政経東北|多様化時代の福島を読み解く

イトーヨーカドー福島店閉店で加速する中心市街地空洞化

ヨーカドー福島店閉店で加速する中心市街地空洞化

 9月中旬、総合スーパー「イトーヨーカドー」の郡山店、福島店について、閉店が検討されていることが福島民報の報道で明らかになった。

 店舗を運営するイトーヨーカ堂の親会社・セブン&アイホールディングス(HD)は来年5月ごろ閉店する方針であることを正式に認めた。郡山店の後継店はグループ企業の食品スーパー・ヨークベニマルを核テナントとする方向で検討しており、福島店の後継店は未定だという(福島民報9月21日付)。

 同HDでは3月、地方都市の採算性が低い店を中心に、33店舗を削減する方針を打ち出していた。

 特にその影響が懸念されるのは、JR福島駅の西口駅前に立地する福島店の閉店だ。

 同店は1985年オープン。敷地面積2万3750平方㍍、地上4階建て。食料品や日用品、衣料品を販売してきた。計680台分の駐車場(平面・立体)を備える。

 かつては工場や資材置き場、国鉄の関連施設が並び、〝駅裏〟と呼ばれていた福島駅西口。1982年の東北新幹線大宮―盛岡駅間開業を機に周辺の再開発事業が進む中で、昭栄製紙福島工場跡地にオープンし、人の流れを変えたのが同店だった。

 近くの太田町商店街とは当初から〝共存共栄〟の関係。同商店街の振興組合に福島店も加入し、駐車場を2時間無料にして回遊性を高めたり、駐車場で地域の夏祭りを開催するなど、地域貢献に熱心だった。歴代店長は商店街の店主らと積極的に交流していたという。

 もっとも、後継者不足により商店街の店舗は年々減少し、振興組合は10年ほど前に解散。現在は個人的な付き合いを除き、福島店と商店街との交流は途絶えているとか。

 ある商店街の店主はこう嘆く。

 「駅前の一等地なので集客が期待できる商業施設や公共施設を整備してほしい思いはあるが、駅東口周辺でも再開発事業が進められており、再開発ビルに市の公共施設(コンベンションホール)も入居する。そちらの調整もあるので、市では身動きが取れないでしょう。伊達市で建設が進められているイオンモール北福島(仮称、2024年以降開店予定)がオープンすれば、福島市の商業も間違いなく打撃を受ける。このあたりは寂れる一方で、明るい要素はありませんね」

 駅東口周辺の再開発に関しては資材価格高騰のあおりで当初計画より2割以上の増額が見込まれたため、計画の再調整を余儀なくされた。オープンは2027年度にまでずれ込む見通しだ(本誌7月号参照)。

 車社会の福島市では、郊外の大型商業施設、大手チェーンの路面店を利用する人が多く、伊達市にイオンモールが開店すれば人気を集めるのは必至。そうした中で中心市街地の空洞化状態が続けば、買い物客流出は加速する一方だろう。

 土地・建物を所有しているのは不動産大手・ヒューリック(東京都)。同社ではイトーヨーカドー鶴見店が入居する建物を商業施設「LICOPA(リコパ)鶴見」としてリニューアルした実績があり、過去には福島店も活性化策の対象となっていると報じられたことがある。本誌の取材に対し、同社担当者は「検討しているかどうかも含めてお答えすることができない」と話したが、今後どのような判断を示すのか。

 「福島駅前は商業機能が脆弱で、人が集まりたくなる魅力に欠けている。コンベンション機能が中心部に必要だ」と話し、市が250億円以上負担する再開発を推し進めてきた木幡浩市長。逆風の中で中心市街地にどうやってにぎわいを生み出すのか、正念場となりそうだ。

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