全国高校駅伝福島県予選(福島県高等学校駅伝競走大会)が10月23日に猪苗代町総合体育館を発着点に行われ、学法石川が男女ともに圧倒的な強さで優勝を飾った。12月21日に京都市のたけびしスタジアム京都を発着点に開催される全国大会(都大路)に出場する。男子は15年連続17回目、女子は10年連続12回目の出場で、特に男子チームは近年、都大路でも上位に入る活躍を見せている。その中でも今年は最強チームとの呼び声が高い。過去最高成績(3位)の更新、さらには悲願の初優勝も視界に捉える。
男子Wエースの牽引で初優勝も現実味
男子はフルマラソンと同じ42・195㌔を7人のランナーでつなぐ。県大会での学法石川は1区から独走態勢を築き、全区間で区間賞、従来の大会記録を2分以上更新する2時間02分58秒という好タイムで県大会を制した。
学法石川陸上部の松田和宏監督は今年の男子チームについて「増子、栗村の2枚のエースが中心」と話す。

松田監督がWエースと表する増子陽太選手、栗村凌選手(ともに3年生)はともに高校生ではトップレベルの選手で、互いに切磋琢磨しながら成長してきた。
「2人は同じクラスなんです。普段の様子はあまり詳しいことは分からないですけど、陸上の話はそんなにしないみたいですね。ただ、練習、レースになるとやっぱり互いにライバル視していると思います。特に、最初に増子が実績をつくって、そこに栗村が伸びてきて強くなってきてからは、そういう感じですね」(松田監督)
都大路でもこの2人がチームを牽引する形になろう。
松田監督も「この1年間は増子、栗村の2人がチームを引っ張ってくれました。レース本番(都大路)もどちらかが1区、もう片方が3区という形で、主導権を握りたいと思っています」と話す。
ここで、区間ごとの距離を見ておこう(別表)。前述したように、男子はフルマラソンと同じ42・195㌔を7人のランナーでつなぐ。1区が10㌔で最も距離が長く、各校のエースが集う。3区は1区に次ぐ長さで、レースを折り返して後半に入っていく中で重要な区間になる。
男子の各区間の距離
1区 10㌔
2区 3㌔
3区 8・1075㌔
4区 8・0875㌔
5区 3㌔
6区 5㌔
7区 5㌔
県大会では増子選手が1区、栗村選手が3区を走り、ともに区間記録を樹立した。都大路でも、この2人が1区と3区を担うことになる。


ちなみに、増子選手は2年前に都大路の1区を経験している。1年生で全国大会のエース区間を任されたのだから、いかに期待の大きい選手であるかがうかがえよう。この年、増子選手は学年が上の各校のエースと渡り合い、区間5位でタスキをつないだ。
昨年の都大路では、栗村選手が1区、増子選手が3区を走り、栗村選手が区間6位、増子選手が区間4位だった。この2人は、2年生でエース区間、準エース区間を経験済み。
この2人のほかにも、今年のチームは、末田唯久海選手、保芦摩比呂選手(ともに3年生)が昨年の都大路を経験している。昨年は都大路で5位入賞だったが、そのメンバーが4人残っているのだ。
松田監督によると、前年のメンバーが4人も残っているのは、「これまでなかったですね」という。それだけ今年の3年生は強い世代ということができる。
今年のメンバーなら、過去最高成績、悲願の初優勝も期待できる。ちなみに、都大路での過去最高順位は2018年の3位。過去最高タイムは2019年の2時間02分43秒で、その年は5位だったが、福島県のチームの歴代最高タイムとして残っている。
今年のチームは県大会で2時間02分58秒を記録しており、2019年に都大路で記録した県勢過去最高タイムまで15秒に迫った。一方で、近年の都大路は2時間01分台の決着になることが多く、今年もそうなるだろう。
となると、優勝争いをするためには県大会よりさらに1分以上、タイムを詰めないといけないが、近年のケースを見ると、その可能性は十分にある。
別掲に、学法石川の過去5年間の県大会と都大路(全国大会)のタイムをまとめた。2020年は県大会と都大路で大きなタイム差はないが、それ以外はすべて県大会から2分前後かそれ以上にタイムを伸ばしている。距離は一緒だが、端的に県大会の舞台となっている猪苗代コースはタイムが出にくく、都大路は出やすいということができる。
過去5年の県大会と全国大会のタイム
| 県大会 | 全国大会 | |
| 2020年 | 2:05:21 | 2:05:18(16位) |
| 2021年 | 2:06:24 | 2:03:50(8位) |
| 2022年 | 2:06:34 | 2:04:46(8位) |
| 2023年 | 2:08:59 | 2:06:24(17位) |
| 2024年 | 2:07:23 | 2:04:28(5位) |
| 2025年 | 2:02:58 | ? |
松田監督は猪苗代コースの難しさについて、「風と折り返しが多いこと」を挙げた。猪苗代コースは地形的に風が強く、ランナーにとっては難しい環境と言える。特に向かい風はタイムにマイナスの影響を及ぼすことは容易に想像できるが、そのマイナス効果は、追い風のプラス効果よりも大きいとされる。そのため、風が強いとタイムが出にくい。
もう1つの「折り返し」については、Uターンするような個所が多いということで、「どうしてもスピードを緩めて回るので、タイムに影響します」(松田監督)という。
そんな中、今年は風がさほどなく、レース環境としては良かった。その点も県大会の好タイムにつながったのは間違いないが、松田監督は「それ以上に、増子と栗村が想定以上に走ってくれたので、そこで流れに乗った感じです」と話した。
一方、都大路はアップダウンはあるものの、「やはり、全国大会なんでみんなタイムを出しますね」(松田監督)という。当然、どこも都大路を目標に調整してくるので、各都道府県の予選大会より、タイムは出やすいというのだ。
これらを基準にすると、都大路では県大会を上回るタイムが期待でき、必然的に優勝争いに絡むことができる。
「増子と栗村、どちらが1区で、どちらが3区になるかはまだ分かりませんが、3区までに主導権を握ってトップで4区につなぎたい」(松田監督)
30年前と重なる

本誌は学法石川と仙台育英(宮城県)、西脇工業(兵庫県)、鳥取城北(鳥取県)などの優勝争いになると予想する。ちなみにAI予想でも、同様の結果だった。
注意しなければならないのは体調管理だけ。増子選手、栗村選手のWエースを中心に万全の状態で臨めれば、過去最高成績、初優勝も現実味を帯びる。
ここで1つ余談。学法石川の過去最高成績は2018年の3位だが、県勢の過去最高成績は1995年の田村高校の2位。この時、優勝したのが西脇工業で、2位以下に1分以上の差を付けての優勝だった。2位以下は、田村と大牟田(福岡県)、仙台育英の争いになり、最後のトラックまでもつれ込んだ。最終的に田村が2位、大牟田が3位、仙台育英が4位になる大接戦だった。
今回、学法石川のライバルになりそうなのが、この時と同じく仙台育英、西脇工業というのは県内のファンにとっては余計に興味深い。さらに付け加えると、もう1つのライバル校に上げた鳥取城北は、大牟田から集団転校した選手が中心メンバーになっている。大牟田は昨年の都大路で2位に入ったが、今年春に指導者が鳥取城北に転籍したのを機に、選手らもそれを追って集団転校した。それらメンバーが中心となり、都大路でも優勝候補に名を連ねる。
30年前に田村と優勝争いを繰り広げた仙台育英、西脇工業、大牟田、今年は学法石川、仙台育英、西脇工業、大牟田から集団転校した鳥取城北が優勝候補と目されているのは何か因縁を感じる。
女子も最高成績を狙う

最後に女子についても触れておこう。女子はハーフマラソンに当たる21・0975㌔を5人のランナーでつなぐ。学法石川の過去最高成績は2020年の8位入賞。
女子の各区間の距離
1区 6㌔
2区 4・0975㌔
3区 3㌔
4区 3㌔
5区 5㌔
今年のチームの注目はエースの湯田和未選手。女子は1区が6㌔と最も距離が長く、いわゆるエース区間。湯田選手は1年生から都大路の1区を任され、常に他校のエースたちとしのぎを削ってきた。今年も3年連続でエース区間を任されるのは間違いない。
松田監督は「エースの湯田が1区で上手く流れを作ってくれれば入賞を狙えると思っています」と展望を明かした。
「男子は過去最高が3位、女子が8位ですが、共に過去最高順位を更新するという目標でやっています。選手たちは『優勝』という言葉を使っているんですけど、あえて僕は使わないようにして、なるべくプレッシャーをかけないようにしようと。あとは、全国にはいろいろと強いチーム・選手がいますけど、やっぱり最終的には自分自身に勝つレースをしないと勝てないということは常に言っているので、自分自身に勝つようなレースをしていけば、最終的に良い結果がでると思っています。気持ちで勝つレースをしたいですね」(松田監督)
これまで、学法石川はいわゆるアベック入賞をしたことがない。今年は初のアベック入賞に加えて、男女ともに過去最高成績の更新に期待がかかる。

























