よこやま・あつし 1963年生まれ️。㈱横山建設代表取締役。須賀川建設業協同組合代表理事。今年7月より連絡協議会会長に就任。
公共インフラを守る体制をつくる
――県は2030年をめどに、県内全域で公共インフラの包括維持管理業務を導入する方針を示しました。
「高度成長期に整備された公共インフラは半世紀以上を経て、そのレジリエンスが問われています。他県での道路の大規模陥没事故等を例に、持続可能なインフラメンテナンスの充実強化に取り組むことは、国民生活の安全・安心を支えるためにも、今後一層重要度を増すでしょう。
そのような中、県では県内建設業が将来にわたり持続可能で活力ある産業として発展できるよう、建設業振興施策として『第2次ふくしま建設業振興プラン』を策定しています。これは2022年度から2030年度までの9年間を計画期間とし、建設業を取り巻く情勢を踏まえ、地域の守り手としての役割や、さまざまな課題に対応しながら、各施策を構築・展開する必要性が示されています。このプランの中では、2030年までに8地区で包括的維持管理を導入することが示されています。具体的な動きとして、県内各地で『県公共土木施設維持管理業務に係る基本的方向性』に関する説明会を開き、現在の導入状況やメリットを示しながら業界の意見を踏まえて、今後のあり方について検討していく考えのようです。
これに対し、受託側であるわれわれ建設業は、技術に精通した人的資源や機材所有という強みを最大限に活用しながら、浜通り・中通り・会津と方部ごとに維持管理における環境が違う中で、業務効率化を図る創意工夫や先進技術の活用などをもって、県民生活に不可欠なインフラを守る体制をつくることが喫緊の課題であり、地域に根差しているわれわれ組合員企業の使命と考えています」
――建設業では2025年問題による人手不足が指摘されています。
「福島県の人口は1998年の約214万人をピークに減少しており、年齢別構成を見ても、65歳以上が全国と比較して増加しています。この問題は建設業に限ったことではありませんが、いわゆる団塊の世代の大量退職や、急激な人口減少を背景とした担い手不足は、景気動向調査機関の2025年度産業業績見通しを見ても、『人手不足の深刻化』という下振れ要因がトップに位置しており、将来に影を落とす大きな要因となっていることは事実です。
この人手不足いわゆる技術者・技能者不足の問題は、建設業が包括的維持管理業務という新たな方向に進むに当たり、われわれの経営基盤などに影響を与えることが危惧され、組織としてどのように取り組むべきかは喫緊の課題と考えています。
解決へのアプローチとしては、包括的維持管理業務をもって新技術活用に取り組む、さらに激甚化・頻発化する災害に対峙する姿などを広報する、加えて建設業の持続可能性が社会の持続可能性に直結するという明確なビジョンを示すことで、将来的な入職希望者や現在従事する従業員にとって魅力的な仕事と理解されれば、業界を取り巻く課題を解決する大きな礎になると考えています」