「広報誌の私物化」を批判された内田いわき市長

 10月20日付の読売新聞県版に「台風被害の広報臨時号のはずが…『まるで選挙ビラ』、市長の視察写真8枚に『写真集』の声も」という記事が掲載された。福島民友も翌21日付で同じ趣旨の記事を載せた。

 9月8日夜から9日早朝にかけて、台風13号による記録的豪雨に見舞われたいわき市。10月1日には、被害状況の写真や支援制度の案内を掲載した「広報いわき臨時号」が発行され、通常の広報紙とともに各世帯に配られた。

 全4頁の広報紙に掲載された19枚の写真のうち、市長・内田広之氏の視察写真は8枚も使用されており、まるで写真集のような作りになっていた。そのことに対し、市民や市議から疑問の声が上がっていることを報じたもの。

 両紙の記事では「被災特集なのに市長の写真ばかりなのは違和感がある」という市民の声、「選挙広報のようだ」、「広報の私物化だ」という市議の意見が紹介されていた。

 災害時に首長がどう対応したかは、選挙の際の大きな評価ポイントになる。震災・原発事故後の2013年には、郡山市、いわき市、福島市、二本松市などの市長選で、現職首長が軒並み落選し、〝現職落選ドミノ〟現象と呼ばれた。

 2011年には、当時いわき市長だった渡辺敬夫氏について「公務を投げ出して空港から逃げようとしていた」などのデマが流れた。災害対応に追われて姿が見えなかったためだと思われるが、選挙戦でそのマイナスイメージを利用して、「私は逃げない」と訴えた清水敏男氏が当選を果たした。

 しかし、その清水氏に関しても、2019年10月の台風19号の際には対応の遅さが目立ち、被災者をはじめとした市民の信頼を失った。本誌が被災地域を取材した際には、避難の事前周知や断水対策の不備を指摘する声が多く、「市は一番苦しい時期に何もしてくれなかった」と断言する被災者もいたほどだ。その後、新型コロナウイルスへの対応の遅さも批判され、2021年の市長選で内田氏に敗れた。

 こうした経緯もあってか、内田氏は豪雨発生後、連日被災地域を視察し、報道やSNSを通してボランティアの参加を呼びかけるなど、積極的に動いていた。過去の「失敗」を教訓としてうまく動いていたように見えたが、目立ちすぎて、一部では逆効果となっていたようだ。

 いわき市広報広聴課に問い合わせたところ、「令和元年東日本台風のとき、『市長(清水敏男氏)の姿が見えない』という意見を多くいただいたので、それを教訓に、今回は市長の被災地視察の姿を多く掲載しました。直接市役所に寄せられた批判の声はありません。問題はなかったと考えています」とコメントした。

 内田氏については、イベントなどに積極的に参加し、PR活動に努めていることに対し「軽い面が目立ってきた」という苦言が出ているほか、「今回の件は周囲にいる市議や幹部職員が一言助言すれば回避できた。ブレーン不在ではないか」との指摘も聞かれる。そういう意味では、市長就任から2年経過した内田氏の課題が露呈した一件だったとも言える。

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