【星北斗】参議院議員インタビュー(2025.3)

【星北斗】参議院議員インタビュー(2025.3)

経歴

ほし・ほくと 1964年郡山市生まれ。安積高、東邦大医学部卒。医師。医系技官として旧厚生省に入省。退官後の現在、星総合病院理事長。2022年の参院選(福島選挙区)で初当選。

 昨年12月、新しい自民党県連会長に星北斗参議院議員(60)=1期=が選出された。派閥の裏金問題に揺れる同党は、昨年10月の衆院選で国民から厳しい審判を受けた。問題に関わった議員は、未だに説明責任を果たしたとは言い難い。今年7月には参院選を控える。逆風の中で会長に就任した星氏に、党勢回復に向けた課題などを聞いた。

 ――県連会長就任の率直な感想をお聞かせください。

 「率直に言うと『大変な時期に会長を務めることになったか』という思いと『これも運命なのかな』という思い、この二つが入り混じった心境です。

 私は会長就任に当たり、選出方法を変えるところから議論を始めました。これまでは県関係国会議員による国会議員団会議を開き、互選で会長候補を決め、県議の皆さんから了承を得るやり方が慣例となっていました。しかし、そういう選出方法に私は違和感を持っていました。理由は二つあります。一つは、会長に選ばれた人間がしっかり責任を果たすには『選ばれ方』が重要になるからです。もう一つは、会長は県議から選出されてもいいはずなのに、国会議員が持ち回りのように務めている状況は、県議と国会議員の間に溝を生む恐れがあるからです。

 そこで今回は、国会議員だけでなく県連の4役にも協議に入っていただき、お互いに意見を述べ合いました。その結果、皆さんから私を推していただきa、私も『皆さんの総意ということなら精一杯お引き受けします。ただし、皆さんで決めたということはその責任も皆さんに生じますし、私に会長をやらせてみてダメなら、皆さんで私を(会長から)降ろしてください』と申し上げました。

 要は不透明な選出ではなく、オープンな形で選ばれた会長でないと新生・自民党は打ち出せない、というのが私の一貫した考えです。愛する自民党を何としても変えたい。その一心で会長を務める所存です」

 ――昨年10月の衆院選で自民党は大きく議席を減らしました。県連会長として、どのように党勢回復に努めていきますか。

 「1区と3区の支部長の選び方が重要です。自分からやりたいと手を挙げる人も大切ですが、周りが応援したいと思える人、この人に任せてみたいと思える人、そういう人を選ぶことが党勢回復の一番の近道だと考えます。その人の経歴や経験も確かに大切です。しかし最も大切なのは、選出のプロセスを明確にすることです。特定の人たちや密室で決めるやり方は好ましくありません。

 県連会長就任後、私のもとには支部長選出について様々なご意見が寄せられています。今後、難しい判断を迫られる場面も訪れるかもしれませんが、自民党を生まれ変わらせることができるなら自分の立場はどうなってもいいくらいの強い気持ちで職責を果たすつもりです」

 ――ちょうど1区と3区という話が出ましたが、空席となっている支部長の選出が注目されます。

 「当然、自分からやりたいと手を挙げる人はいるでしょうが、基本的には公募にすべきです。その上で民主的な方法で選出する。そういったプロセスを見ていただくことで『自民党は変わった』と感じていただくことが大切だと思います。

 私はこの先もずっと県連会長をやれと言われているわけではありません。県連として最も厳しい状況をどう切り抜けるかが今の私に課せられた使命だと認識しています。ですので、仮に私の言動で組織を壊すようなことになったとしても、あとで振り返った時、あれがあったから党勢回復が図れたと言ってもらえたら100点だし、壊したことによって組織が変わる兆しが見えたら自分で自分に60点はあげてもいいのかな、と。それくらいの覚悟がトップに備わっていないと今の自民党は変われないと思います」

 ――派閥の裏金問題をめぐっては衆参の政治倫理審査会で関係した議員が説明をしましたが、それを聞いてどんな感想を持たれましたか。

 「有権者の立場から言うと『裏金問題に関わった議員は何をしても駄目だから全員辞めるべきだ』となるでしょうね。ただ、県連会長の立場からとなると、当事者たちは説明を尽くしたと思っているかもしれないが、大多数の有権者はそうは思っておらず、世論調査の結果にも表れていることを深く認識すべきです。このまま選挙に突入すれば、間違いなく厳しい結果になるでしょう。

 私は、裏金問題に一貫して厳しい目が注がれる背景には、心情的・感情的に許せないという人が多く存在することがあるのだと思います。賃金の伸びが物価の伸びに追いつかない状況が何年も続いている。生活はなかなか楽にならない。そうした中で政治とカネの問題を見せられたら『もうウンザリ。もっときちんとした政治をやってくれ』と言いたくなるのは当然です。

 ですから、まずは党として、少しは生活が良くなったと実感していただける経済対策を実行する。その上で裏金問題に関わった議員は、そのレッテルが今後も付きまとうわけですから、それを跳ねのけるだけの説明なり行動なりを続けていくことが必要なんだと思います。私は県連会長としての思いを半分、同僚議員たちへの思いを半分持ちながら、有権者のことを第一に考えて行動したいと思っています」

 ――来年度で終了する「第2期復興・創生期間」後の5年間について昨年12月、石破首相は「今までの5年間以上に財源を確保していかなければならない」と述べました。星会長の目に復興の進捗はどのように映っていますか。

 「昨年12月15日の参議院予算委員会で、私は、事故原発の廃炉を完了させ、更地にして人が帰ってくるまで責任を果たすことが国の務めであり、他の原発立地自治体も気に掛けている点だと申し上げました。

 もう一つは、F—REI(福島国際研究教育機構)やロボットテストフィールドなど様々な施設が浜通りに設置されましたが、農産品の価格下落や人口流出等は直接の被災地だけではなく、全県的に起きている被害だということです。それでも多くの県民は、我慢しながら既存の価値を取り戻そうと頑張ってきたし今も頑張っています。そういうところに必要な予算を投じるのは当然ですが、予算だけではなく、これまでの取り組みが実を結ぶ政策を実行したり、国、県、市町村、経済・農業団体などが細部にわたってつながり、一つひとつの取り組みが形になっていかないと復興を実感しづらいと思います。要するに建物や道路をつくってもらう、何かをしてもらう復興だけではなく、自分たちがやったことが復興につながっていく、そういう実感を多くの県民に持っていただくことが大切だと考えています」

 ――最後に、県民にメッセージをお願いします。

 「少数与党による国会運営が続いていますが、考え方を変えると、一人ひとりの政治家が党派を超えてより良い政治を取り戻す試みの最中にいる、と。県民の皆さんには冷静な目で、国会議員の言動はもちろん、自民党のことも他党のこともしっかり見ていただきたいと思います」

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