昨年11月上旬、本誌編集部に柳津町の水道メーターに関する情報が寄せられた。
「2018年ごろに町内の水道メーターを一斉更新したが、それまでは10年以上経過したものが設置されていた。法律では検定有効期限が8年と定められている。普通は少しずつ更新するものだが、内部の指摘を受け慌てて一斉更新したらしい。町民には公表していないが、法に抵触していた事実を伏せたままにしているのはまずいのではないか」
複数の町民によると、同町では民間団体などに検針業務を委託しており、一般住民でも水道メーターに触れる機会があるという。情報提供者は名前を名乗らなかったが、何らかの形で水道メーターを見ていた町民と思われる。
計量法施行令では水道メーターの検定有効期限が8年と定められており、交換を怠った場合、「6月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされている。
情報提供の内容は事実なのか。柳津町に問い合わせたところ、建設課上下水道係の佐藤雄一係長からファクスで回答が寄せられた。それによると、「有効期限が切れているものがあった事実は認識しております」という。
どういうことか。同町では2017年に1200基分を更新するため、当初予算で462万6188円の予算を計上し、更新を行っていた。
同町ホームページに掲載されている同年1月1日現在の町世帯数は1307世帯。町内の大半の水道メーターを一気に更新しようとしていたことになる。
ところが、2018年8月、県計量検定所の立入検査時に有効期限が切れているもの(前年に交換されていなかったもの。基数は不明)が一部あることが判明。町議会9月定例会で予算計上し、同年12月までに交換を行った。翌19年1月には再度県計量検定所の立ち入り検査を受け、是正確認を受けた。
実は水道メーターの有効期限切れは全国で起きている。例えば、昨年10月には、山口県下関市で、委託業者による取り換え業務が遅れ、1294戸分の水道メーターが有効期限切れとなった。いずれの場合も当局が記者会見などで公表しきちんと謝罪している。ところが、柳津町は「(県計量検定所に)改善計画書及び改善報告書を提出したため、公表は必要ないと思った」(佐藤係長)という。
水道業関係者によると「有効期限切れのメーターは回りにくいし、ゴムの部品などが劣化するので、正確な水道料金が算出されていなかった可能性が高い」と語る。つまり、町民にも影響する問題なのだが、町は公表していなかったことになる。
水道業関係者によると、会津地方の町村では水道関係部署は担当者1~2人で、専門知識を持つ職員も少ないという。水道メーター更新の作業が計画通り進まない面があったのかもしれない。
仮にそうだとしても、周囲の職員は、有効期限切れの事実を公表しないことに違和感を抱かなかったのか。議会はチェックできなかったのか。疑問は多い。
県計量検定所の担当者によると、「有効期限切れなどが分かった場合も、いきなり罰則の対象になることはなく、まずは当検定所から速やかに更新するように働きかけます」という。そもそも数年前に起きた案件で、すでに解決済みでもある。それでも、計量法違反状態が発生していたのは事実。そのことを自ら公表して反省・検証しないと、また再び同じ事態を招くのではないか。