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遅すぎた福島市メガソーラー抑制宣言

遅すぎた福島市メガソーラー抑制宣言

 福島市西部の住民から「先達山の周辺がメガソーラー開発のためにハゲ山と化した。景色が一変してしまった」という嘆きの声が聞かれている。市は山地でのメガソーラー開発抑制に動き出したが、すでに進められている計画を止めることはできず、遅きに失した感が否めない。

 福島市は周囲を山に囲まれた盆地にあり、市西部には複数の山々からなる吾妻山(吾妻連峰)が広がる。その一角の先達山で、大規模メガソーラーの開発工事が進められている。

 正式名称は「高湯温泉太陽光発電所」。事業者は外資系のAC7合同会社(東京都)。区域面積345㌶、発電出力40メ  ガ㍗。県の環境評価を経て、2021年11月22日に着工、今年3月27日に対象事業工事着手届が提出された。

 今年に入ってから周辺の山林伐採が本格化。雪が解け始めた今年の春先には、山肌があらわになった状態となっていた。その様子は市街地からも肉眼で確認できる。

 吾妻山を定点観測している年配男性は「この間森林伐採が進む様子に心を痛めていた。あんなところに太陽光パネルを設置されたら、たまったもんじゃない」と語る。

 福島市環境課にも同じような市民からの問い合わせが多く寄せられた。そのため、市は8月31日の定例記者会見で、山地へのメガソーラー発電施設の設置をこれ以上望まない方針を示す「ノーモア メガソーラー宣言」を発表した。

 木幡浩市長は会見で、景観悪化に加え、法面崩落や豪雨による土砂流出のリスクがあることを指摘。市では事業者に対し法令順守、地域住民等との調和を求める独自のガイドラインを設けていたが、法に基づいて進められた事業を覆すことはできない。そのため、市としての意思を示し、事業者に入口の段階であきらめてもらう狙いがある。条例で規制するより効果が大きいと判断したという。もし設置計画が出てきた際には、市民と連携し、実現しないよう強く働きかけていく。

 もっとも、県から林地開発許可を得るなど、必要な手続きを経て進行している建設を止めることは難しいため、現在進行中のメガソーラーの開発中止は求めない方針だ。すなわち、先達山での開発はそのまま続けられることになる。

 先達山の開発予定地のすぐ西側には別荘地・高湯平がある。2019年には計画の中止を求め、住民ら約1400人による署名が提出されるなどの反対運動が展開されていた。ただ、結局手続きが粛々と進められ、工事はスタート。今年の春先に高湯平の住民を訪ねた際は「結局押し切られてしまった。こうなったらもう止められないでしょ」とあきらめムードが漂っていたが、時間差で反対ムードに火が付いた。

 前出の年配男性は「建設許可を取る際、こういう景観になると予想図を示したはず。自然破壊を予測できなかったとしたら怠慢であり、行政の責任を問うべき」と訴える。こうした意見に対し、県や福島市の担当者は「法に基づき進められた計画を覆すのは正直難しい」と答えた。

 福島市以外でも、メガソーラー用地として山林伐採が進み、見慣れた山々の風景が一変してギョッとすることが多い。景観・自然を破壊しないように開発計画を抑制しながら、再生可能エネルギー普及も進めていかなければならない。各市町村には難しい舵取りが求められている。

森林が伐採された先達山
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