おおほり・たけし 1951年生まれ。東北学院大学卒。陸上自衛隊で勤務後、新地町役場に入庁し、総務課長などを歴任。2018年の町長選で初当選。現在2期目。
――2期目の折り返しを迎えましたが、いまの思いをお聞かせください。
「二度の福島県沖地震による災害復旧に追われる一方で、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種、国からの支援事業に取り組むなど、職員の負担がかなり大きかったと感じています。令和5年度後半以降は震災ごみの処理も終了し、コロナも5類に移行したことから、町民の生活も少しずつではありますが以前の落ち着きを取り戻しつつあります。予定していた諸事業も概ね順調に進捗していますが、商業施設誘致は進展しておらず、町民の皆さまにはご不便をおかけして申し訳ない気持ちです。様々な手法を模索しつつ、町民の皆さまの生活環境の改善に努めていく考えです」
――7月から新たな地域交通手段として「しんちゃんバス」が運行されています。
「平成16年から『乗合タクシーしんちゃんGO』を運行してきました。運営は新地町商工会に委託し、3つの路線で運行してきました。ただ、利用者数の減少・高齢化、財政負担増加といった問題が顕著になり、新地高校への通学での利用もありましたが、当初目的の商業振興より通院などの福祉的な利用が多く、見直しが必要となりました。その新地高校は相馬東高校と統合され、今年3月で新地高校の生徒全員が卒業したのを機に、しんちゃんGOの運行を終了し、準備期間を経て今年7月よりしんちゃんバス・しんちゃんタクシーの運行が開始となりました。バスは事前予約の必要がなく、町が運営する方式で運行していますが、なかなか利用客が伸びそうな兆しは見られません。一方、タクシーはそれぞれの事業所に委託し、戸口から戸口への移動になることもあり、利用者数は伸びています。今後は委託業者の車両の状況や、受託するための投資状況、利用者の動向等も踏まえながら適切な運用を検討していきます」
――旧新地村、駒ヶ嶺村、福田村が合併して今年で70周年を迎えました。
「昭和29年8月20日に3村が合併して新地村としてスタートし、その後、町制を敷いて今日に至ります。合併70周年というのは大きな節目ですし、今年度は冠を付けた事業を含め、式典や記念イベント等を実施してきました」
――今年度の重点事業について。
「鹿狼山の駐車場、登山道の整備を年度内完成に向け進めているほか、駒ヶ嶺停車場高田線の通学路整備をはじめとしたインフラ整備、高齢者の見守り事業の推進、防災事業への取り組みなど、今年度も多岐にわたって取り組んでいます」