【福島市】選挙漫遊(県議選)

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【福島市】選挙漫遊(県議選)

マスコミが伝えない候補者の人柄

月刊「政経東北」11月号に、本誌に連載していただいている畠山理仁さんの映画「NO選挙,NO LIFE」公開を記念したインタビュー記事を掲載した。畠山さん、前田亜紀監督、大島新プロデューサーに映画の見どころや選挙の魅力について語ってもらったもの。

詳細は誌面で読んでいただきたいが、選挙取材にかける畠山さんの情熱に触れて、本誌記者は居ても立っても居られなくなり、このたび新たな企画に挑戦することになった。

その名も「勝手に連動企画『政経東北』でも選挙漫遊をやってみた」。

11月2日告示、12日投開票の福島県議選。福島市、郡山市、いわき市、会津若松市各選挙区の立候補者39人を本誌スタッフ総出で取材し、選挙漫遊(街頭演説などに足を運んで選挙を積極的に楽しむ)を実践しようというもの。

11月5日(日)、6日(月)の2日間、街頭演説会場に足を運び、その様子を写真と動画で記録。併せてインタビュー取材も実施した。現職には「県政・県土の課題は?」、新人には「立候補した理由は?」などについて質問した。立候補者はどのような選挙活動を展開し、どんな事を話したのか。

担当 佐藤大 補佐 佐々木

福島県議選【福島市】編

【福島県議選】投票前日!【選挙漫遊】総括 投票の判断材料に!福島・郡山・いわき・会津若松
福島市の解説は9:57~

定数8 立候補者9

告示日:2023年11月2日 投票日:2023年11月12日

立候補届出状況↓

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/601554.pdf

選挙公報↓

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/601651.pdf

届け出順、敬称略。

誉田憲孝

 ――県政、県土の課題は?

 「回っていて一番言われるのはやっぱり物価高です。家計のやりくりが厳しくなっているという方が現実的に多いですね。家庭の収入を上げていくためには、中小企業へのテコ入れが必要でしょう。

 農業についても、いろんな資材費用などが高くなっているので、それをいかに価格に乗せていくかが課題だと思います。

ほかにも、『今年はリンゴの色づきがすごく悪い』などの話も聞きました。そういった気候変動に対する農業の手当なども大事になってくると思います」

 ――立候補した理由は?

 「市議を8年務め、いろんな政策を立案してきましたが、市の財政状況が厳しいという現実があり、市議会だけではどうしようもない部分がありました。そういったものを解決していくためには、予算なども含め県のテコ入れが必要だろうと感じていたので、自分が市と県の繋ぎ役になりたいと考えました」

一言メモ

街頭演説の場所も相まってか「アットホーム」を感じる選挙活動に思えた。4年前の雪辱を晴らすため、新人ならではの「必死さ」も感じ取れ、取材にも快く応じていただき、好印象だった。事務所から取材を終えて帰るときに「お見送り」までする徹底っぷり。

根っからの明るさや笑顔がひしひしと伝わってきたので、「人前に出るってことは、こういうことを自然にできる人」なんだなと感じた。(佐藤大)

佐藤雅裕

 ――県政・県土の課題は。

 「街頭演説でも話した通り、人口減少に尽きます。①事業者の人手不足、後継者不足、②地域活動の担い手不足、③マーケットの縮小などの影響が出ると考えられ、進行すれば地域が維持できなくなるので、早急に対策を講じる必要があります。地域の魅力づくり、産業振興など、総合的に底上げしていかないと解決しない問題だと思うので、たとえ商工業についての質問・意見を出す際も、必ず人口減少を踏まえた形で行うようにしています」

 ――令和3年2月議会で、相馬福島道路霊山インターチェンジと福島市中心部のアクセスを良くするため、県道山口渡利線を整備すべき、と質問していました。その後、整備状況に変化はありましたか。

  「実現するとなれば、県単独ではなく、福島市や地元経済界、国も巻き込んだ大きな事業になります。県の担当職員などとやり取りする中で質問したもので、整備に向けたコンセンサスは形成されつつあると思います」

一言メモ

選挙スタッフに取材をお願いし、「忙しいところ申し訳ないが、取材可否の折り返しの電話をいただきたい」と伝えたが、折り返しがなかった。

翌日、「取材の件はどうなりましたか?」と選挙スタッフに問い合わせをすると、選挙スタッフが「あれ? 奥様から折り返しの電話いってないですか?」と言われ、私は「来てません」と伝えた。

その後、街頭演説の写真と動画の撮影をしに行った際、佐藤候補に直接「2,3分、取材をよろしいでしょうか」と尋ねると、佐藤候補は「すぐ出るから、申し訳ないけど、、」と言われたので、私が「そうですよね、忙しいところすみません。明日は事務所にいる時間ありますでしょうか?」と尋ねたら、佐藤候補が「選挙中だから」と言って立ち去った。

その後、選挙スタッフに電話をして、「ほかの候補者が取材を受けている中、2,3分の時間もとれないんですか」と伝えて電話を切った。

それから2日後、選挙スタッフから「今日の夜の8時だったら時間をとれます」と言われたので、私は「伺います」と伝えたが、もうすでに気持ちが冷めていたので、記者の志賀に取材を託した。

これが畠山さんだったら、新聞社だったら、取材をすんなり受けたか受けていないか。

故・佐藤剛男衆院議員の娘婿として県議になりたてのころは「謙虚さ」がみられたが、4期目を目指すともなるとこうも変わるのだろうか。

佐藤候補は、目の前の1票を捨てた。政経東北が福島市に会社があり、スタッフの多くが福島市の有権者だということも想定できないのだろうか。

「絶対に投票しない唯一の1人」確定となった。(佐藤大)

記者の志賀が取材を終えて↓

「スケジュールが詰まっていて2、3分取るのも難しい。こういう取材をしたいなら事前に言ってもらわないと。今日は何とか時間を確保した」。陣営ごとの〝塩対応〟〝神対応〟を体験できるのも選挙漫遊の魅力だ。(志賀)

大場秀樹

 ――県政、県土の課題についてどう認識しているか。  

 「短期的課題としては原発の処理水放出問題。農水産物や観光業に風評被害の影響がまだ顕著にはなっていないが、それをどう防いでいくか。長期的課題としては超少子高齢化社会の中でいかに地域を守っていくか、また高齢者が安心した生活が送れるかが大きな問題と認識しています」  

 ――その課題解決に向け、どのような議会活動や取り組みを展開してきたか。

 「処理水放出問題としては、SNSやテレビCM等による安全性について首都圏のみならず関西圏も含めて積極的に訴えていくべきと議会で発言しています。あわせて超少子高齢化問題については、交通弱者対策の一環であるバス路線の維持、不登校児童に対する積極的な支援についても訴えかけています」  

 ――県執行部の動きはいかがですか。

 「風評被害対策については、補正予算を組むなど積極的に向き合っていると感じていますし、評価しています。また、不登校児童やさまざまな事情を抱える子ども達に対しても、NPO法人との連携強化、相談体制の充実を図ってきており、さらに進めていくべきと考えます」  

 ――県議会においては、令和5年6月議会にて「フルーツラインの整備状況」について質問されました。その後の県執行部の反応はいかがですか。

 「福島市にはすばらしい温泉、自慢できる果物など魅力にあふれていますが、『点』の観光のままなのは残念。フルーツラインは『点』と『点』を『線』で結び、ひいては面的な観光振興における重要な道路です。ハード面としては、通行に難がある『天戸橋(あまとばし)』の整備について、議会ではしつこく質問しています。この間、予算の執行など目に見えて動きが進んでいると感じます」

一言メモ

聴衆の大半は男性高齢者であったがみな真剣に演説を聞いていた印象。一方でそれなりの熱気は感じた。(佐々木)

高橋秀樹

 ――県政、県土の課題は?

 「物価高と燃料費高騰というのは喫緊の課題だと思っています」

 ――その課題を解決するためにどのように行動しましたか?

 「経済支援について、県独自の施策について要望を知事の方にさせていただきましたが、多少なりともその要望に対して実現した部分はありました。

 また今、国の方では所得税の軽減についても議論されているようですが、やはりそれだければ賄いきれないだろうところがありますので、さらなる要請もしていきたいですし、県独自の新たな政策を、経済状況を見ながら、求めていきたいなと思ってます」

 ――令和5年2月の代表質問で「移住定住に向けテレワーク導入に対する施策を要望」していますが。

 「もうひとつの課題は人口減少です。また、それに伴う労働人口の減少が課題です。県も二地域居住などを、移住促進計画として提唱していますが、さらにメスを入れていって改善できればと考えています。相談窓口を東京の日本橋に設けて、そういった取り組みに関して厚みが出てきているとは感じています」

一言メモ

朝早い中、快く取材に応じていただき、かなり好印象。時間と場所を決めた街頭演説を予定せず、30分毎ほどに立ち止まって遊説するスタイルが印象的だった。事務所スタッフの方々も丁寧に対応してくれて、そこも好印象。いくら候補者がよくても事務所スタッフの質が微妙だと、うまくいく選挙もうまくいかないと感じた。(佐藤大)

宮本しづえ

――県政、県土の課題は?

 「この物価高ですから、どう政治がきちんと対策をとっていくのかってことが最大の課題だと思います。

 例えば、物価高で何やるかって言ったときに真っ先にやるべきなのは消費税の減税です。しかし、県の執行部は『国が決めることです』としか答えません。国が決めることだったら『国で決めてくれ』と働きかけることが大事だと思うんです。

 『今の県民の暮らしどうすんのよ』っていうのはなかなか具体的には見えてこないですね」

――令和5年9月の統括審査会の質問で「ALPS処理水について、県漁連と国・東電との約束が破られていないと県が判断した理由」を尋ねていますが。

 「約束が守られないということは、民主主義に関わる重要な問題です。一つ一つの約束事が破られていったら、廃炉の安全性に対する信頼そのものに関わる問題になります。

 約束事を守らせるということをしっかりやらせないと、県民が安心して暮らせるかどうかっていうことにも関わってきます」

一言メモ

聴衆のほとんどが女性だったのが印象的だった。写真撮影をするスタッフもおり、共産党というのは組織的に動ける集団なんだなと感じた。

選挙カーについて。ほかの候補者のほとんどがボックスカーをレンタカーしている中、宮本候補は共産党が自前でもっている車を使用しているのも印象に残った。

政策は給食費無料というパンチ力と分かりやすさ。

宮本候補はJR福島駅西口のイトーヨーカドー福島店前の道路で演説をしたのだが、その後、東口のこむこむで伊藤達也候補の大観衆を見たこともあり、公明党と共産党の「力の差」をまざまざと見せつけられたことが印象的だった。

取材での宮本候補の印象はとても温和な方で話しやすかった。

(佐藤大)

半沢雄助

 ――県議選立候補を決意した理由。

 「先ほどの決意表明でお示しした通り。この間、医療従事者として勤務するとともに、労働組合活動にも注力してきた。このたび紺野長人県議の後継者に指名され、重責ではあるが責任を果たすべく、地盤(議席)をしっかり守ることが私の使命と考える」

 ――県政、県土の課題について。

 「人口流出問題が大きな課題と考える。解決に向け克服すべき点は多岐にわたるが、本県の維持・発展のためにも人口流出を防いでいる自治体を参考にしながら鋭意取り組む必要がある。また、医療従事者の経験から、また子を持つ親として『命と暮らし』を守りながら、次世代が住んで良かったと思えるような地域づくりや政策が重要と考える」

聴衆の大半は高齢者であったが、女性の割合が多い印象だった。新人候補ということもあり半沢候補者の初々しさもときおり感じた。(佐々木)

伊藤達也

 ――県政、県土の課題は?

「喫緊の課題は人口減少です。また経済面では、航空宇宙産業のモノづくり人材の育成を推進していきます。開発企業と連携して『下町ロケット』ようになっていければと思っています」

 ――令和5年9月の一般質問で「公衆衛生獣医師の確保」について質問していますが。

「動物愛護施策を進める上で、獣医師の確保はとても重要です。ただ、全国的に獣医師不足で取り合いとなっており、本県も職員が不足しています。動物愛護だけではなく産業用の獣医師も必要ですし、鳥インフルなどの脅威も踏まえて、県としての獣医師確保が課題となっております。

私が県に働きかけたことで、修学資金の新しい制度をつくらせていただき、獣医学生研修として『福島県家保研修』と『獣医学生福島体験』を実施しています。引き続き県への働きかけを進めていきます」

一言メモ

30分前に会場に着いたのだが、公明党の山口代表も応援に駆けつけることもあってか、既に警察が40人ほど、公明党スタッフが30人ほど居た。メディアも毎日新聞、共同通信、福島テレビ、ほかにも居た。

聴衆がいなかったので「聴衆よりも多かったスタッフと警察」というタイトルや筋書きを考えたが、開始前に聴衆があっという間に150人ほどとなり、「公明党のネットワーク力恐るべし」と感じた。

伊藤候補の政策も「ワンイシュー」に目を向けており、動物愛護の「アニマル伊藤」、航空宇宙産業に強い「スカイ伊藤」と、わかりやすかった。 私は創価学会員ではないが、公明党のように何か物事を遂行していくためにはパワーやネットワークが必要なのかもしれないと感じた。佐藤優氏の著書『創価学会と平和主義』を読んでいたこともあり、創価学会への偏見が薄れていたのも大きい。(佐藤大)

渡辺哲也

 ――県政、県土の課題は?

 「人口減が喫緊の課題だと思っています。子育て支援や教育に注力しながら、20年、30年のスパンで、シニアの方にも元気で活躍してもらうような『まちづくり』をすすめて、次の世代につなげていくことが大事です。

 高齢者の方々が元気に働ける環境を作っていくことが、人口減対策につながると思っています」

 ――令和4年2月の一般質問で「市町村における犯罪被害者等支援条例制定に向け、どのように支援するか」質問しましたが。

 「闇バイト事件を含めて、いつ誰がどこで巻き込まれるかわからない、そういった時代じゃないですか。

 県には『安全で安心な県づくりの推進に関する条例』というものがあります。犯罪被害者支援についての文言が一文だけあったんですが、先進県や先進市町村では、見舞金の支給や加害者に代わって被害者にお金を寄付するような仕組みもあり、県は遅れをとっていました。県に『このまま何もしなければ、最後になりますよ』と訴えたら、改善に向けて動き始めました。県が動いたことで、市町村もそれに続いてくれており、要望したことが実現している実感があります」

一言メモ

飯坂温泉駅での街頭演説ということもあって、誉田候補と同様「アットホーム感」があった。

取材で事務所を訪れると、多くのスタッフが和やかにしており、雰囲気も良かった。

取材を受ける受けないでひと悶着あったのもあり、渡辺候補を勝手に「気難しい人」と決めつけていたが、会ってみるととても気さくで接しやすい方で、思い込みはいけないと感じた次第。 政策に関しても県議1期目らしい「ワンイシュー」に目を向けており、人口減や物価高などの大きな課題よりも現実的に見えて、よい印象を受けた。(佐藤大)

西山尚利

 ――県政、県土の課題は?

「令和5年2月の代表質問で『入札の地域の守り手育成型方式』について質問しました。入札不正の一方で、地元の建設業に災害対策をしてもらわなければなりません。あらゆるものに対する備えと発信が必要だと思っています」

 

一言メモ

取材を受ける受けないで事務所スタッフと揉めたが、走行ルートの集合場所に行って西山候補に話を振ると「今ここで話すよ」と気さくに応じてくれた。人柄的に「飾らず、オープン」という感じで話しやすかった。街頭演説はせず選挙カーを走らせるだけのスタイルのため、動画が短くなっている。

取材の可否のほか、走行ルートを選挙スタッフに尋ねたが、間違った情報を伝えられた。ボランティアで働いている人もいるのだろうから、企業並みの対応を期待するのは間違っているのかもしれないが、「なんだかな」と感じた。(佐藤大)

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