さかもと・ひろゆき 1956年生まれ。田村高校、専修大学法学部卒。三春町総務課長、副町長などを歴任。2019年9月の町長選で初当選。現在2期目。
――DXへの取り組みについて。
「当町では教育、観光、役場業務、日常生活の各分野でデジタル化を進めていく計画です。背景には人手不足で職員採用が思うように進まない中、細分化・多様化する町民の要望に対応する狙いがあります。同時に、職員の生産性向上と負担軽減にもつなげたいと考えています。
教育分野ではGIGAスクール構想に取り組むことで学力向上を目指しており、徐々に成果が出ています。観光面ではVRなどを活用しています。役場内ではペーパーレス化を進め、窓口にはタブレットを置いて『書かない窓口』に変えています。なお、不慣れな方には職員がサポートしています」
――モンベルと包括連携協定を結び、アウトドアアクティビティを進めています。
「来年春にモンベル直営のストアがオープンします。ストアの来場者を三春の里などに呼び込むことで経済活性化につなげたい。また、ストアだけではなくキャンプ場やカヤック・カヌー乗り場の整備も始まります。カヤック・カヌーから滝桜の駐車場に上陸できるので、キャンプ場から漕ぎ出して滝桜を見に行くことも可能になります。モンベルストアの波及効果に期待しています」
――来春にはこども園が開園します。
「建築工事は順調です。0歳から入園可能で定員は177名ですが、希望を募ったところ定員近くの入園希望がありました。こども園では保護者の相談にも力を入れ、0歳から卒園するまで同じ教員が担当する専任制度を採るので、小学校入学時のつなぎもスムーズに進むと思います。近隣には小中学校もあるので若い世代の移住を期待しています」
――その他の重点事業について。
「バスの本数減少に加えタクシーの台数も少ない中、公共交通の利便性向上を図るためシェアタクシーの実証事業を行います。実証事業を通して町民の移動状況を検証し、次のステップにつなげていきたいです。また、町営バスと福島交通のバスにはキャッシュレス機能を搭載します」
――今後の抱負を。
「来年、町制施行70周年を迎えます。DXやこども園整備、公共交通対策など現在取り組んでいる施策を着実に進めていきます。また少子高齢化が進む中、地元に就職するという点では福島県は弱い部分があります。町内には素晴らしい製造業もあり、若い世代に就職していただければ少しでも少子化の緩和につながると思います。町でも町内企業と連携しながら、若い世代の地元就職を支援するための施策に取り組みたいです」