任期満了に伴う小野町長選挙が3月4日に告示され、現職の村上昭正氏(69)以外に立候補の届け出が無く、村上氏の無投票での再選が決まった。
一方、同時に町議会の欠員1を補う町議選再選挙が行われ、元職1人と新人1人の計2人が立候補を届け出たため選挙戦となった。
「欠員1で補欠選挙ではなく再選挙?」と思った人もいるだろうが、同町では昨年1月に任期満了に伴う町議選が行われ、定数12に現職8、新人3の計11人が立候補し、定数に満たない状況で無投票当選が決まっていた。公職選挙法では、選挙が行われたが、当選人がいない場合、もしくは定数に達しなかった場合は「再選挙」を行うこととされており、今回はこれに該当する。
一部に「補選(補欠選挙)」と報じたところがあったが、これは誤り。当選者が確定し、任期がスタートした後に欠員が生じた場合は「補欠選挙」になるが、今回のケースは前述の通り「再選挙」になる。
昨年1月の町議選は、事前情報では、欠員1と現職3人が引退するのに対して、新人4人が立候補する見込みで、定数と立候補者が同数になると予想されていた。しかし、直前で新人1人が立候補を見送り、現職8人、新人3人の計11人となり、定数割れとなった。同町で「定数割れ」になるのは初めて。
その詳しい経緯については、本誌昨年2月号「小野町議選『定数割れ』の背景」という記事でリポートしている。
そうした特殊な事情があっただけに今回の再選挙がどうなるかは注目だったが、前述のように、元職1人と新人1人の計2人が立候補したため選挙戦となった。結果は次の通り。
当2283 古崎泰介(37)無新
722 村上和行(66)無元
本誌は「昨年の定数割れをどう思っているのか」、「今回の再選挙に立候補したことはそれに関係しているのか」を聞くため、選挙期間中に両候補者への取材を試みた。結論から言うと、古崎氏は取材できたが、村上氏に話を聞くことはできなかった。村上氏に選挙運動をした形跡がないためだ。
町内の選挙掲示板を見ても、ポスターが張られているのは古崎氏のみで、それ以外(村上氏に割り当てられた場所)は張られていなかった(写真)。立候補の届出後、真っ先に張るであろう役場前の掲示板にさえなかった。町選管に届けられた事務所に行ってみると、村上氏の自宅のようで、呼び鈴を鳴らしても応答がなかった。
一方、古崎氏は立候補の理由について、昨年の定数割れを受け、このままではいけないという思いがあったわけではないと話した。古崎氏は両親は県内出身(小野町ではない)だが、自身は県外育ちで、10年前に地域おこし協力隊として移住してきた。それを経ていろいろと活動する中、昨年の町議選の際に「町議を目指してはどうか」と声をかけられたが「仕事の関係で、自分自身がそういう挑戦ができる状況になかった」(古崎氏)。そんな中、今回あらためて声をかけてもらい、「やってみよう」と思ったのだという。
こうして特殊な状況での欠員1を埋めることはできたが、議員の成り手不足の問題は同町に限ったことではない。その問題については、機を見てあらためて検証したい。