【いわき商工会議所】小野栄重会頭インタビュー

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 おの・えいじゅう 1954年10月生まれ。慶應義塾大商学部卒。オノエー㈱社長。いわき商工会議所副会頭を経て2011年5月から現職。現在5期目。

 いわき商工会議所会頭にオノエー(株)社長の小野栄重氏が再任され新体制がスタートした。コロナ禍や物価高など様々な課題が経済を覆うが「挑戦」と進化・伸化などあらゆる意味を持たせた「シン化」をテーマに解決に取り組む。JRいわき駅前の再開発や、いわきFCのJ2昇格はその起爆剤となりうるか。小野会頭に今後の見通しを聞いた。

 ――5期目の抱負を教えてください。

 「現在、いわき地域は、自然災害、原発事故、コロナ禍からの復興に加え、エネルギー・仕入価格の高騰、世界的なインフレの進行、AIやデジタル技術の進展、カーボンニュートラルへの対応、若者流出や長寿社会の到来などさまざまな課題に直面しています。こうした課題を乗り越え、次のステージへ進むためには、事業所も、事業所を支える人財も地域も、大きく変化する環境に果敢に『挑戦』し、新化して行くことが重要です。商工会議所のミッションは、ネットワーク力を生かしながら、こうした挑戦を支援し、地域全体の持続力、革新力、成長力を底上げすることにあると考えます。

 今期3年間のテーマを『挑戦、シン化(進化、伸化、深化、新化)。そして未来へ』としました。『世界に誇れる復興モデル都市の実現』に向けて取り組んでまいります」

 ――新型コロナの影響について会員事業者からどのような声が寄せられていますか。

 「国・県の需要喚起策により、幅広い業種で売り上げは回復傾向にあります。しかし、観光業や飲食業においては、コロナ前の水準にまでは需要が回復しない中、コロナ融資の返済を危ぶむ事業主が多いです。観光旅館は『全国旅行支援のスタートにより、団体客・個人客ともに増えてきているが、コロナ前の7割程度の回復に留まっている』、また飲食店からは『ゼロゼロ融資の返済が始まったが、返済財源の確保が難しい』といった声が上がっています」

 ――円安や物価高、燃料高騰の影響を教えてください。

 「コスト上昇が収益を圧迫し、資金繰りが悪化している会員事業所からの相談が日を追うごとに増えています。『30%コストアップしたが、取引先との交渉が上手くいかず、価格転嫁は10%しかできない(部品製造業)』、『仕事は好調だが、資材の高騰に苦しんでいる。儲からない(工務店)」、『客離れが怖く、値上げしないで頑張ってきたが、もう限界。値上げに踏み切った(飲食店)』、『SNS広告への移行がどんどん進み、経費削減で紙媒体の広告宣伝費を抑えている。売り上げ減の中での経費増は厳しい(印刷所)』といった声が上がっています。『インボイス導入の影響が痛い(ビジネス旅館)』、『社員を増やしたいが、思うような人材が集まらないので、仕事を受注できない(テレワーク)』といった課題も挙がっています」

 ――国、県に要望したいことは何ですか。併せて3選した内堀雅雄知事に何を求めますか。

 「20年前に世界2位を誇った国民一人当たりのGDP(国内総生産)は、今や27位にまで後退しています。2020年度に名目GDP600兆円を目標としていましたが、実際は536兆円に留まり、公的債務も1255兆円に膨らんでいます。

 政府には原因をしっかりと分析し、日本の国力を取り戻せるよう、10年後、20年後のビジョンを明確に示してほしいですし、達成のために必要な戦略を練り上げてほしいです。日本はいまだにコロナの国産ワクチンが開発できていません。奨学金を返済できない若者がいるし、1日に3食を満足に取れない子どもたちがいます。子や孫の世代にツケを回さないように、いまの国民が痛みを分かち合うことになっても先を見据えた政策をすぐに実行すべきではないでしょうか。

 一方で大倒産時代とならないよう、借り換え、追加融資、返済繰り延べ、条件変更などコロナ融資返済への柔軟な措置を取ってほしいです。また、浪江町に立地が決まった『福島国際研究教育機構』が、福島県の復興を後押しし、日本の産業競争力強化につながるよう、十分に機能を発揮できる体制づくりと予算付けをお願いしたいです。

 なお、為替動向に一喜一憂しても仕方がありません。インバウンド観光はもちろん、国内に生産拠点を呼び戻す、地域を挙げて輸入に力を入れるなど、円安を逆手に取った戦略も考える必要があります。

 偶然にも、知事がスローガンに掲げた『進化、新化、深化』と、商工会議所のテーマ『挑戦、シン化(進化、伸化、深化、新化)』が重なりました。思いは同じであり、ともにシン化を図って行きたいです」

 ――JRいわき駅周辺の中心市街地活性化計画の進捗はどうですか。

 「いわき市中心市街地活性化基本計画は、2017年4月に国の認定を受け、2022年の3月末をもって5年の計画期間が終了しました。しかし、並木通りの再開発事業や旧イトーヨーカドー平店跡地における都市計画変更などを勘案し、スムーズな開発が進められるよう、基本計画を1年延長しました。

 主な整備内容としては、①平城本丸跡地の公園整備(歴史遺構の出土により計画は変更中)、②並木通り再開発(ミッドタワーいわき)、③旧イトーヨーカドー平店の開発があります。また基本計画に記載がないものとしては、④2023年1月に開業するJRいわき駅ビル(S-PAL)やホテル開発(ホテルB4Tいわき)、⑤2025年度を目標に進められている、駅北口の松村総合病院の移転があります。

 市と商工会議所、まちづくり会社や商店会連合会などが一体となって事業を推進、支援しているところであり、まちの再生に大きな効果を発揮するものと期待しています」

 ――サッカーのいわきFCがJ2に昇格しました。地元経済界として何に期待していますか。

 「松本山雅との試合では約800人のサポーターがいわき市に来ました。湯本温泉や平のビジネスホテルが繁盛し、夜は飲食店に繰り出し街が活気づきました。白水阿弥陀堂や小名浜を観光した方も多いでしょう。J2昇格で1試合あたり、今までの2倍の観客動員数を見込んでいます。特に、山形、仙台、秋田、千葉、東京、大宮など、割と近くに対戦チームが多いです。試合の直接的な経済効果を求めつつ、いわきを好きになってくれるファン、リピーターを増やしていきたいです。

 また、サッカーのインターハイがJヴィレッジで固定開催されます。いわきをサッカーの聖地にして全国から合宿を呼び込んだり、いわきFCのトレーニングのノウハウを一般にも活用し、メタボリック症候群の解消など市民の健康増進にも役立てていければと考えています」

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