評判が悪い【押山義則】大玉村議長

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評判が悪い【押山義則】大玉村議長

大玉村議会は9月4日、改選後初の臨時会を開き、議長に押山義則氏(75)、副議長に武田悦子氏(64)を新任したが、押山氏をめぐっては村民から「議長にふさわしくない」との声が寄せられている。

議長選で一派の2人が白票

議長選で一派の2人が白票

 正副議長選は議員12人による無記名投票で行われ、このうち議長選は押山氏5票、本多保夫氏(71)4票、白票3票という結果だった。白票が25%を占めるのは異例だが、本来であれば押山氏はもっと得票してもおかしくなかったという。

 「順当なら7票、上手くいけば9票入ったかもしれないのに、蓋を開けたら5票。押山氏の信用の低さが露呈した形です」(ある議会通)

 押山氏はいわゆる村長派で、現在3期目の押山利一村長(73)が初当選後につくられた「大玉創生会」の副会長として活動してきた。同会は県議会や市議会に見られるような会派ではなく、勉強会という位置付けになっているが、議会内に支持基盤がなかった押山村長を支える目的で発足したため、メンバーは自然と村長派に色分けされる。

 発足から8年が過ぎ、8月6日投開票の村議選を経てメンバーが入れ替わった大玉創生会は、別掲の7人で引き続き押山村長を支えていくことになる。

 これに倣えば、押山氏は議長選で7票獲得してもいいはずなのに、実際はそれより2票少ない5票だったため「信用が低い」と見なされたわけ。

 「新人の3氏は全員押山氏に投票したが、投票前には『本当に押山氏でいいのか』とかなり悩んだ人もいたそうだから、場合によっては5票も取れずに〝落選〟していた可能性もあった」(同)

 押山氏は大玉村出身。郡山工業高校(現、郡山高校)卒。設計事務所や同村役場勤務などを経て村内と郡山市内に飲食店を開業したが、新型コロナの影響で閉店。改選前は副議長を務めていた。

 押山氏の信用の低さはどこから来ているのか。

 複数の村民によると、村議選前、押山氏にまつわる二つのウワサが急浮上した。一つは昔の出来事、もう一つは最近の出来事だが(真偽不明のため、この稿で取り上げるのは控える)、そのウワサが影響して、もともと選挙は強くないが陣営の予想より得票数が減ったのではないかと訳知り顔で話す村民もいた。

 「要するに大玉創生会のメンバーは、議長選で押山氏に投票すれば支持者から『なぜ、あいつに入れたんだ』と突き上げを食らうことを恐れたのでしょう」(同)

 だからメンバーは、普段は同じ村長派でも、議長選では投票しなかった、あるいは投票したけどかなり悩んだというわけ。

 筆者はある新人議員に取材を申し込んだが「遠慮させてほしい」とのことだった。

 「大玉村は『財界ふくしま』が詳報した『山ろく交流センター』の建設をめぐる問題で混乱し、今回の村議選では押山村長に近い新人を複数当選させることで議会の安定を図ろうとした。そして実際、そういう議会構成になったのに、村長派の筆頭である押山氏に対しては『議長にふさわしくない』との判断が働いた。議長は村長と連携を密にし、スムーズな議会運営を行う役割があるが、各議員が押山議長の言うことをどこまで聞くか気掛かりです」(同)

 前述の通り議長選では白票が3票あったが、このうちの2票は共産党の須藤軍蔵氏(78)と前出・武田氏であることが分かっている。

 須藤氏に話を聞いた。

 「私は押山氏も本多氏も議長にふさわしくないと思ったから白票を入れた。ただそれだけです」

 現在10期目の須藤氏だが、正副議長選で白票が3票を数えたことは記憶にないという。

 須藤氏は自宅のすぐ近くで進められた「山ろく交流センター」の建設に賛成し、本多氏は反対していたため、本多氏を議長には推せないと判断したが、押山氏をふさわしくないと思った理由は何だったのか。

 押山氏にまつわる二つのウワサは須藤氏も村議選の期間中、何度も耳にしたというが、

 「ウワサが本当かどうかは確かめようがないので、それに基づいて押山氏を評価したりはしない。ただ議長選前には、押山氏が議長にふさわしくないと思う私なりの理由を本人に直接伝え『だから私はあなたには投票できない』とハッキリ言いましたよ」(同)

 須藤氏は「私なりの理由」を明言しようとはしなかったが、村民の間からは

 「日常生活に苦労する村民が少なくない中、押山氏は『自分は(お金に)余裕がある』みたいな、村民に寄り添っていない発言が目に付いて……。そういう他人の痛みを分からない人が、議会を代表する議長に就くなんてとんでもない」

 と、議員としての資質を疑う声が聞かれた。二つのウワサだけが押山氏の信用を低下させている理由ではないことがうかがえる。

「私の生き様は他人と違う」

押山義則議長「私の生き様は他人と違う」
押山義則議長

 実は、共産党の2議員は執行部に是々非々の立場を取っているが、押山村政に反発することはほとんどないため、実質村長派という見方をされている。そうなると、議長選では押山氏に投票しても不思議ではないのだが、実際は白票だった、と。冒頭で議会通が「9票の可能性もあった」と言ったのは、大玉創生会(7票)と共産党(2票)を合わせた数を指している。

 押山氏本人は議長選の結果をどのように受け止めているのか。

 「私の生き様は少々他人と違っているので、いろいろ言われてしまうのは致し方ないと思っています。大玉創生会をベースに考えれば、議長選では私に7票入ってしかるべきだが、前の正副議長選でも〝造反〟というか同じようなことが起きているので、特段気にしていません」

 議長選の直前には共産党の2議員にも自分への投票を呼びかけたが、断られたという。

 「私は自分から議長になりたいとは一言も言っていない。各議員の期数や副議長を務めた立場から『今回は押山さんじゃないか』となり、そう言っていただいた以上は議長選で勝てるよう最善を尽くしただけ。その結果、5票には感謝しているし、白票の3票も、もし本多氏に入っていたら計7票で私は負けていたわけだから、感謝しています」(同)

 押山氏は自身の議員活動を振り返り、今まで一般質問を欠かしたことがないこと、村議会基本条例の策定に奔走したこと、議員定数削減を強く主張したこと等々を話した。

 「そんな私の活動を『目立とうとしている』とか『定数削減なんて余計なことを言うな』とか、よく思わない議員がいたのは事実でしょう。設計事務所や飲食店での仕事ぶりを見て眉をひそめる人もいたかもしれません。しかし、私としてはどれも必死にやったことなので、後悔は一切ありません」(同)

 大玉村をめぐっては、かつて万引き犯の汚名を着せられた議長や学歴が正確ではないと指摘された議員を本誌で取り上げたことがある。当時の村長が村民に訴えられた、いわゆる「ヤマツツジ訴訟」をリポートしたこともある。今回の出来事を見るにつけ、同村は定期的に騒動が起きている印象を受ける。

 ともかく、押山氏が村民や議員から「議長にふさわしい」との評価を得られるかは、これからの振る舞いや発言にかかっている。

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