【金山町】押部源二郎町長インタビュー

【金山町】押部源二郎町長インタビュー

 おしべ・げんじろう 1949年生まれ。県立川口高校卒。1970年に金山町役場に入庁、副町長などを歴任。2018年9月の金山町長選挙で初当選。2022年10月、無投票で再選を果たした。

 ――任期満了に伴う金山町長選挙で無投票での再選を果たしました。まずは現在の率直なご感想についてお聞かせください。

 「結果的に無投票当選と相成りましたが、2期目における重責をひしひしと実感しており、身が引き締まる思いです。無投票に慢心することなく、今後も町民の声にしっかり向き合いながら謙虚な姿勢で2期目に臨んでいきます」 

 ――前回の町長選では、①安心・安全な生活環境の実現、②地域資源を生かした産業の振興、③次代を担う若者・子育て世代への支援――の3つの柱に基づいた選挙公約を掲げていました。これらの公約は1期目でどの程度実現できたとお考えですか。総括をお聞かせください。

 「まず①安心・安全な生活環境の実現については、新型コロナへの対応として、円滑なワクチン接種、マスク・消毒液の配布、広報媒体を活用した注意喚起や感染防止対策の推進に注力してきました。

 快適な生活環境を充実させるため、ホームヘルプ事業継続支援に取り組んできたほか、有害鳥獣や害虫駆除を円滑にすべく補助対象者を拡大し、新たな補助制度も創設しました。さらに災害時などの危機管理対策として、大型非常持ち出しリュックの配布、主要個所への監視カメラの設置に努めました。

 町民の健康促進の観点から、人間ドック助成期間を5年から3年に短縮し、補助率を45%から60%に引き上げました。併せてインフルエンザワクチンの無料接種、高齢者へのエアコン設置、灯油購入の補助に取り組みました。そのほか、自動車の急発進防止装置への補助を実施したり、空き家改修補助を100万円から150万円に引き上げました」

 ――②地域資源を生かした産業の振興についてはどのように取り組んできましたか。

 「農業分野への支援として、農業機械購入補助を100万円から150万円に増額しました。加えて赤カボチャやアザキ大根、エゴマ等のブランド化推進と付加価値の向上を図る観点から、種子の固定化事業にも取り組みました。このほか、生産振興補助率の引き上げ、地元農産物の6次化商品開発を狙いとする加工施設の整備、稲作経営の持続化に対する臨時交付金事業、新規就農支援事業の創設などを行いました。

 商工業分野の支援としては、町内の消費拡大を図るため、従来のプレミアム率10%から25%にアップしたプレミアム商品券を発行しました。さらに商品宅配事業の制度化、本県初となる特定地域づくり事業協同組合支援事業、小規模企業基本条例の制定、レジの改修や更新時の支援、原油高騰・物価高騰支援事業に努めました。

 さらに、観光誘客や観光需要の掘り起こしに向けて、ホームページ・テレビ・新聞・ミニコミ等の広報媒体を活用した積極的な観光PR・情報発信、観光タクシー運行補助制度の創設、主要観光スポットに位置づけられる『霧幻峡の渡し』へのトイレ設置や船着き場といった関連施設の整備事業を実施しました」

 ――最後に③次代を担う若者・子育て世代への支援について。

 「快適環境下での保育と学びを充実させるため、町内保育所・小中学校へのエアコン設置、小・中学校での外国語指導助手の単独配置、英検等の中学生各種検定受講料の公費負担などの事業を進めてきました。

 子育て世代の負担軽減策として、幼児に関しては、保育料無料化、延長保育・土曜保育無料化、チャイルドシート無料貸し出し事業を実現しました。小中学生に関しては、給食費・教材費無料化、修学旅行費支援(交通費・宿泊費無料)、入学準備品支援(運動着・制服各1セット無料)、夏休み学習塾事業を行っています。県立川口高校の生徒に関しては、通学費半額補助、部活動補助、寮生支援(寮費・食費等の補助)を実施してきました。

 併せて子育て世代の住宅環境改善策として、上横田地区に町営住宅9戸を建設・整備しました。

 そのほか、JR会津川口駅前に移住支援センターを開設し、結婚祝い金を5万円から10万円に増額しました。出産祝い金も一律5万円から第1子・第2子30万円、第3子以降50万円に増額し、不妊治療の個人負担ゼロなどの事業にも着手してきました。 

 1期4年間の中で、公約を果たせた施策がある一方、まだまだ不十分な点や新たな施策が求められることが少なくありません。住んでいる町民が〝住みたい〟と思うまちづくりに向け、先述した3つの柱をさらに進化・充実させていきます」

 ――平成23年7月新潟・福島豪雨で甚大な被害を受け、一部不通となっていたJR只見線が10月1日、全線再開通の運びとなりました。今後、観光振興や地域活性化にどう取り組んでいく考えですか。

 「只見線の全線再開通は全国的に注目され、沿線各地では大変なにぎわいを見せています。このにぎわいが一過性のブームに終わることがないよう、今後は沿線自治体や観光地との連携を強化し、持続的な観光交流人口の創出に尽力していきたいと考えています。

 全線再開通に伴い、金山町観光物産協会を運営主体とするレンタカー事業がスタートしました。これまで本町の自然を気軽に楽しんでもらえるよう観光タクシーやレンタサイクルなど来訪者の移動手段の確保に努めてきましたが、レンタカー事業が始まったことで、利便性が一層高まることは間違いありません。

 昨年秋には、只見柳津県立自然公園とその周辺が越後三山只見国定公園に編入されました。町内の大塩炭酸泉、滝沢川の甌穴群も同国定公園に加わることで、本町にある自然遺産の存在感はさらに増しています。

 今後は、道の駅奥会津かねやま、東北電力奥会津水力館『みお里』、天然炭酸温泉、『霧幻峡の渡し』、沼沢湖などの観光資源についてさまざまな情報媒体を活用し、きめ細かな魅力発信に取り組みます。併せて玉縄城址遊歩道やビューポイントの整備に努め、来訪者の滞在時間延長や回遊性の向上に注力していく考えです」

 ――その他の重点事業について。

 「まず、1期目で不十分だった高齢者世帯に対する除排雪体制の強化と支援の拡充について、重点的に取り組みます。次いで地域Wi―Fiの整備です。通信環境の改善による生活利便性の向上をはじめ、若年層における通信費の負担軽減、移住・定住の促進につなげていきたいと考えます。また、大規模自然災害が頻発する昨今、町民における危機意識の向上と防災・避難体制の確立や既存の公共施設や観光施設の長寿命化を図っていきます」

金山町ホームページ

政経東北【2022年11月号】

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