政経東北|多様化時代の福島を読み解く

【福島県中小企業家同友会】藤田光夫会長インタビュー

【福島県中小企業家同友会】藤田光夫会長

組織改革進めながら難局乗り越える

ふじた・みつお 1953年生まれ。中央大卒。藤田建設工業㈱取締役会長。福島県中小企業家同友会副理事長を経て2017年4月から同理事長。2021年4月から現職。

 ――昨年11月25日に開催された臨時総会で次年度の新会長に会津支部代表理事の齋藤記子さんが選出されました。理事長職4年と会長職2年の6年間を振り返って率直な感想を。

 「福島同友会の理事長職や会長職だけでなく全国組織である中同協で副会長という役目をいただいたりと、さまざまなことで勉強させていただける機会がありました」

 ――印象に残っている活動は。

 「1つは福島同友会の1年間の学びを収録した年誌『PAGE』を毎年発行できたことです。これほどの内容やボリュームの冊子を毎年発行しているのは、全国の同友会の中でも北海道と福島くらいです。先に発行していた北海道同友会の冊子を見て、ぜひ福島でも作りたいと思い、当時の北海道同友会の副会長にお願いして実現した取り組みでした。4月に第5号が発行予定です。会員に限らず各自治体や金融機関などにもお配りしているので、同友会の活動を多くの人に知ってもらえるいい機会になっています。

 2つは組織改編を行ったことです。全国の中同協の会議に参加する中で、全国の各同友会のほとんどが代表理事制を敷いており、福島だけこのまま理事長制でいいのかなという思いがありました。議論を重ねて改革し、理事長制から代表理事制に変えることができました。代表理事制のメリットは、複数人の合議制で、意思決定をするのであれば、代表理事、副代表理事と段階を踏んで代表理事になる仕組みなので、組織の安定化が図れます。また県中県南・県北・会津・浜の4エリアを代表する方に代表理事を担っていただくことで各エリアの活動が活発化し、エリア間の連携も強化されました。

 3つは2021年に中小企業問題全国研究集会を福島で開催できたことです。ただコロナや地震の影響でオンライン開催となってしまったのは心残りですね」

 ――会長になる斎藤記子代表理事に期待することは。

 「まずは齋藤記子さんに会長職を引き受けていただいて本当によかったと思っています。齋藤さんとは委員会や理事会で一緒に活動する機会が多くありました。そんな中で、齋藤さんのスバっと物事の本質を突く発言や、持ち前の明るい性格に触れ、素晴らしい人だなと感じていました。

 齋藤さんが経営する会社は介護関係の事業ですが、介護保険法ができる以前から、家庭の介護に問題意識を持って取り組んでいたようです。『チャレンジャーだな』と思います。県の人事委員長を務めるなど、各方面での人脈が広いので、同友会の活動で必ずプラスになると思います。同友会のお母さん役として、若い人たちをうまくリードしていってほしいです」

新会長の運営に期待

 ――長引く新型コロナ、物価高、燃料費高騰が深刻な問題になっていますが、会員企業にはどのような影響が出ていますか。

 「大変な影響を受けています。特に飲食業界や旅館・ホテル関係の会員はコロナによって大きく売り上げを落としました。ただそうした大変な状況でも、飲食業界でいえば、大家に値下げ交渉したり、弁当を売るなどの業態シフトを行ったりして、『いい会社』をつくろうと元気に活動を続けています。

 ただ、物価高においては、中小企業はなかなか価格転嫁できない立場なので厳しい状況です。燃料費高騰に関しても、電気を多く使う工場系の会員は、電気代が4割強も値上げしたことによる影響で、待ったなしの状況です。

 ただ、時代が大きく変わっている今こそ、新たなビジネスチャンスが生まれ、それにうまく対応できた人が生き残っていくのだと思います。そういう意味では、同友会の会員同士で勉強しながら、少しでも経営のヒントが得られればいいですね」

 ――2023年の抱負。

 「個人としては、齋藤さんに会長職を引き受けていただいたので、静かにフェードアウトして、相談役という立場から何かあれば手助けできればと思っています。

 同友会としては、会長が代わり、代表理事も多く入れ替わるので、齋藤記子〝色〟でスムーズに運営していければいいですね。

 今後は各支部の下部組織の適正化をしていきたいと思っています。参考にしているのは、愛知同友会が組織運営のルールとして定めている『支部の下部組織の地区会の規模は100人以内とする』というものです。

 常日頃活動する基礎組織は、顔と名前が一致するくらいの人数で行うのが適正だと思っています。会員数の多い支部にはそれなりのメリットもありますので、もちろん各支部はそのままとして、その下部組織の適正化を進めていきたいです。組織活性化委員会にて侃侃諤諤に議論を重ねており、2年後から実行していきたいと考えています」

福島県中小企業家同友会のホームページ

掲載号:政経東北【2023年2月号】

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