝ってくれたもんだけどね。市の教育が悪いということだと思う」(除雪作業中の年配男性)

 「朝起きると腰の高さまで積もっている日が続いた。出勤もできなかったし、お客さんも来なかった。この1週間、市の経済活動は停滞しているようなもの。市内各地で大渋滞ですから。うちの従業員は朝出発したが、スタックしたクルマで道路が大渋滞したため、出勤を断念したことがあった。それで数百㍍先の自宅に戻るのに2時間かかったらしい。1月の十日市のころから雪が積もっていた状態で今回の寒波が来た。仕方ない面はあるが、根雪を除雪しておくなど、もう少し事前に対応できなかったのかなとは思う」(商店主)

 諦めややむを得ないとの思いもあるようだが、やはり市への不満は大きいようだ。SNSなどを見ても、市への苦情・不満であふれかえっていた。

市・県担当者を直撃

本誌は14日の日中に、市道の除雪を担う市道路課に電話したが、話し中で繋がらず。そこで直接訪ねてみると、ひっきりなしに電話が鳴っている状況だった。市民からの除雪の要望、あるいはお叱りの電話だ。

 市道路課の担当者に、ズバリ何が問題だったのかを尋ねると、「純粋に積雪量と積雪回数の問題」との回答だった。前述したように、積雪量は観測史上最多で、しかも数日間にわたって降り続いた。それで純粋に追いつかず、「鋭意対応している」(同担当者)ということだった。

 一方で、「会津若松市内は道路が広くないため、路肩に置くスペースがない」といった問題も挙げた。前段で「会津若松は城下町で雪を捨てる場所があまりないから進みにくい」といった市民の声を紹介したが、その指摘の通り。

 ちなみに除雪は路線ごとに委託している。そんな中でも、除雪がある程度完了し、手(機材やオペレーター)が空いている業者がいれば、進んでいないところの応援に回すなどの差配を市がすることもあるようだが、今回のケースでは、それが十分に機能したとは言えない。そもそも、これだけ広範囲かつ大量の降雪があった中、手が空いている除雪業者などいなかったに違いない。

 一方で、県道や県管轄国道の除雪を担う会津若松建設事務所に問い合わせると、やはりひっきりなしに要望やお叱りの電話があるという。市道路課同様、ズバリ何が問題だったのかを尋ねると、「いままでにない積雪量だったことと、連続して降雪があったこと」を挙げた。

 その辺の見解は市と同様だが、市と違うのは、他地域から応援を仰ぎやすいということ。極端な話、浜通りの業者に応援を頼むことができる。実際に中通りの業者に応援要請し、除雪に当たった。

 とはいえ、除雪作業は「ここの道路は構造的にこうだ」とか、「この先にマンホールがあるから、引っ掛けないように」というように、周辺環境などを熟知してこそ、「上手な除雪」ができるのだという。一朝一夕にできるものではないということだが、とにかく除雪を進めることが優先される状況だった。

 今回の件以前から、会津地方の他市町村の住民からは、「若松は除雪が下手だ」という話をよく耳にしていた。実際、取材等で会津地方の複数市町村を行き来すると、そう感じることも多々あった。今回は想定外の積雪量・日数で、やむを得ない部分はあったかもしれないが、これを機に対応に問題がなかったのか、排雪場をいかに確保するか等々の検討を行い、今後に生かすことが求められよう。

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