【会津若松市】選挙漫遊(県議選)

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【会津若松市】選挙漫遊(県議選)

 「勝手に連動企画『政経東北』でも選挙漫遊をやってみた」。

 11月2日告示、12日投開票の福島県議選。福島市、郡山市、いわき市、会津若松市各選挙区の立候補者39人を本誌スタッフ総出で取材し、選挙漫遊(街頭演説などに足を運んで選挙を積極的に楽しむ)を実践しようというもの。

 11月5日(日)、6日(月)の2日間、街頭演説会場に足を運び、その様子を写真と動画で記録。併せてインタビュー取材も実施した。現職には「県政・県土の課題は?」、新人には「立候補した理由は?」などについて質問した。立候補者はどのような選挙活動を展開し、どんな事を話したのか。

担当 佐藤仁

福島県議選【会津若松市】編

【福島県議選】投票前日!【選挙漫遊】総括 投票の判断材料に!福島・郡山・いわき・会津若松
会津若松市の解説は1:32:49~

定数4 立候補者5

告示日:2023年11月2日 投票日:2023年11月12日

立候補届出状況↓

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/601555.pdf

選挙公報↓

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/601647.pdf

届け出順、敬称略。

水野さち子

候補者のコメント

 私は7月の会津若松市長選に立候補しましたが、あれだけ票を離されれば(※4選された室井照平氏が2万3231票に対し、水野氏は1万3738票)、市民の皆さんは現状維持を望んだのだろうと思います。県議を2期務め、2019年の参院選に落選した後、4年間の浪人生活を経て臨んだ市長選だったので、いったんは全ての電話も解約して区切りをつける考えでした。しかし、支援者への挨拶回りをする中で「これで終わってもらっては困る」「議員として働いてほしい」というたくさんの声をいただき、私自身も「自分の人生、これで終わっていいのか」と8月いっぱい熟慮した結果、3期目を目指して県議選に挑むことを決断しました。「市長選に出たのは県議選を見越して」という見方があるのは承知していますが、身近な人ほど私の真意を理解してくれていると思っています。

 まずは会津若松市が先頭に立って会津の基幹産業である観光の再興を成し遂げることが大切です。そうすることで交流人口、関係人口が増加し、地域経済が活性化していくと考えます。只見線が注目を集める中、二次交通の整備や飲食、お土産、宿泊など県の立場でできること、県と会津17市町村が連携してやるべきこと、国にお願いすべきこと等々、でき得る施策はあるんだろうと思います。また、0~2歳児の保育料を所得制限なしで無償化することや、デジタル田園都市国家構想を生かして認知症の早期発見・治療を可能とするシステムをつくるなど、県独自では難しい施策を国と連携しながら実現を目指したい。

 私は無所属で活動しています。他の政党からお声がけがあったのは事実ですし、今回も山口和之さん(日本維新の会所属の元参院議員)からため書きをいただきましたが、無所属なので「来るもの拒まず」のスタンスをとっています。

一言メモ

 街頭演説は国道49号の大きな交差点で行ったため、足を止める人は皆無。ただ、車から手を振る人は数人いた。事務所は女性スタッフばかり。水野候補は「意識したわけではないが、支えてくれる人が集まったらこうなった」と話す。(佐藤仁)

佐藤義憲

候補者のコメント

 今、福島県の課題は大きく二つあります。一つは人口減少、もう一つは次世代を育てる教育です。

 大変残念なことですが、福島県では教員の不祥事が後を絶ちません。内堀雅雄知事も何とかしなければならないと悩んでおられますが、教員の質を上げると当時に教育の質も上げることが非常に重要と考えます。教員の働き方改革を進め、スリム化すべきところはスリム化する。そうやって教員の質を上げれば教育の質も上がっていくので、そこは現場に言うべきことを言っていきたいと思います。

 その上で人口減少を考えた時、移住・定住をするにはその地域の教育レベルも一つの選択肢になるので、そこをしっかりやらないと、福島県は移住先の選択肢の中に入っていかないんだろうと思います。

一言メモ

 メガドンキの前で街頭演説を行ったこともあり、若い買い物客数人が立ち止まって聞いていた。中学生くらいの男子2人も近くで演説を聞いていた。この場所を選んだのは、メガドンキ内に期日前投票所が設けられているため、投票を棄権しないように呼びかけることと、投票するなら自分の名前を書いてもらおうという狙いがあったようだ。

 応援弁士として広瀬めぐみ参院議員(岩手選挙区)が駆け付ける。大竹俊哉市議、長谷川純一市議の姿もあった。(佐藤仁)

佐藤郁雄

取材に応じず。

一言メモ

 当初は取材に応じるとしていたが、当日になって事務所から「現在当落線上におり、大変厳しい選挙となっている。1人でも多くの有権者と接するには5分でも10分でも時間が惜しい。大変勝手を言って申し訳ないが、取材は遠慮させてほしい」という断わりの連絡が入る。

 街頭演説には広瀬めぐみ参院議員(岩手選挙区)が駆け付ける。スタッフ10人弱、支持者10人弱と多くはなく、立ち止まって演説を聞く人は皆無だったが、佐藤氏を支持する人が集まったこともあり、一定の熱量は感じられた。

 一方、当落線上にいることは本人も実感しているのか、少し落ち着かない様子も見られ、街頭演説の開始は14時半からなのに、14時25分ごろに「もう始めてもいいかな」と言い、支持者から「慌てるな。あと5分あるぞ」とたしなめられるシーンもあった。(佐藤仁)

渡部優生

候補者のコメント 

 まずは災害に強い県土づくりが大切です。毎年のように大きな災害が発生し、県民の命に関わる状況が起きているので、早急に対応する必要があります。建物や橋などの耐震強化や河道掘削など、県が取り組むべきことはたくさんあると思います。

 震災・原発事故からの復興も大切です。令和7年度で「第2期復興・創生期間」が切れますが、県内を見渡すと復興はまだまだ道半ばです。第3期への計画延長と、その裏付けとなる予算をどう確保するかは福島県にとって喫緊の課題です。

 急速に進む人口減少にどう対応するかも問題です。人口流出をいかに食い止めるか、そして流入を促すために魅力的な雇用の場を生み出せるか。企業誘致と産業基盤強化は私が最も訴えている政策の一つです。

 どうも今の福島県はイノベーション・コースト構想やロボット、水素や廃炉など、浜通りに設置した次世代産業に目を向けがちですが、現実的には自動車や半導体など、国が注力している産業やサプライチェーンにもっと注目してもいいのではないかと考えます。

 会津ならではの産業、具体的には観光、農林業、酒や漆器に代表される地場産業、さらには会津大学と地元資源の掘り起こしや磨き上げも必要なんだろうと感じています。

一言メモ

 前日に事務所に問い合わせた際、街頭演説は「18時半からリオン・ドール会津アピオ店前」と伝えられていたが、実際はそれより1時間も早い17時半から始まっていた。おかげで渡部候補の街頭演説の動画を収録できなかった。現場にいた事務所スタッフに「予定では18時半からではなかったか」と尋ねると「変更になったことを連絡しようと思っていたが忘れていた」とのこと。スタッフの対応の良し悪しは候補者の評判に直結するので、注意されてはいかがだろうか。

 演説には小熊慎司衆院議員と馬場雄基衆院議員が駆け付ける。夕方で辺りは暗く、足を止めて演説を聞く人は皆無。ただ、10人近い支持者が集まり、拍手と声援を送っていた。(佐藤仁)

宮下雅志

候補者のコメント 

 人口減少が一番の課題だと思います。選挙戦では、今やらないと間に合わない、そこに真正面から取り組むべきだと強く訴えています。

 それと同時に、安心・安全な暮らしを送れるよう雇用の創出や景気対策、医療・福祉や災害対応などを進めていくことが大切です。こうした取り組みが地域の魅力を高め、ここに住み続けたいと思う、あるいは他の地域から移住したいと思う条件になると考えます。併せて、そこに高い文化力も備わってくればワクワクした地域となり、自然とそこに住みたい、住み続けたいという気持ちが芽生えてくるのではないか。

 会津には「ならぬものはならぬ」という考え方があります。それを地場のものづくりに照らし、若者を中心としたごまかしの利かない、真面目なものづくり産地を構築していけば人間力の向上にもつながると思います。文化力と人間力で地域の魅力を高める、これが私の持論です。

 正直、こうした取り組みは非常に長くかかるし、すぐに結果が出るわけではなりません。しかし、人口減少が急速に進む中、今始めないと間に合わなくなるというのが今回の私の最大の主張です。

 人口減少は何か一つやれば解決するものではありません。ただ、これまでと同じことをやっていては意味がなく、子育て支援についても今までの常識にとらわれない大胆な財政出動等をする必要があるんだろうと思います。県独自でやれることはきちんとやりつつ、国に求めることはしっかり求めていく。それをスピード感を持って、他県に先駆けてやらないと福島県としての特色は出せないと思います。

一言メモ

 個人演説会は19時から一箕公民館で。用意した30席に対し25人くらい集まる。演説の後は出席者から鋭い質問も寄せられ、宮下候補が答える場面もあった。集まったのは熱心な支持者ということもあり、それなりの熱が感じられた。

 小熊慎司衆院議員が応援弁士を務め、馬場雄基衆院議員が来賓として出席していた。(佐藤仁)

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