問われるごみ減量意識【会津若松市】家庭ごみ有料化の方針を決定

問われるごみ減量意識【会津若松市】家庭ごみ有料化の方針を決定

 本誌昨年8月号に「会津若松市『ごみ緊急事態宣言』の波紋 1年半後の新焼却施設稼働がタイムリミット」という記事を掲載した。同市は昨年5月に「ごみ緊急事態宣言」を発令し、6月から半年間を「緊急減量期間」と位置付けて、ごみ減量に取り組んできた。しかし、目標達成には至らず、有料化を導入する方針を決めた。

真面目な人が損しない体制を

建設中の新ごみ焼却施設(昨年7月撮影)
建設中の新ごみ焼却施設(昨年7月撮影)

 会津若松市が「ごみ緊急事態宣言」を発令した背景には、大きく2つある。

 1つは、国(環境省)が毎年実施している「一般廃棄物処理事業実態調査」(2022年度版、昨年6月公表)で、同規模自治体ワースト10、生活系ごみに限るとワースト4だったこと。

 もう1つは、現在建設中の新しいごみ焼却施設の関係。同施設建設は同市のほか、磐梯町、猪苗代町、会津坂下町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、会津美里町の1市7町2村で構成する会津若松地方広域市町村圏整備組合の事業だが、既存のごみ焼却施設は1日当たり225㌧の焼却能力があるのに対し、新焼却施設は1日当たり196㌧で29㌧減(約13%減)となる。今後、人口減少が避けられない中、それに見合った施設にすべき――との方針から、既存のごみ焼却施設より規模(焼却能力)を縮小したのである。

 新施設完成は2025年度中で、2026年3月の稼働を予定している。それに向けて「新施設稼働までに、各構成市町村が燃やせるごみを減らそう」といった減量目標の割り当てがある。会津若松市は最終的には燃やせるごみの排出量を1日当たり82・1㌧まで減らさなければならない。これに対して、2023年度の実績値は98・2㌧で、目標には届いていない。そうした中で緊急事態宣言に至ったのだ。

目標に到達せず

緊急事態宣言後に開かれたタウンミーティング(昨年7月)
緊急事態宣言後に開かれたタウンミーティング(昨年7月)

 緊急減量期間の目標は前年比12%以上削減(燃やせるごみ)だった。その間、街頭での呼びかけや、ごみステーションでの立ち会い・排出説明、タウンミーティングや地域座談会の開催、事業者団体会合での講演、ガイドブックの全戸配布、テレビ・新聞報道などでの周知啓発を行ってきた。

 その結果、一定程度の削減にはつながったが、目標達成には至らなかった。

 月別に見ると、6月は前年同期比で15・3%減。ただし、曜日の並びの関係で、2024年6月は2023年6月と比べてごみの収集回数が2回少なかった。その分を補正すると9・2%減だった。以下、7月1・9%増(前述の補正をかけると1・3%減)、8月5・1%減、9月4・8%減、10月6・2%減、11月7・4%減だった。とりわけ、9〜11月は「集計期間」として取り組んだが、3カ月累計では6・1%減で、目標の半分程度にとどまった。

 こうした結果を受け、市は2026年4月から有料化する方針を決めた。昨年12月20日に開かれた市議会の全員協議会で示した。基本的な考え方は、市民が家庭ごみを集積所に出す際、指定のごみ袋で出すようになる。金額は1㍑当たり2円。

 これまではスーパー、ホームセンター、ドラッグストアなどで、共通のごみ袋を購入し、そこにごみを詰めて出していたと思われる。ごみ袋の価格は30枚入りとか、50枚入りで数百円くらいだっただろう。指定ごみ袋は、従来通り市内のスーパー、ホームセンター、ドラッグストアなどで購入できるようにするが、価格は1㍑当たり2円だから、20㍑で1枚40円、それが30枚入りだと1200円する。

 つまり、市民からしたらごみ袋が変わり、これまでより割高になるということ。それによって、手数料を負担する形になる。

 市によると、現状のごみの量で試算すると、有料化による世帯ごとの負担額は、月563円、年間で6760円になる。一方で、有料化により、目標にしていた減量値に到達できる見込みという。

 こうした方針について、市は昨年12月から今年1月にかけてパブリックコメントを受け付けたほか、廃棄物処理運営審議会に諮問中。同審議会の答申、パブリックコメントを踏まえ、2月中旬に「家庭ごみ処理有料化実施方針」を策定する。その後、議会に条例改正と、仕組みづくりのための予算を計上して、それが認められれば正式に決定となる。

 1月にはタウンミーティングが行われたが、その席では反対意見よりも、「指定袋でないものが出されていた場合はどうするのか。これまではルール違反のごみは、町内会が対応してきたが、有料化後も町内会が対応しなければならないのか」、「不法投棄が増えるのではないか」といった指摘があったという。

 確かに、有料化後にそうした問題が横行したら、きちんとルールを守っている人がバカを見るような形になってしまう。実際の導入に当たっては、そういったことがないような対策が課題になる。

関連記事

  1. 福島市いじめ問題で市側が被害者に謝罪

    福島市いじめ問題で市側が被害者に謝罪

  2. CМでよく見る転職仲介業者とは

    CМでよく見る転職仲介業者とは【福島県】

  3. 77歳教師【相楽新之助さん】「これからも教壇に立ち続けたい」

    77歳教師【相楽新之助さん】「これからも教壇に立ち続けたい」

  4. 福島市西部で進むメガソーラー計画の余波「開閉所の整備予定地」

    福島市西部で進むメガソーラー計画の余波

  5. 【福島県】相次ぐ公務員の性犯罪(男性に性交強いた富岡町男性職員)

    【福島県】相次ぐ公務員の性犯罪

  6. 【喜多方市】処理水排出を強行する昭和電工【アルミ太郎】

    【第4弾】【喜多方市】処理水排出を強行する昭和電工

  7. 組合議会で追及された【双葉広域消防パワハラ問題】

    組合議会で追及された【双葉広域消防パワハラ問題】

  8. 福島市「デコボコ除雪」今シーズンは大丈夫?

    福島市「デコボコ除雪」今シーズンは大丈夫?

人気記事

  1. 各地の選挙に出続ける髙橋翔氏の素顔
  2. 本宮市「コストコ進出説」を追う 地図
  3. 政治
  4. 【マルト建設】贈収賄事件の真相
  5. 女優・大内彩加さんが語る性被害告発のその後「谷賢一を止めるには裁判しかない」
  6. 政経東北【2025年4月号】
  7. 【福島市歩道暴走事故の真相】死亡事故を誘発した97歳独居男の外食事情
  8. 【和久田麻由子】NHK女子アナの結婚相手は会津出身・箱根ランナー【猪俣英希】

最近の記事

  1. 政経東北【2025年4月号】 政経東北【2025年4月号】
  2. 南相馬市立病院で重大医療事故 南相馬市立病院で重大医療事故
  3. 【福島市松川町】メガソーラーで泥沼の工事費未払い騒動
  4. 迷走が続く【会津坂下町】新庁舎の場所選定 迷走が続く【会津坂下町】新庁舎の場所選定
  5. 農村交付金を掠めた【JA会津よつば】役員の背信 【X氏の自宅に突撃】農村交付金を掠めたJA会津よつば役員の背信
PAGE TOP