須賀川市・岩瀬郡選挙区(定数3)は、立憲民主党の現職宗方保氏が引退し、その後継者と、自民党の現職2人、共産党候補の4人で争う構図が予想され、激戦区と言える。
「共産候補も侮れない」との声も
現在、同選挙区の現職は、宗方保氏(県民連合、6期)、水野透氏、渡辺康平氏(ともに自民党、1期)の3人。前回(2019年11月10日投開票)は、それまで5期務めていた自民党の重鎮・斎藤健治氏が引退したこともあり、6人が立候補する激戦だった。斎藤氏の引退を受け、自民党は新人2人の公認候補を擁立したが、同選挙区で自民公認候補が2人になるのは初めてだった。そのため、「宗方氏は安泰としても、自民党公認候補の2人がどれだけ得票できるか、場合によっては他候補が〝漁夫の利〟を得る可能性もあるのでは」との見方もあった。
ただ、結果は宗方氏と自民党公認の新人2人が当選した(前回の投票結果は別掲の通り)。
今回は、早い段階で現職の水野氏と渡辺氏が自民党公認での立候補が決まり、共産党も前回選挙に立候補した丸本由美子氏を擁立することを決めていた。
一方、宗方氏は「今期限りで引退する可能性が高い」(ある関係者)と言われていたものの確定的な情報はなかった。ただ、ある陣営の関係者は、5月ごろの時点で「宗方氏が出るにしても、引退するにしても、玄葉光一郎衆院議員の意向を汲んだ人が出てくるのは間違いない。ですから、すでに立候補を決めている自民党の現職2人と共産党の丸本氏、そこに宗方氏、もしくはその後継者(玄葉衆院議員の意向を汲んだ人)を加えた4人の争いになると思って準備をしている」との見方だった。
その後、宗方氏は6月4日に会見を開き、今期限りで引退する意向を表明した。地元紙報道によると「自分にできることを全うし、東奔西走の毎日だった。今後は一市民として発想力と行動力を持って地域貢献したい」(福島民友6月5日付より)と述べたという。
宗方氏の後継者については、当初から玄葉氏の秘書・吉田誠氏の名前が挙がっており、宗方氏の引退表明から約2週間後の6月19日に、立憲民主党公認で立候補することを表明した。
吉田氏について、須賀川市・岩瀬郡の有権者はこう話す。
「宗方氏が須賀川市のまちなか(旧市内)出身なのに対し、吉田氏は旧市内より人口が少ない東部地区出身だから、その辺がどうか。一方で、自民党の水野氏と地盤がかぶるところもあるから、その影響も気になるところです」(須賀川市民)
「人柄はいいと思うが、知名度としてはそこまでではないと思う。まあ、玄葉さんとその支持者が本気になってやるでしょうから、有力であるのは間違いないでしょうけど」(岩瀬郡の住民)
大方の見方では、「自民党の現職2人と吉田氏の3人が有力だろう」とのこと。ただ、「共産党の丸本氏も、昨夏の参院選に比例で立候補し落選したものの、(同じく比例で立候補して当選した)岩渕友氏とタッグを組んで顔と名前を売った。処理水放出など、自民党にとっては逆風もあるから、丸本氏も侮れないと思う」と見る向きもある。
吉田氏が宗方氏のごとく強さを発揮するのか、自民党は2議席を維持できるのか、共産党の議席奪取はあるのか等々が見どころだ。