本誌8月号で、浪江町末森地区で整備が進む競走馬施設についてリポートした。
同町末森地区は、帰還困難区域に指定されているため住民は戻れず、農地などもそのままになっていた。一部は復興再生拠点区域に指定され、2023年3月末に避難指示が解除されたが、それ以外は手付かずの状態。国は復興再生拠点区域以外についても、2029年までに避難指示を解除する方針だが、まだ具体的な動きはない。
そのため、競走馬のトレーニング・リフレッシュ施設を整備するとなれば、相応の用地面積が必要になるが、帰還困難区域に指定されていることから、住民は「使わない(使えない)土地を買ってくれる(借りてくれる)のあれば、むしろありがたい」と協力する可能性は高いのではないかと感じていた。
一方、その裏では「きな臭いウワサ」も囁かれ、町内の有力者が暗躍しているとの情報もあった。
昨年秋以降になると、具体的な計画内容などが地元紙で報じられ、6月30日には着工したことが伝えられた。
8月号ではその様子を踏まえながら、次のように書いた。
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日本中央競馬会(JRA)のトレーニングセンターは関東、関西に1カ所ずつあり、関東は茨城県美浦村にある。競走馬は同施設でトレーニングを行い、国内10カ所、あるいは海外の競馬場で行われるレースに参戦する。
一方で、県内には「ノーザンファーム天栄」(天栄村)がある。同施設HPの施設紹介によると、全11厩舎316馬房のほか、屋外900㍍の直線坂路コースや、屋外1200㍍の周回コースなどの調教施設を備えている。
ノーザンファーム天栄は、美浦トレーニングセンターからクルマで2時間半、馬運車でもプラス1時間くらいと近いため、競走馬がレースの疲れを癒すためのリフレッシュや、軽い調整などを目的に利用されている。
浪江町は、美浦トレーニングセンターからの距離や所用時間はノーザンファーム天栄とさほど変わらないため、ノーザンファーム天栄と同等の使われ方がされるのではないか。
前述したように、同施設をめぐっては町内の有力者が暗躍しているとの情報もあり、よく思っていない町民・関係者もいるが、それはそれとして、ノーザンファーム天栄の事例を考えると、案外、需要があるのではないかとも思える。
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その後、同施設に関して、取材依頼が寄せられた。
内容は①事業者の事務所が町内の床屋があったところになっている、②教育委員会は埋蔵物調査等をきちんとしたのか――というもの。
①については、現場を見てみたが、床屋跡地のままで、事務所になっている様子はなかった。
②については、町教育委員会に確認したところ、埋蔵物調査については、まず調査の必要があるかどうかを調べ、その必要があると判断した場合は実際に調査を行うという。
「今回の件については、調査の必要があると判断し、昨年度に実施しました。昨年6月に入札を行い、昨年8月から今年3月まで8カ月にわたって調査しました。いまはその報告書をまとめているところです」(町教育委員会)
「きちんと調査を実施した」との説明で、調査を経て着工可能な状況になったから、事業者判断で着工し、いまに至るということになる。

























