(2022年10月号)
2022年9月3~5日にかけて県内で行われた「2022東都大学野球秋季リーグ開幕戦」は入場者が2万5000人に上るなど盛況のうちに終わったが、思いがけずこんな不満の声も聞かれた。
「あづま球場は使用料の減免措置がなくて……」
と話すのは、県内のある野球連盟関係者だ。
福島市にある県営あづま球場は、2021年の東京オリンピックで野球とソフトボールの日本代表戦が行われたことで全国的に知られるようになった。東都大学野球開幕戦でも初日の会場として使われ、計3試合が行われたが、ここには当然、球場使用料が発生している。
球場使用料は県都市公園条例で定められているが、同開幕戦にかかった金額を同条例に当てはめて計算すると「アマチュア野球に使用する場合」で「入場料等を徴収する場合」で「土曜日等」だと「1日の最高入場料の300人分に相当する額」となっている。入場料は一般1500円だったので「×300人分」で45万円。さらに屋内練習場やピッチング・バッティングマシーン、夜間照明などの付属施設等を使うと、1時間につきいくらと別途使用料が加算される。
補足すると、球場使用料は一般か高校生以下か、平日か土日か、入場料を徴収するかしないか、アマチュアかプロか、という違いで大きく変わってくる。例えば入場料を徴収せず、生徒等が昼間に使う場合だと、球場使用料は1時間につき1100円しかかからない。
東都大学野球連盟は付属施設等も使ったとすると、五十数万円の球場使用料を支払ったものと思われるが、その減免措置がないのは大会主催者にとって確かに痛手だろう。
同条例には使用料の「免除」に関する規定(第11条)はあるが、①国の行う事業、②地方公共団体の行う事業、③知事が特に必要と認めたとき――に限られており、「減免」に関する規定はない。
あづま球場の指定管理者である公益財団法人福島県都市公園・緑化協会の話。
「2021年のオリンピックや県が予算措置した大会等は使用料が免除になります。しかし、入場料を徴収する大会は免除対象になりません。東都大学野球も免除対象ではなく、減免も行っていません」
一方、今回の東都大学野球開幕戦は2、3日目を郡山市のヨーク開成山スタジアムで行った。同スタジアムも「最高入場料×300人分」はあづま球場と同じで、付属施設等の使用料もほぼ変わらないが、このほか1時間につき2500円の使用料が加算される。ここでも、球場使用料は五十数万円かかったと見ていいだろう。
違うのは、同スタジアムには減免措置があることだ。郡山市スポーツ振興課によると、球場使用料の減免を受けるには市がその大会を後援・共催していることを証明する承認通知書が必要で、後援の場合は3分の1減免、共催の場合は全額免除される。東都大学野球開幕戦は市が後援していたので、減免措置を受けて三十数万円に収まったとみられる。
前出・野球連盟関係者によると、高校野球は入場料を徴収するため、減免措置がないあづま球場は「県大会では使うが、支部予選では使わない」という。一方、同球場では8月に日米対抗ソフトボール2022が行われたが、県がチケットを購入し無料配布するなどの予算措置を講じたため、球場使用料は免除された。
この関係者は「人工芝に張り替えるなど、せっかく改修した〝オリンピックレガシー〟が使いにくい施設になっている」と嘆く。減免措置がないのは考えものだろう。